硯水亭歳時記

千年前の日本 千年後の日本 つなぐのはあなた

  古き佳き日本人の典型を 台湾で知る

2011年06月21日 | 季節の移ろいの中で

山百合の花 スタンバイ OK

 

 

古き佳き日本人の典型を 台湾で知る

 

 

僕に、台湾・高雄市出身の大親友がいる。

もう早20年以上にもなるだろうか、

泌尿器科医で、日本で開業している陽気で気さくな御仁だ。

酒に滅法強く、酔えば、カラオケに直ぐ走る。

千昌夫の「北国の春」を歌うためだ。

但し故郷、台湾の高雄を思い出す手段でもある。

口癖は、「日本人なら日本人らしくしろ」と。そして彼は帰化した。

 

20日の小さな囲み記事に、台湾から被災地へ短歌が送られる話が載った。

台湾・高雄市にある義守大学応用日本語科発行の短歌・俳句集のこと。

年一回発行の、この雑誌には熱い思いが籠もっていた。

戦前日本の教育を受けた古老や日本語を学ぶ学生を中心に、

台湾歌壇のメンバー62名の、120首の歌が掲載されている。

同歌壇の代表、蔡焜燦氏が次のように述べている。

「国難の地震と津波に襲はるる祖国護れと若人励ます」と。

そして今回の災害に対し衷心からの歌が寄せられていた。

 

TAIWAN HAIKU「特集;東北関東大震災祈祷平安文集」とある

 

   「未曾有なる 大震災に見舞はれど 秩序乱れぬ 大和の民ぞ」

   「天災に 負けずくじけず 我が愛友よ 涙も見せず 鬼神をば泣かす」

   「原子炉の 修理に赴く男の子らの 『後を頼む』に 涙止まらず」

   「福島の 身を顧みず 原発に 去りし技師には 妻もあるらん」

   「大正生まれ 昭和育ちの我ならば 日本大災難に 心のしずむ」

 

又、今は亡き呉建堂(台湾歌壇の創始者)の歌が残されている。

「万葉の流れ この地に留めんと 命の限り 短歌詠みゆかん」

同じく今は亡き洪坤山(呉先生の愛弟子)の歌に、

「北に向き 年の始めの祈りなり 心の祖国栄えあれかし」

「日本語のすでに滅びし 国に住み 短歌詠み継げる人や 幾人」

500部発行のうち、200部が宮城・岩手の贈呈されるという。

 

 李登輝 元台湾総統の言葉


「『進歩』を重視するあまり『伝統』を軽んずるというような二者択一的な生き方は愚の骨頂だと思うのです。(中略)『伝統』という基礎があるからこそ、初めてその上に素晴らしい『進歩』が積み上げられるのであり、『伝統』なくして真の『進歩』などありえないのです。人類社会全体が危機竿頭の大変な状況に直面している時だけに、世界有数の経済大国であり平和主義国家でもある日本および日本人に対する国際社会の期待と希望はますます大きなものとなりつつある、と断言せざるを得ません。数千年にわたって営々として積み上げられてきた日本文化の輝かしい歴史と伝統が、六十億人余の人類社会全体に対する強力な指導国家としての資質と実力を明確に示しており、世界の人々から篤い尊敬と信頼を集めているからです」

 

台湾には植民地化された印象が薄いように思う。

韓国から、日本より占領されていたではないかと抗議されると、

日本はあらゆるインフラを整え、整理整頓してくれた恩人であるとし、

韓国と国交を断絶してしまったのである。李登輝さんは、

京都大学で農業を学び、台湾に農業を振興させた御仁でもある。

台湾全土に、村人が建立した日本兵への恩賜の御霊廟も多い。

 

そろそろ我が親友から、ライチが届く季節になっている。

 

叢に 密かに咲くカタバミの花 (僕は野の花が大好きだ)