学生時代に雀卓を囲んでいた時、へぼなリーチをかけて、それでもラッキーでつもったりすると、「なんだその待ちは!このタコが!」と友人に罵られたものです。タコはヘタクソの代名詞だったわけです(参考文献 片山まさゆき著『ぎゅわんぶらあ自己中心派』)。しかしタコには5億個ものニューロンがあり(人間は1000億個)、脳ではなく腕に3分の2が集まっていることが知られており、高い知性を有しているのではないかと報告されています(詳細は「タコの心身問題―頭足類から考える意識の起源[ピーター・ゴドフリー=スミス著 みすず書房]をお読みください)。この論文で著者らは、ゲノム解析やパッチクランプ法を用いて、Octopus bimaculoides(カリフォルニア・ツースポットタコ)の吸盤には他の動物には見られないような多くの種類の非定型的なアセチルコリン受容体が存在することを見出しました。著者らはこれらを化学触覚受容体(chemotactile receptor, CRs)と名付けていますが、CRは、タコの吸盤上皮に見られる特殊な化学感覚細胞で発現します。吸盤上皮に存在するもう一つの細胞は、NompCを発現するメカニカルストレス受容細胞です。このようなシステムはタコが吸盤を使って獲物(や敵)を触ることでこれらの表面に存在する化学物質を「味わっている」ことを示しています。著者らが試みた化学物質ではCRsを活性化することはできませんでしたが、タコのスミによって活性化は強力に抑制されました。
このようにタコは吸盤にユニークで精緻な感覚器を発達させており、麻雀をしたら盲杯なんてお手のものなわけです。タコには本当に失礼なことを言っていた(言われていた)と反省しきりです。
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