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コペルニクスのこぼれ話

2010-09-26 21:53:47 | 雑感
「科学」を考えるシリーズ。前回のこぼれ話として話が脇道に逸れますが、コペルニクスについて一言。

コペルニクスの職業はカトリックの司祭でした。それなのに何故キリスト教的自然観を疑うに至ったのか?

その理由はおそらく、「コペルニクスが教皇絶対主義者だったから」だと思います。

「『教皇は太陽、皇帝は月」って、インノケンティウス3世は言ったけど、宇宙の中心が地球だったらその台詞、あんまりかっこよくないなぁ。」

太陽を教皇の象徴とする考え方が当時ありまして、キリスト教の教皇が世界の中心であったほうが世の中をうまく説明できる。そういう発想です。

ただし、聖書の中には「地球は宇宙の中心で、そのほかの星は主人である地球を中心に回っている」という内容の記述があり、教皇を崇拝するあまり、本来の研究対象であるはずの聖書を無視してしまうという、とんでもないミスを犯してしまったわけです。

そんなコペルニクスについて、聖書中心主義を唱えてカトリックを批判したルターは、
「天地をひっくり返そうとした阿呆」
と批判しました。

ついでに、コペルニクスの太陽中心モデルで正確に惑星の運行を予測できなかったのは、コペルニクスが
「世界は神によって創られたのだから、惑星の運動は美しい円軌道に違いない」
という思い込みから、惑星の運動に円軌道を当てはめて計算したからです。(実際は楕円軌道)

結果として科学的に従来より正しいモデルを提案したコペルニクスでしたが、その背景にはキリスト教に対する思い込みが強力に作用していた、というお話でした。

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