言わずと知れた話題の大作。
と、言っても映画を見たわけでなく小説を読んだだけなのだが、CMなどで予備知識があったため、小説を読みながら頭の中には映画のキャストの面々が浮かぶという、何だか丁度よい相乗効果で読み終えることが出来た。
大まかに言えば、パリで起こったルーブル美術館長殺人事件を基点に、二つの「謎解き」が同時進行で展開されるのだが、その謎解き、どちらに視点を置くかでかなり意味合いが違ってくる作品。
1つ目は殺人事件を軸に、実行犯や黒幕、事件がどのように起こったのかを追跡する謎解き、2つ目は館長が残したダイイングメッセージから紐解かれる、キリスト教世界を揺るがす大いなる秘密を探る謎解きである。
一つ目に関しては、読むうちに黒幕である犯人がわかってしまう、という、ありがちな伏線の張りようなのだが、それ以外の部分をも楽しめるのがこの小説。
絵画や建造物などに関して、宗教学的なトリビアを含め、史実、事実に基づいた解説がなされ、有能なガイドと共に美術館を巡っているような気持ちになり、キリスト教に関する知識のない私達でさえも、存分にその魅力に酔うことができる。
そしてまた、今回私は永年のふっ切れない思いを、「はー、すっきりー!」と、断ち切ることが出来た。
他の読者達から非常なる反感を買うかもしれないのだが、この「はー、すっきりー!」が、今回私が得た一番の感想なのだ。
幼き日、「キリスト様は十字架に架けられ、処刑された3日後に蘇られた」と何かで知った。その話は私の中で伝説として整理され、ギリシア神話で言う「ゼウスは白鳥に化けて、人間の女性ヘラに夜這い(違ったっけ?)をかけた」と同じく、あくまで架空の出来事として受け止められた。
が、ワタクシ小学生の頃は偉人の「伝記」などを好んで読む習性があり、キュリー夫人やヘレン・ケラーなんぞを読みふけるうち、同じ書棚に「イエス・キリスト」と言う本を見つけた。
ここから話はややこしくなり、この書棚に並ぶ名前は実在の人物達であり、そうなると「このキリストと言う人は、本当に生き返ったのか?いやいや、そんなわけがあるはずがない!!」と、自問自答を繰り返し、非常に気持ち悪い存在としてキリストは私の心の中に居座った。
また別の幼き日、「エデンの園」を描いた番組をテレビで見た。
子供心に納得いかなかったのが、人類はアダムという男性から始まり、その肋骨からイヴという女性が出来たという下り。
何故?何ゆえ、神秘なる生命を生み出す女が男の一部分から作られたのか?
おまけに、蛇にたぶらかされて(楽園を追放される結果につながる)知恵の実を先に食べてしまったのは、何故に女性のイヴだったのか??
何となく、「女がバカだから・・・」といわれているような気がしてならなかった。
このアダムとイヴの話は伝説として(実際に起こったわけじゃないという意味)受け止めたものの、世界一のベストセラーである聖書によって、真理として伝えられることが「どうしてソレなの?」と、歯がゆかったりした。
これらの「気持ちがスッキリしない」要因が、この小説中のある一言で雲散霧消した。
「聖書は天国からファクシミリで送られてきたのではない」
(マーティンパーシー大聖堂参事司祭←実在するかどうかは疑問)
そうじゃーん!聖書も人が書き連ねて編纂したものなんだ!
さまざまな伝説が入り混じり、その中に実在した人物が組み込まれただけで、すべてが真実でもないし、真理でもないんだ。
もともとキリスト教を含むさまざまな宗教を歴史的に見ると、精神的にはもちろん、軍事的であったり、政治的であったり、いろんな目的で人々を統率する為に利用されるのが根源的な宗教の存在意義の一つであったはず。
この小説を読むうちに、さまざまな異教信仰、今のキリスト教を形成するそれ以前の体系、そしてそれぞれの信仰が産んだ真理、信者達によるその広がりを想像することが出来、これまでの伝説と実際が入り混じった違和感も、女性である劣等感も、スッキリサッパリ解消できた。
本当はそういうところで感動するものではないんだろうけど、一番しっくりきた部分はソコだった。
この本のおかげで、宗教や宗教美術、またそれに関する象徴学などにも興味が沸き、新たな楽しみが増えたことをウレシク思う・・・。(マル)
上・中・下巻ありますが、省略して上巻のみ画像貼りました(ペコリ)↓
と、言っても映画を見たわけでなく小説を読んだだけなのだが、CMなどで予備知識があったため、小説を読みながら頭の中には映画のキャストの面々が浮かぶという、何だか丁度よい相乗効果で読み終えることが出来た。
大まかに言えば、パリで起こったルーブル美術館長殺人事件を基点に、二つの「謎解き」が同時進行で展開されるのだが、その謎解き、どちらに視点を置くかでかなり意味合いが違ってくる作品。
1つ目は殺人事件を軸に、実行犯や黒幕、事件がどのように起こったのかを追跡する謎解き、2つ目は館長が残したダイイングメッセージから紐解かれる、キリスト教世界を揺るがす大いなる秘密を探る謎解きである。
一つ目に関しては、読むうちに黒幕である犯人がわかってしまう、という、ありがちな伏線の張りようなのだが、それ以外の部分をも楽しめるのがこの小説。
絵画や建造物などに関して、宗教学的なトリビアを含め、史実、事実に基づいた解説がなされ、有能なガイドと共に美術館を巡っているような気持ちになり、キリスト教に関する知識のない私達でさえも、存分にその魅力に酔うことができる。
そしてまた、今回私は永年のふっ切れない思いを、「はー、すっきりー!」と、断ち切ることが出来た。
他の読者達から非常なる反感を買うかもしれないのだが、この「はー、すっきりー!」が、今回私が得た一番の感想なのだ。
幼き日、「キリスト様は十字架に架けられ、処刑された3日後に蘇られた」と何かで知った。その話は私の中で伝説として整理され、ギリシア神話で言う「ゼウスは白鳥に化けて、人間の女性ヘラに夜這い(違ったっけ?)をかけた」と同じく、あくまで架空の出来事として受け止められた。
が、ワタクシ小学生の頃は偉人の「伝記」などを好んで読む習性があり、キュリー夫人やヘレン・ケラーなんぞを読みふけるうち、同じ書棚に「イエス・キリスト」と言う本を見つけた。
ここから話はややこしくなり、この書棚に並ぶ名前は実在の人物達であり、そうなると「このキリストと言う人は、本当に生き返ったのか?いやいや、そんなわけがあるはずがない!!」と、自問自答を繰り返し、非常に気持ち悪い存在としてキリストは私の心の中に居座った。
また別の幼き日、「エデンの園」を描いた番組をテレビで見た。
子供心に納得いかなかったのが、人類はアダムという男性から始まり、その肋骨からイヴという女性が出来たという下り。
何故?何ゆえ、神秘なる生命を生み出す女が男の一部分から作られたのか?
おまけに、蛇にたぶらかされて(楽園を追放される結果につながる)知恵の実を先に食べてしまったのは、何故に女性のイヴだったのか??
何となく、「女がバカだから・・・」といわれているような気がしてならなかった。
このアダムとイヴの話は伝説として(実際に起こったわけじゃないという意味)受け止めたものの、世界一のベストセラーである聖書によって、真理として伝えられることが「どうしてソレなの?」と、歯がゆかったりした。
これらの「気持ちがスッキリしない」要因が、この小説中のある一言で雲散霧消した。
「聖書は天国からファクシミリで送られてきたのではない」
(マーティンパーシー大聖堂参事司祭←実在するかどうかは疑問)
そうじゃーん!聖書も人が書き連ねて編纂したものなんだ!
さまざまな伝説が入り混じり、その中に実在した人物が組み込まれただけで、すべてが真実でもないし、真理でもないんだ。
もともとキリスト教を含むさまざまな宗教を歴史的に見ると、精神的にはもちろん、軍事的であったり、政治的であったり、いろんな目的で人々を統率する為に利用されるのが根源的な宗教の存在意義の一つであったはず。
この小説を読むうちに、さまざまな異教信仰、今のキリスト教を形成するそれ以前の体系、そしてそれぞれの信仰が産んだ真理、信者達によるその広がりを想像することが出来、これまでの伝説と実際が入り混じった違和感も、女性である劣等感も、スッキリサッパリ解消できた。
本当はそういうところで感動するものではないんだろうけど、一番しっくりきた部分はソコだった。
この本のおかげで、宗教や宗教美術、またそれに関する象徴学などにも興味が沸き、新たな楽しみが増えたことをウレシク思う・・・。(マル)
上・中・下巻ありますが、省略して上巻のみ画像貼りました(ペコリ)↓
ダ・ヴィンチ・コード(上) | |
ダン・ブラウン 越前 敏弥 おすすめ平均 五芒星 当たり前におもしろかった。 知らないことを知る機会になりました。 おもしろかったけどね キリスト教的には大問題の本らしい Amazonで詳しく見る by G-Tools |
すでになんとなく霞みがかってしまっていて、
無粋な暮らしをしているものだと思ってしまいます。
この本はそこかしこに散りばめられたウンチクが面白いけれど
用心していないと、うっかりと信じてはいけないものまで信じてしまいそうになる本でした。
shoeが先日読んだ本で、
イブはあんな場所、楽園だなんて思っていなかったという解釈がありました。
(そんなオオゲサではないですが)
男と違って女は複雑。
食だけが満たされた暮らしなんて真っ平ごめん。
で、蛇と結託して反乱を起こしたのです。
たとえそれが何でも、変化を楽しむ女子、ってことなのでしょうか。
脱線してしまいました・・・。
これ、斬新で魅力的な解釈ですね。
ちょっとポジティブな感じがします。
そうなると、蛇にだまされたお間抜け、じゃなくて、
反乱軍の指揮官っぽいですね。
カッコイー。
こういう類の本、読むとハマりますね。