週刊 最乗寺だより

小田原のほうではなく、横浜市都筑区にある浄土真宗本願寺派のお寺です。

勝田山 最乗寺
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もう一つの表紙文

2017-07-17 23:38:03 | 法話のようなもの

1年ぶりに別サイトのコラムの更新をしました。
 
「7月の読書感想文 『ONE PIECE』」
   http://merry-shaka.com/?eid=977

寺報の表紙文がベースになっています。
引用が法然上人からお釈迦さまに変わっていたり、補足が入っていたりと、違いを楽しんでいただけたらと思います。


実は今号の表紙文には、ボツになったものがあります。
最初に『ONE PIECE』について書いた文でしたが、いまいちピンとせず書き直してしまいました。
でも、せっかく書いたので、こちらのほうで公開しようと思います。

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最近、息子が「ONE PIECE(ワンピース)」を読み始めました。
海賊の少年・ルフィが仲間とともに「ひとつなぎの大秘宝(ワンピース)」を求め旅する物語で、週刊誌に20年連載されている日本を代表する人気漫画です。

物語の重要な要素の一つである「悪魔の実」。
一口食べると泳げなくなることと引き換えに特殊な能力が備わるというもので、小さい頃にゴムゴムの悪魔の実を食べたルフィは、体を変幻自在に伸縮させる能力を持っています。

他にも炎を操る、描いた絵を実体化させるなど、悪魔の実による能力者が次々に現れます。

夢中で読んでいる息子にどの実を食べたいかを聞くと「ゴロゴロの実がいい」との答えが。

これは雷の能力が備わる実で、雷の速さで移動でき、金属内も伝い動くことができます。
また電気ショックで蘇生も可能という、とても便利そうな能力ですが、物語に出てくるゴロゴロの能力者は2億ボルトの電力で破壊の限りを尽くしました。

破壊の原因は悪魔の実ではありますが、悪魔の実が悪いのかというと、そうではありません。

ただのハサミも紙を切るか、人に向けるかで大きな隔たりがあるように、手に入れた能力をどう使うのか、そこにある意思によって良し悪しが分かれてしまうのです。

過ぎた力によって引き出された欲望が善悪の線引きを歪めてしまうのは物語ではよくあること。
しかし親鸞聖人の「善悪の字しりがおはおおそらごとのかたちなり」との言葉にあるように、海賊に肩入れしながら物語を読む私の善悪も、己の都合に偏った空言でしかないのです。

舵のない私が大海原で遭難しないため、親鸞聖人という航海士が残した指針は、進む航路を今なお、お示し下さっています。

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こんな感じです。



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