週刊 最乗寺だより

小田原のほうではなく、横浜市都筑区にある浄土真宗本願寺派のお寺です。

勝田山 最乗寺
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しっかりしっかり

2011-10-19 01:04:16 | 仏教小話

漢字で「確り」と書く「しっかり」。
この「しっかり」の語源は、金沢の加賀友禅にあるというお話を聞きました。

着物の世界には「悉皆屋(しっかい)さん」という方がいます。

もともとは、江戸時代に大阪で染め物や洗い張りなどの注文を取り、京都の専門店に取り次ぐことを生業とした人のことを言いました。

現在では、白い反物が着物へと仕上がるまでの工程に関わる、あらゆる職人さんたちの間を取り持つ重要な役割を担う人を「悉皆屋さん」というのだそうです。

そして金沢では、この「悉皆」が「しっかり」の語源であると言われているとのことでした。

さて、「悉皆」は仏教の経典にもよく出てくる言葉で、「みなことごとく」と読みます。
意味としては、「一人残らず」といったところでしょうか。

よく知られている語としては、「山川草木悉皆成仏(さんせんそうぼくしっかいじょうぶつ)」という言葉が、天台宗の最澄のものとして教科書にも載っています。

しかしながら、この言葉の典拠は存在しないとのこと。

この言葉と似た言葉に「草木国土悉皆成仏」というものがあり、これは平安時代の安然という天台宗の僧侶が書いた著作の中に確認できるそうです。
教科書は絶対ではないので要注意ですね。

何はともあれ、これらの言葉には『涅槃経』にある「一切衆生悉有仏性(いっさいしゅじょうしつうぶしょう)」という言葉が思想の源流にあります。

「すべての生きとし生けるものには仏となる本性がある」

その「すべて」の中に、石などの無生物や植物などが含まれなかったのがインドの仏教。
それらもまた、私と等しく仏のいのちを生きるものとして考えられたのが日本の仏教。

何一つ軽んじていいものはないということ・・・。

だから今日も、皆悉く、しっかり生きましょう。



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