佐賀大学病院放射線科アンオフィシャルブログ ~さがの読影室から~

放射線科医の日常や、診療紹介、推薦図書などをご紹介します。問い合わせ先等、詳しくはカテゴリー「はじめに」をご覧下さい。

今年もお世話になりました (&餅イレウスの画像所見)

2007年12月31日 13時01分24秒 | オフタイム
 2007年もあと十数時間となりました。仕事中の方はお疲れ様です。

 佐賀も今夜は雪が降りそうですね。初詣や、初日の出(は、無理でしょうか)に行かれる方はお気をつけて出かけられてください。

 お雑煮などで、餅を食べられる方は決して飲み込まず、良く噛んで食べてください。気道だけでなく、消化管に詰まる恐れもあるので。ちなみに、餅による食餌性イレウスの場合、単純CT上、閉塞部位から中枢側の消化管内の高吸収を認めることが特徴との報告があります。病歴とともに診断に有用な所見です。治療適応については、文献上は手術療法が多いようですが、自験例や最近の報告では身体所見に応じて保存的にみられるものもあるようです。

 今年の佐賀大学放射線科については、医局長記事『人は石垣なり、人は城なり』をご参照ください。
 
 本年も大変お世話になりました。

JASTRO報告記 12.13 粒子線セッション

2007年12月31日 12時33分37秒 | ホームページ 放射線治療について
 Dr.hirakoの2007JASTRO報告記、抜粋版の年内最後は、粒子線のセッションからです。

 粒子線については、箱物行政の後押しもあって粒子線治療施設の計画が全国に多数あるが、適切な施設数はいかほどなのかという問題について議論されていました。粒子線は、その線量分布の特性や炭素線に限ってはRBEが非常に高いため、脊索腫や悪性黒色腫などの特殊疾患についてはまず問題なく適応になるが、頭頸部癌/肺癌/前立腺癌などの一般的疾患について、費用対効果がどれほどあるのかは疑問である。

  現在はX線であってもIMRTなど高精度な治療を行なうことで、粒子線と近似の線量分布が可能になっており、一般疾患については必ずしも粒子線の必要がないのではという話でした。陽子線は治療費用が1人300万として、最低年間300症例を行なわないと収益があがりません。IMRTは現在のところだいたい100~150万で行なわれており、費用は安い、しかも既存の照射装置で行なうことができます。またIMRTは今の流れでいけば、保険診療になる可能性が高いようです。

 これだけ聞くとIMRTに分がありそうですが、実はIMRTはスループットが低く、患者さんの数をこなすことができない。検証に時間がかかるため、現場への負担は多大なものがあります。

  粒子線治療は、実は日本が一番進んでおり、これを推進することは長期的には、医療界/産業界にとっては益となる可能性が高いともいえます。皆さんはどう思いますか?

 

大荒れの年末

2007年12月30日 23時30分19秒 | オフタイム
 日本全国、大荒れの年末・年始になりそうですね。新しい年を迎える準備は進んでいますでしょうか。

 大掃除、年賀状、年越しそば、おせち料理etc... 
  
 僕達は明日の夜まで鹿児島なので、佐賀の自宅は2007年の垢にまみれて待っているような状態です。おそらく、夫婦二人で過ごすことのできる大晦日はしばらくないと思うので、のんびり過ごすんだろうなぁ。

 今日の写真は北海道の写真です。大雪の合間にとってもらいました。冬の北海道には、この数年は帰っていませんが、いつか雪を見せに行きたいですね。

 

生物選択の放射線科医ですが

2007年12月29日 23時39分53秒 | 独断!放射線科医の推薦図書
 昨日は仕事納めでした。MIZ先生、医局長の指揮のもと読影室、当直室の大掃除が敢行されました。来年から新たな読影環境になるので、2007年の締めくくりとして読影室は大改造されました。

 本日は鹿児島へ帰省。新幹線の中でこの本を読んだので、ご紹介です。

 放射線科医は物理、数学、コンピューターに強いという印象をもってる学生や研修医、他科のDr.は多いかと思います。実際はそんなことはないようで、少なくとも僕のように生物選択で、数学やコンピューターも苦手という放射線科は多少はいるようです。

 個人的に、教養としての物理学の理解不足へのコンプレックスがあり、MRIの理解のためにも必要かなと思い、この本を手にとってみました。

 サブタイトルにもありますが、力学の基礎から電磁気学・量子力学までが、わかりやすく書かれています。歴史的な背景や、思考実験を織り交ぜながら書かれており、興味を持ってすいすいと読み進めることができました。著者は高校教諭で、この先生に教わることのできる高校生をうらやましく思います。

「物理」を楽しむ本 (PHP文庫 い 56-1)
井田屋 文夫
PHP研究所

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放射線科選択初期研修医感想

2007年12月28日 18時42分54秒 | ローテーター研修医の感想

 10月~12月まで選択、必修併せて3ヶ月研修してくれたtoruくんの感想です。

 僕は2ヶ月間を選択、1ヶ月間を必修で放射線部の研修をさせていただきました。
 選択では1か月を腹部超音波残りの1か月は透視の勉強をしました。
 
 まずは腹部超音波ですがほとんど初心者に等しい状態で臨みましたが基本的なプローブ走査や解剖、所見の読み方を懇切丁寧に教えてもらえるので1か月終了した時点ではひととおりのスクリーニング検査はできるようになれたと思います。腹部症状はありふれた症状なので、その際に侵襲のないエコーを用いてある程度の診断をつけれる事は武器になると思います。
 透視検査は主に胃透視・大腸透視・小腸透視を行っており透視を専門とする先生のもとマンツーマンで指導していただける(MIZ先生)ので色々な症例についてディスカッションする事ができます。
 ただ大学病院という事もあり症例は精密検査を主とする事が多くてスクリーニング目的の検査が残念ながら少ないのですが、僕は週に2回外病院の人間ドッグに胃透視検査をさせてもらい行かせていただいたので上部消化管透視の一連の流れを学ぶ事ができました。現在消化管検査の主流は内視鏡検査ですが患者様の中には侵襲の強い内視鏡を好まれない方もいますので、その際に透視検査にて粗大病変の有無を評価できるという事は心強いと思います。
 必修では主に読影の勉強ですが、毎日自分で読んだレポートを指導医の先生が一緒にチェックしていただけるのでその場で質問もしやすいし、画像診断能力は向上すると思います。周りの先生方も教育熱心な方ばかりなので、やる気を持って臨めば応えてくれます。自分的には充実した研修を送る事ができたと思いますので、これからの研修医の先生方もぜひ放射線科で研修されてはいかがですか?

 
 toruくんはインフルエンザワクチンの接種やそのほか、いろいろと活躍をしてくれました。急性腹症のCTという本を含め(研修期間中1冊以上読破した研修医は初めてです)、よく勉強をしていました。辛口のguri先生も「伸びたね」と褒めていました。
 放射線科の有意義な研修の仕方についてはtoruくんに聞くと良いと思います。

 ほんとうにお疲れさまでした。また放射線科に来てくださいね。


人は石垣なり、人は城なり

2007年12月27日 14時16分36秒 | オンタイム
現医局長のNです。まず最初に昨日医局長選挙にて来年度の医局長がキング先生に決まったことを報告させていただきます。キングおめでとう!後はよろしく!っで、先ほどmune君に「今年を振り返って医局長として何かブログにコメントをください!マジっすか?さすが!?」と言われ書いてます。個人的には今年は腹部アンギオのチューフから始まり、学位の取得、アンギオメンターの稼働、講義、電子カルテ等々ありましたが、医局長としては、なんといっても今年四月から医局員が二人欠員という状況でスタートし、途中更に二人欠員となり、大学での仕事や兼業の割り振り、夏休みの予定票作り等大変苦労しました。自分の運のなさを実感すると同時に、医局員全員大変つらかっただろうと思います。ここにお詫び申し上げます。「人は石垣なり、人は城なり」戦国武将として有名な武田信玄は人材の重要性をこのような言葉であらわしています。いつの時代でも同じで、信玄様?信玄君?いや信玄も何らかの経験を通し人・仲間の大切さを学んだのだとあらためて思いました。今年前半~中盤はこのような状況でしたが、後半の流れはi先生がみえられたことで大きく変わりました。i先生でよかったと私を含め皆大変喜んでいます。更に教授を含め医局員全員が人材を増やすよう努力していただいた結果成果が得られ、来年度は人員増加!追い風間違いなし!という状況になり、ストレスで病気になることもなく医局長の仕事をなんとか完遂できそうです。後三ヶ月残っていますが、ひとまずありがとうございます。最後に医局長をやった感想としては、正直医局長をやるのは一度で十分です!という感じですが、医局長をやらなければわからないこと、やってはじめてわかることが沢山あります。医局のために頑張るぞ!という人は問題ありませんが、そうではない人も人生勉強の一つになりますので一度は経験しておいて損はない仕事かと思います。それと医局長をやるなら「人は石垣なり、人は城なり」をまず念頭におき、頑張ってほしいと思います。以上。

研修医のメンタルヘルス

2007年12月26日 20時56分42秒 | オフタイム
先週、指導医養成のためのワークショップに参加した記事を書きましたが、今回はその中でも皆さんに知っていただきたいことを取り上げてみました。
①「うつ病」や「適応障害」になりやすい環境として
・頻繁に環境が変わる
・自分のペースで仕事ができない
・周囲の期待、責任が大きい
・まとまった休養がとりにくい
といった所があげられます。まさに必修化後の臨床研修医の状況です。
②いつもと違う研修医に注意
・カンファレンスの時に声が震えている。過度に緊張しているように見える
・電子カルテに向かってボーっとしている。
・「マスク」をはずそうとしない(涙目を隠すために覆い隠すようにしている)
・目が潤んでいる(涙を流している)
このような研修医を見かけたら卒後研修センターのスタッフに相談するようにアドバイスをしてあげてください。
③こういう人は要注意
・今日できることは明日に延ばさない
・カンファレンスの準備に手を抜かない
・人一倍やっているのに、自分の能力が劣っていると誤解している
・愚痴は聞くけどこぼさない
・指導医の悪口を言わない
だそうです(私のようなタイプ、ということでしょうね)。
④適応障害改善への経過
・1週間:1日中眠たい
・2週間:朝、起きられるようになる
・3週間:目つきがしっかりしてくる
・1ヶ月:1日のリズムが出来る。倦怠感も軽減し、良く話しができる。周囲からは元通りに見えるが、まだなんとなく自然な感じではない。この時期の復帰はまだ早すぎるそうですので、指導医のみなさん、プレッシャーをかけて無理矢理引きずり出すようなことはやめてくださいね。
・3ヶ月:焦りが無くなる。朝、気持ちよく目覚めるようになる。暇だと感じるようになる。夜の薬も服用を忘れる。この時期に復帰するのがベストとのこと。

あと、講師の先生が強調されていたのは、適応障害で研修を中断したからといってその人が能力的に劣っている訳ではないという点です(研修先をかえて、そこで論文を一つ書き上げた人もいるそうです)。      by guri

胸部単純X線写真おすすめ1

2007年12月25日 21時35分43秒 | 独断!放射線科医の推薦図書
 忘年会もおわり、年末年始に向けて気が抜けてしまいそうですね
 今回の推薦図書はそんな自分への戒めもこめ、基本の胸部単純X線写真についてです。

 画像診断の基本とも言える胸部単純X線写真。画像になじみの深い放射線科医にとっても奥の深い診断学で、研修医もまず悩むところと思います。

 勉強に王道はなし、とよく云われますが、時間を争う仕事の場ではそんなことは言ってられません(漢字はあってるかな??)。本書は、読影のトレーニングとしても有用で、かつ、実際に異常所見をみたときにパッと調べるといった使い方もできます。

 本の構成は、陰影のパターン、解剖構造ごとにそれぞれの章となっていて、簡潔に症例問題形式でまとめられています。多くの症例では胸部CTとの対比があり、X線写真の成り立ちの理解に役立ちます。学生さんがパラパラとみて勉強するのにも、読みやすい本と思います。
 ポータブル撮影とICU Radiologyの章があるのも特徴かも知れません。
 
 画像診断という雑誌の臨時増刊号なので、良本なのは間違いないと思います。
 ぜひ一度、手に取ってみてください。

胸部単純X線診断をきわめる
酒井 文和
秀潤社

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JASTRO報告記 12.13 食道癌セッション

2007年12月24日 15時35分14秒 | ホームページ 放射線治療について
 hirako先生のJASTRO報告記より、食道癌セッションについて一部抜粋です。

 食道癌では主に国立ガンセンター東での食道癌化学放射線療法の変遷と現状について勉強してきました。2002年までは手術vs放射線化学療法ということで、生存率の点でほぼ同程度の治療成績を挙げることができたが、晩期の有害事象が少なからず認められた。
このため、2003年から放射線の線量を落として多門照射にして、再発例に積極的にサルベージの手術を行なう方針にしたが、従来の治療成績を維持しつつ有害事象を軽減させることに成功したという内容でした。また、多門にすることで生じる肺の低線量域の増加についても検討されており、症状を伴った肺臓炎については従来の頻度と変わりなかったという報告でした。

二丈で波乗り

2007年12月24日 15時25分26秒 | 波乗りなど
 二日続けて波乗りにいってしまいました

 6時に医大に集合して、暗い中を出発。唐津方面をみましたが、オンショアの風が強く、波がぐちゃぐちゃだったので諦めて北上。どのポイントもいまいちでしたが、サーフィン部若手の(20歳!!)takuyaくんに押されて二丈まで向かいました。

 二丈のポイントは思ったより風をかわし、ちらほらとサーフィンを楽しんでいる姿がみえました。寒い中ぱっぱと着替え、海に入りました。サイズはセット腰~腹程度、たまにインサイドでショルダーの張る波もあり、わりと楽しむことができました。

 今日の写真モデルはtakuyaくん。撮影機材はXacty DMX-CA65です。忘年会にも使ったムービーカメラです。

 しかし、行きの運転途中に昨日のサーフィンによると思われる背筋群の筋肉痛が発覚。少なからずショックでした