とはずがたり

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外来リウマチ性疾患患者におけるCOVID-19感染(イタリアLombardy地方からの報告)

2020-06-11 13:40:26 | 新型コロナウイルス(治療)
イタリアのLombardy地方の2つのクリニックに通院するリウマチ性疾患患者の新型コロナウイルス感染症の頻度や重症度に関するサーベイの結果です。955人の患者(RA 531人、PsA 203人、SpA 181人、その他40人、平均年齢53.7歳、女性67.4%)を調査ました。47.3%は生物学的製剤の単独使用で、43%超の方が一つ以上の併存症(高血圧20%など)を有していました。このうち鼻腔咽頭swabの検査によってCOVID-19と診断されたのは6人(RA3人、SpA2人、サルコイドーシス1人)で5人は抗TNF-α製剤(etanercept3人、adalimumab1人、infliximab1人)、1人はabataceptで治療を受けていました。4人はcsDMARD(MTX2, LEF1, SASP1)、2人はヒドロキシクロロキンを内服していました。3人が入院しましたが、重症者や死亡例はありませんでした。診断後一時的にヒドロキシクロロキン以外のcs/bDMARDによる治療を中止しました。COVID-19の罹患率は0/62%で、一般人の感染率(0.66%)と変わりありませんでした。ほとんどの患者は治療を続け、疾患活動性にも変化はありませんでした。144人は呼吸器症状を呈しましたが、PCRは行いませんでした。以上の結果より、リウマチ性疾患患者においてCOVID-19の感染率が高いということは言えず、少なくとも感染が明らかになるまでは原疾患に対する適切な治療を続けるべきだという結論です。
Ennio Giulio Favalli et al., Arthritis Rheumatol. 2020 Jun 7. doi: 10.1002/art.41388. 
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1002/art.41388


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