goo blog サービス終了のお知らせ 

中国迷爺爺の日記

中国好き独居老人の折々の思い

お布施

2010-08-21 10:53:15 | 身辺雑記
 ある流通大手の企業が、手がけている葬儀紹介サービスの中で、お布施の価格目安を出したら、仏教界が「布施に定価はない」と反発しているという記事を見た。いったい布施はどれくらい出せばいいのか、という悩みに応えたものらしいが、寺側は「企業による宗教行為への介入だ」と受け止めているとのことだ。

 この企業のサービスは、伝統仏教各宗派の僧侶を、客の要望に沿った内容で紹介するというもので、その中で戒名の種類別や読経の有無ごとに、布施の金額を目安として示した。例えば「通夜」「葬儀」「火葬場での読経」「初七日」の読経に加えて、「信士」といった戒名をつけた場合は25万円を目安としているようだ。サービス料も含んでいるのだろうが、高いのか安いのか。

 私の家は神道なので、お布施というものはなく、これまで両親や妻の葬儀の場合の神官への謝礼(玉串料)は数万円のごく安いものだった。しかし、仏教の場合はそうはいかないらしく、いったいいくら出せばいいのか、「お気持ちだけで結構です」と言われてかえって悩んだという話はよく聞く。そんな言い方は阿吽の呼吸を測っているようでよくないと思うのだが、寺の方でもその家の経済状態がわからないから、曖昧にするのだろう。それなら宗派によって定価か標準価格を決めればと思いもするが、寺によってはなかなかそうはいかない事情があるのか。中にはそんな程度では我が家の沽券に関わるという信徒もいるのかも知れない。そういう場合には気持ちが済むだけ上積みすればいい。

 この企業のサービスに対する、企業による宗教行為への介入だという寺側の反発も少々仰々しい言い方だし、現実を知ってか知らないでか、いささか気楽な言い分だと思う。実際お布施の額は、場合によっては私などは目を剥くようなもののように思う。ウン十万などはざららしいし、お布施の中に入るのだろうが戒名料などもあって、これがなかなかバカにならないものらしい。先だってHr君は母親の法要を静岡の父親の家の菩提寺で営んだが、寺の住職とは幼馴染ということもあって、諸費は安くしてもらい、戒名料もそこそこの額だったようだ。ところがその戒名をこちらの寺で位牌に書いてもらうだけで3万円取られたようで驚いていた。「お筆料」と言うそうで、まったく「坊主丸儲け」とはよく言ったものだ。

 とにかく仏教で葬式を出すのは大変なことだ。通夜、葬儀だけでは終わらない、その後も初七日とか四十九日とか何回忌とか延々と続く。そのたびにお布施を出さなければならない。神道でも50日祭とか1年祭とかはあるが、ごく簡素なもので、神社からこまめに通知してくることもない。私の家も元来は仏教だった。それが五男だった祖父が長兄の墓所から独立して墓を造り、宗派も神道に変えた。東京都営の霊園にある墓の管理料は年間4,200円だ。仰々しいことは苦手で裕福でもない私は、今更のように祖父に感謝している。

  
  (日曜日はブログを休みます)