とはずがたり

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COVID-19の味覚・嗅覚障害

2020-05-12 05:50:56 | 新型コロナウイルス(疫学他)
スマートフォンアプリ(Science. 2020 May 5. pii: eabc0473. doi: 10.1126/science.abc0473)に様々なCOVID-19関連症状を登録した2,618,862名(イギリス2,450,569人、アメリカ168,293人)のうち、イギリスでは15,638人、アメリカでは2,763人がSARS-CoV-2のRT-PCR検査を受けました。イギリスでは6,452人が陽性でしたが、そのうち、味覚・嗅覚の障害をうったえていたヒトはPCR陽性者で64.76%であり、陰性者の22.68%より有意に高いという結果でした(年齢、性、BMIを調整したodds ratio, OR = 6.40; 95% CI = 5.96–6.87; P < 0.0001)。またこの結果はアメリカのコホートでも再現されました(OR = 10.01; 95% CI = 8.23–12.16; P < 0.0001, inverse variance fixed-effects meta-analysisで調整したOR = 6.74; 95% CI = 6.31–7.21; P < 0.0001)。驚いたことにこのORは咳嗽や発熱などよりもずっと高いものでした。
著者らは様々な臨床症状からSARS-CoV-2陽性を算出する予測式を作成し、アメリカ、イギリスでRT-PCRを受けていない対象者805,753人について検討したところ、17.42% (14.45–20.39%)が感染の可能性あり、という結果でした。
COVID-19の初期症状として味覚・嗅覚障害があるということは臨床上知られていましたが、このアプリを用いた研究から、これらの臨床症状は診断に非常に有用であると考えられます。それにしてもPCRの陽性率が高いですね。 


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