タペストリーに飾ったクリスマス用グッズ
或る冬の日の献立
昨日から寒さが一層厳しくなりましたね、皆さまには、お変わりございませんか。次女の写真をアップしてから、どうも風邪気味で、病院に行ったら即入院。インフルエンザでした。子供たちに移すわけにも行かず、大人しく一週間ほど、静養を兼ねて点滴を打ち、情けない姿でした。漸く帰ってから、健康は食事からということで、早速キッチンへ立ち、久し振りに張り切りました。
妻は京都の出身ですが、どうもパン食が好きです。結婚当初は朝粥の色々を作っていたのですが、京都人の朝ご飯はパン食が殆どだと言われ、ガックリ。そこで石窯などを作り、セッセとパンやピザなどを作っておりましたが、「和食文化」が世界無形文化遺産になったそうで、旧知の村田吉弘(日本料理アカデミー理事長)さんに申し訳が立たず、再び一汁三菜のご飯中心と致しました。それでもイタ飯が好きな妻のために、和食だけとは行かず、ドイツでクリスマス時に食べられるドライフルーツケーキのシュトーレンを作ったり、フランスの世界遺産であるモン・サン=ミシェル参道にあるラ・メール・プラールが何と我がオフィスの直ぐ傍に開店したとかで、かの巨大で有名なオムレツをを真似て作ってみたり、白トリフを乗せたニョッキを作ったりして、日々の変化をつけ工夫しようと考えています。
我が家風(和風出汁で炊いた)パエリア
ドイツのクリスマスケーキ(ドライフルーツケーキ)
長女と長男が大好きな 我が手製のカスタードプディング
子供たちや家内に評判のいいお料理はいいのですが、私が中学時代に亡くなった母から懇切丁寧に教えてもらったのは殆ど和食で、母の亡き後に、父に持たせたお弁当も、ほぼ和食中心でした。学生時代、京都で板前修業を少々させて戴いたお店も和食の名店でした。ですから、我が家では和食は普通のことで不思議ではないのですが、どうやら現在のお母さんやお母さん候補の方々は面倒臭いということで、敬遠しがちだと伺っています。特に生魚の扱いはしたがらないのでしょう。その上、出汁の殆どは既成の出汁だとかで、お忙しい現代の生活人には当たり前だと逆に叱られそうですが、銅製おろし金と、山椒すりこぎ棒の区別もつかないようで、それって本当でしょうか。包丁に至っては菜切り包丁と出刃包丁の差も分からないようで、俄かに信じられません。和包丁には菜切り包丁・出刃包丁・薄刃包丁・刺身包丁・三徳包丁などが一般的で、洋包丁では牛刀とかペティナイフが殆どでしょうか。中華包丁もあるでしょう。我が家にはこの他、鱧切り包丁や蕎麦包丁やパン切り包丁など、全部で30丁ほどあります。切断面の良し悪しで味に微妙な差が生じるものです。
和食の最大の違いは「うまみ」にあるようです。和食の「うまみ」は一切油がないことです。フランス料理はバター、イタリア料理はオリーブ油、中華料理は胡麻油とオイスターソース。メキシコ料理はチレと、オリーブ油などで炒めた材料を煮るか炒めます。和食のうまみは、昆布・干し椎茸・鰹節や煮干しなどが中心で、一切の油はうまみ成分には入りません。無論、醤油や酢や味噌や酒・味醂や塩や魚醤や日本蜂蜜や和三盆なども大切な味の決め手です。更に米麹菌は日本独特のもので他国には全くありません。また村田吉弘さんが本店菊乃井と別にやっている木屋町店の露庵に行った時、カウンター越しに村田さんに聞いたことがあります。「今夜の先付に、キャビアがついてたけど、それって和食なの」と。そしたら村田さんから大笑いされてしまいました。「材料なんて何でもいいんだよ。和食の味付けで出せばいいのさ」と。日本人の和の文化と伝統があればいいというわけでした。世界中には55,000件もの和食屋さんがありますが、その殆どが妖しいもので、でもこうした機会に、それぞれの店舗が和食とは何ぞやと、一歩前に踏み出してもらえばいいなぁと仰っておられました。一方には日本人の殆どの家庭ではワンプレート料理が定番になっているとか、お米離れとか、本物の出汁を使用しないとかで、大いなる危機感を抱いているようです。今回の世界遺産指定は、何だか痛烈な皮肉に聞こえます。
これから正月を迎えます。お宅ではすべてお節は自身の手でお造りにならないのでしょうか。確かに元日から、各店舗は営業しているし、少しでもお料理を作る御夫人方の手間暇を休める必要もなく、お金さえ出せば簡単に購入出来るわけですから、正論を唱えるのは愚考でしょうか。でも古い当家では殆どが手造りです。手造りしながら、これはこんな意味があるんだよと、子供たちに言い伝えています。
戦後、「和」なるものが徹底に排除され、その結果本当に日本は安全な国家になったと言えるのでしょうか。幼い子を平気で殺し、養育施設では日常的に暴力がふるわれ、あってはならない立場の方がする卑劣な盗撮や淫行や痴漢など、後を絶たないのが現状です。性道徳の感覚は殆どゼロに等しく、様々なSNSによって、いとも簡単に性が売買されているとも聞いています(特にLineの掲示板)。純愛なんて死語になっているのではないかと不安です。「別れてから知るオトコの値打ち」とか言われ、リベンジ・ポルノなどと言う言葉は、最も卑劣です。世田谷の高校生殺人事件など、動画や画像が氾濫しているのも気掛かりで、ストーカーではなく、立派な重犯罪行為だと思いたいのですが、何か法制化や最低でも、加害者にストップ掛けられる適正な方法はないものでしょうか。要するに、「善きこと」が急速に失われて行くようでなりません。そもそもネットの発達が実感を伴わない以上、危険と言わざるを得ないのでしょう。こんな便利なものはないというのに、です。「善きこと」に使われるべきです。
我が家では不思議に大好物なロールキャベツ
これも売れ筋のホウレンソウの胡麻和え
人参と赤たまねぎの お酢の物
叔母の農園で出来た聖護院蕪で作った手製の千枚漬け 柚子も当家の樹から
NHK連続テレビ小説「ごちそうさん」は大好評のようです。朝ドラの王道でしょう。杏さんの魅力もさることながら、脇役陣もなかなかのものです。め以子にイケズを徹する和江役のキムラ緑子さんはドラマに重みを与えているようです。キムラさんはベテラン女優さんで、Eテレでは、毎週楽しみに観ている「グレーテルのかまど」で、かまど役になり画面には出て来ないのですが、演技力の確かな女優さんのようです。ばぁば役のトラに扮する吉行和子から、母親役のイクに扮する財前直美へ、そしてめ以子の杏さんへ、「あまちゃん」の時の親子三代物語となっていて、安心して観ていられます。更に嫁ぎ先のフーテン父親・西角正造役になる近藤正臣は素晴らしい味を出しています。目立たない存在ですが、義妹・希子役になる高畑充希さんもとっても可愛く素敵です。このドラマでは糠漬けが重要なキーワードになっているのでしょうか。当家にも長い季節を経た糠床があり、偶にいない私のために、毎日叔母が管理し取り扱ってくれています。美しい画面の「ごちそうさん」に負けないように、私がキッチンに立つ時は、極力和食で、精々美味しいものを作りたいものです。
昨日、京都・北野天満宮で、お正月の元日にお茶に入れて飲むと、健康に過ごせるという縁起物の「大塩梅」が配られました。一袋六個入りの梅干しが入っています。梅干しと言っても、天満宮にある梅の木1500本から採れる梅の実を塩漬けにし乾した素朴なものですが、家内の実家から三袋送られてきました。毎年のことだけれど、義父母にはいつも感謝しています。来年こそ、私自身こそ健康で通そうと、改めて決意しています。更に同送されたものに、京都料理組合が毎年やっている和食展示会が何と100回記念だとか、京都・岡崎・京都市勧業館「みやこめっせ」で、第100回記念「京料理展示大会」が開催されたようで、老舗料理店参加の展示会ですが、何とも意義深いものでして、パンフレットなども送って戴きました。妻が実家のお雑煮を懐かしんでくれるように、お正月には白味噌仕立てで、丸餅のお雑煮もお作り致しましょう。無論関東煮のアッサリ味のも。そしてそろそろお節料理用に、各地へ産地直送の材料調達の準備に取り掛かります。今度の正月は何人来るのでしょうか。楽しみでもあり、恐ろしくもあり・・・・・・・・。