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団地夫婦の日々

常盤平団地夫婦の54年、団地内で気付いた事を時々に、妻の料理、私の買い物等

常盤平団地の52年142 野水仙

2017-12-24 16:47:16 | 日記

気候温暖の千葉県では先日房総半島南の冨浦町の水仙が見頃になったとTVの映像が流れてました。

団地前の大きな欅の根元には今年も可憐な水仙が咲いています。以前放置バイクに無惨に潰された株の場所とは違い樹の根元に、寄らば大樹の陰とでも云う処です。

2年前の放置バイクのは撤去されました。

ずっと昔の事、60代の頃でしょうか、年末になると房総半島の白浜、千倉、鴨川と春の花を求めてドライブして団地のご近所に配って自分もご近所の人達にも喜んで頂いていた時期がございました。何拾年か前に私のこんな歳末行事も終わりましたが、千倉町で小菊を分けて戴いた或る小さな農家の奥さんとお婆ちゃんのお家のすぐ前の土手には、今見頃の沢山の野生の水仙が咲いていました。お婆ちゃんが「幾らでも生えてるから持って行きなさいな」「エッ良いんですか、それじゃ少し戴こうかしら・・」

私は、お婆ちゃんから鎌をお借りして、早速咲いている水仙を戴く事にして一株二株水仙を左手に持ち始めてフッと「そうだ近所の皆にも分けてあげよう」と思い着いて小さな土手の水仙を片端から切り取って、気が付いた時は、その辺りに咲いていた花の四半分を戴いて跡はポッカリ何もない一画が出来て仕舞い、やや呆然の私・・嬉しくて何度も「お婆ちゃん、こんなに戴いちゃって有難とうさんでした」・・その年のお花はスプレーカーネーション、1本物カーネーションを始めカスミソウ、百合、ストック等に、お婆ちゃんの小菊が丁寧に束ねられて、帰宅後狭い団地の小部屋イッパイに広げ分けて束ねて新聞紙に包み、妻がご近所にお分けして、沢山の花が飾られて楽しいお正月を迎える我が家の年末行事だったのです。

然し翌年も又同じ頃に房総の花集めに出掛けたのですが、お婆ちゃんのお家に寄って、その年も前の土手の野水仙を戴こうと楽しみにしていた私なのですが・・水仙の花が殆ど無いのです、翌年の為に根を残して、お花だけを戴いたのに、周辺にも水仙はパラパラと咲いているのですが、とても去年のような群落とは言えない有様だったのです・・心の中でお詫びしました「去年私が取り過ぎた為に、今年の水仙は見る影も無く寂しい土手の水仙になって仕舞った、本当に申し訳けありませんでした」と・・・

然しお婆ちゃんも、若いお母さんも、去年と変わらずニコニコして私を迎えてくれて、「今年は小菊の出来が悪くて、とてもお金を戴くのは気が引ける・・」とオマケに若奥さんの作った、菜花の束10個入りを1箱も戴いて、水仙の事も気にしてた私は申し訳けないと思って予定の金額に少しだけ多くお金を渡そうと差し出すと「こんなに、とてもとても戴けない、本当に小菊の出来が悪くて、来年はもっと良い小菊を・・・」

差し出したお金を何とか受け取って戴けたのが私にとって僅かな救い、以後自然に咲いた水仙を戴くのは止め様と「お花さんゴメンナサイ」とお婆ちゃん若奥さんに見送られてその年も房総を後にした私です・・

あれから何年経ったか、その後も何回か花集めは続きましたが土手の野水仙が元に戻った風景の記憶がないのです、今は10年以上続いた懐かしい仕事の合間の房総半島の花集めのドライブでしたが、その後、私達も年も取り楽しい筈の花集めも大変になり、或る年の暮、その年のお花を届けながら「今年で終わりにさせて戴きます、いえ私が好きでやって来たこと・・」とご近所に話して、次の年から、あの小菊のお婆ちゃんと菜花の奥さんとも連絡が途絶えましたが・・・そう確か佐久間さんと云うご一家で、ご主人は館山駅の駅長さんだったようです、お会いした事は有りませんでしたが本当に暖かい房総半島館山駅長さんのご一家でした。

今は「そんな事もしていたんだな~」と団地前の水仙の花をみて昔の若い頃を思い出している私の年の暮れなのです。