あ・しねま・たいむ

今日も映画でまったり

モンパルナスの灯

2016-12-19 15:38:21 | 映画1958
病と 貧困に悩まされながら絵を描き続けた、
エコール・ド・パリの異色画家アメデオ・モジリアーニの伝記映画です。
彼は世間に認められることなく36歳という若さでその生涯を終えました。

1917年のモンパルナス、モジリアーニはどん底の生活をしていました。
肺結核に冒され、麻薬と酒に溺れる日々。
そんな毎日でも、友人のスボロウスキーらに支えられ絵を描き続けています。
ある日、彼はジャンヌという画学生と出会い、激しい恋に落ちます。
一緒になることを誓いあうモジリアーニとジャンヌ。
しかしジャンヌの父親は許そうとはせず、
出ていこうとする彼女を監禁してしまいます。
傷心のモジリアーニは体調を悪化させ、療養のため南仏ニースへ移されます。
その彼の元に、家出したジャンヌが現れたのです。
ともに暮らし始めたふたりですが、
相変わらずモジリアーニの絵は、誰にも見向きもされませんでした。

一般人は目もくれないモジリアーニの絵の価値を、才能を、
分かっている男はいました、画商モレルです。
彼はモジリアーニの友人であり援助者でもあるスボロウスキーに言います。
「彼は飲みすぎる、そう長いことはないだろう。その日に全部買う」
モジリアーニの作品が評価されないうちに安く買い占めてしまおう、
そうモレルは考えていたのです。

お金のためにとスケッチを売り歩くモジリアーニ。
しかし一枚も売れず、絶望を抱えて夜の街を彷徨っているその後ろを、
モレルは影のようについていきます、見届けるように・・・。

映画の最後は、
モジリアーニの家を訪ね、急いで絵を購入しようとするモレルが、
「 お金より励ましが大事なんです、でも売れるのは久しぶりです」
と何も知らないジャンヌに嬉しそうに微笑みかけられて、
その瞬間だけ目を逸らしますが、
そのあと部屋にある絵を、次から次へと漁ってゆくシーンで終わっています。


カラーではなくあえてモノクロ映像で撮った作品です。
そのモノクロ映像が、溜め息をつくほど美しいです。
モジリアーニとジャンヌが激しく惹かれあい、そして結ばれた瞬間も、
薄いガラス細工のような危うさや、
ハッピーエンドにはならないだろうという予感めいたものを感じるのも、
モノクロ映像ならでは。
ジェラール・フィリップとアヌーク・エーメのおふたり、
その絵にぴたりと嵌まっているんだよね~。
ジェラール・フィリップは酒と麻薬と女に溺れているにも関わらず、
品が良くて限りなく繊細。
アヌーク・エーメは・・・なにがあろうと汚れず、ひたすら綺麗です。
昔観たときと違って、ジャンヌを監禁した親の気持ちもわかるようになりました。
親としては不幸になるのがわかる結婚だもんなあ。
不幸かどうかは本人が決めることとはいえ。
調べたら、ジャンヌはモジリアーニが亡くなった2日後に、
飛び降り自殺しているんだよね。
しかし、亡くなったあとで絵が高額で取引されるってどうなのよ?


監督…ジャック・ベッケル
モジリアーニ ジェラール・フィリップ
ジャンヌ・エビュテルヌ アヌーク・エーメ 妻
ベアトリス リリー・パルマー  モジリアーニの元恋人
画商スボロウスキー ジェラール・セティ  モジリアーニの友人
画商モレル リノ・ヴァンチュラ
ロザリー レア・パドヴァーニ モジリアーニの元々恋人
1958年9月公開



モジリアーニの絵の雰囲気そのまま、
繊細で美しい物語でした。


描いてみました、色鉛筆で
モジリアーニの絵って、どれも目で語っているようですね