Sally's BLOG

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「なんくるない」よしもとばなな

2007-08-16 01:10:23 | 読書
「沖縄」
漠然と頭の中に広がる言葉。

かの地の景色は、すべて濃厚な色と薫りを発している。
何度か訪れているけれど、時を経るごとに私たちが受け取るそのエネルギーを増す。

かつて取材で訪れてから、忘れられない地となった沖縄を舞台に「よしもとばなな」が旅行者の目からみた「沖縄」を描いた作品。
最近のよしもと氏は、志向がスピリチュアルを通り越して哲学の深部へ入り込んでいるようで、おめでたく薄い脳みそを持つ私としては、しばらく彼女の小説は遠のいていたのですが、何故か手に取らずにいられなかったのが、この「なんくるない」。
で、上手い具合にこの作品は「初期ばななテイスト」でした。

表題作「なんくるない」を含む4話からなる短編集で、すべての物語が美しく狂おしい。
自分の中の、言葉では説明できないけれど、確実に存在する「善し」とも「悪し」とも判別できない感情を見つけ出せる、そういう本。
倫理観とか、道徳観とか、そういう理屈が覆い隠しているもっと奥の方に、人に見せられないねっとりとした部分を感じている、そういう人に読んでほしいと思います。

本当に短い話で、この本の第1部「ちんぬくじゅうしい」で、両親が別居を始めて不安を抱えた少女に、伯母が語る言葉に思わず涙が出た。

「地に足がついてて、たくさんの力を地球全部からもらってる方が絶対強い。(中略)深刻になりすぎないことだよ。深刻になると息が詰まって力が抜けちゃうからね。(中略)何事も無かったように、意地でも元気に生きてなきゃ。」

「どうでもいいことやくだらないことが一番強くてあったかくて、深刻なこととか理屈なんて大切なように思えても、そういうちっちゃい想い出に比べたら、全然へなちょこなのよ。」

何だか、「地球って凄い」、「人間って凄い」、そういうことを感じて生きられる人間になりたいと、心から思いました。



(そう思うと何故か、無性に地球のエネルギーをたくさんもらって育ったモノをバクバク食べたくなったんだけど・・・で、↑の写真の桃かよ?!と、単純な自分に呆れつつ。)

なんくるない
なんくるないよしもと ばなな

おすすめ平均
stars心地よいユルさ
stars第1期ばなな風味、とてもおいしくいただきました。

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2 コメント

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やっと読み始めました (take。)
2007-08-26 23:20:51
電車の中だったので我慢しましたが「地に足がついてて、・・・」このフレーズで私も涙しそうになりました この本は私の涙腺を刺激しそうな予感をもちつつ『足てびち』も電車でウルウルしそうなのをこらえながら読み・・・そして『なんくるない』も電車で読み始め冒頭から、涙をこらえられずに慌てて本を閉じ寝たふり
この本は、一人っきりでゆっくりと読みたいと思います。出来れば、休日に海を見ながら
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take。さんへ (Sally)
2007-08-27 14:44:51
「あしてびち」…これも切ないお話でしたねぇ。
本の短い話なのに、いろんなエッセンスが詰まってました。
で、「なんくるない」。
多分、この主人公の言っていることが、take。さんだったら、ものすごく分かると思うんです。
矛盾してるけど、やっぱり存在する気持ち、みたいな。
この本は、何度も読むことになりそうです。
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