とはずがたり

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COVID-19における血栓性微小血管症

2020-10-05 17:06:29 | 新型コロナウイルス(治療)
COVID-19に見られる血栓症についてのreview articleです。
COVID-19の重症型ではしばしば動脈・静脈血栓症を生じ、生命予後を左右することが知られています。ICU患者184人を調べた研究では、2週間で49%の症例に肺塞栓を始めとした動脈・静脈血栓が見られことが報告されています(Klok et al., Thromb. Res. 191, 148–150, 2020)。また死亡例のうち71%が古典的なDIC(播種性血管内凝固症候群)の基準を満たした(生存例では0.6%)という報告もあります(Tang et al., J. Thromb. Haemost. 18, 844–847)。しかしCOVID-19の病態とDICとでは異なる点も多く、例えばCOVID-19では血小板減少はDICほど顕著ではありませんし、血中フィブリノゲンはむしろ上昇します。中でも重要なのは、DICでは見られない補体活性化がCOVID-19血栓症では見られることです。このことから著者らは、COVID-19の病態はDICよりも劇症型抗リン脂質抗体症候群(catastrophic antiphospholipid syndrome)や志賀毒素産生大腸菌による溶血性尿毒症症候群 (haemolytic uraemic syndrome)などの、血栓性微小血管症(thrombotic microangiopathy: TMA)に近いものであろうとしています。したがってTMAの治療として用いられる免疫グロブリン大量静注療法(IVIG)や血漿交換、IL-6阻害、抗補体療法などを早期に用いることが血栓予防に有用ではないかとしています。
  


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