徐仙日乗

日記、随筆

徐仙日乗 読書 婆沙羅 山田風太郎

2017-09-19 05:55:11 | 日記
徐仙日乗 読書 婆沙羅 山田風太郎 講談社文庫
読了 読書メーターと重複

- [ ] バサラと道誉は吉川英治の私本太平記で知った。本作は山風後期の室町物。道誉は太平記の前半では目立つ人物である。後醍醐天皇配流前から始まり薄い本なのに中程で後醍醐も正成も死んじゃう。端折りに端折って南北朝時代を描いているが、正直吉川英治より分かり易いし、納得出来た。成立途中の太平記(一人の作者が書き上げたものではないらしい)を道誉が読んでいるってのがなんか楽しい。道誉が歴史意識を持っていたって気はする。裏切りと動乱の世相は義満の時代で一応収拾されるが、世阿弥を介した道誉と義満の関係を描いた最後の章は山風節全開の迫力と怪しさで圧巻。付記、足利尊氏と弟直義の関係を西郷隆盛と大久保利通に例えた考察に目からウロコの納得。