とはずがたり

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TNF-αは静脈内皮細胞におけるClaudin-11低下を介して静脈からのChloride漏出を誘導する

2021-03-03 23:24:06 | 免疫・リウマチ
この論文で著者らはTNF-αが静脈特異的にChlorideイオンの漏出を促進し、その過程にはTNF-αによる静脈内皮細胞の細胞間tight junctionタンパクClaudin-11の低下が関与していることを明らかにしました。TNF-αの下流ではPanx1 channel活性化→TRPV4 Ca++ channelの活性化が生じ、これがATPの細胞外への放出を誘導します。放出されたATPはendonucleotidease CD39によってadenosineへと加水分解を受け、A2A adenosine受容体の活性化を誘導し、結果として静脈内皮細胞におけるClaudin-11の低下と漏出増加をきたします。著者らはこれが敗血症におけるTNF-αの病態形成メカニズムの一つではないかとしています。
関節リウマチの病態においてもTNF-αによる静脈からのChloride漏出が関与しているのでしょうか?ところでMTXは細胞外adenosineを増加させ、A2A 受容体を活性化することが抗炎症作用に働く可能性が報告されています。A2A 受容体活性化という点ではMTXとTNF-αと共通しているようにも思えるのですが、両者の作用がどのような関係にあるのかは興味深いところです。
Maier-Begandt D et al., A venous-specific purinergic signaling cascade initiated by Pannexin 1 regulates TNFα-induced increases in endothelial permeability. Sci Signal. 2021 Mar 2; 14(672): eaba2940.


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