わたしの住む地域には若手農業者がたくさんいます。
ビニールハウスで栽培する施設園芸が盛んなので、1人では出来ないビニール張りの仕事を、地域の仲間で助けたり、助けられたりしています。
その中で地域の先輩から教えを受ける後継者育成術、「結い」という独特の風習があるんです。
子供は、父親から自分の家のやり方を学んでいくのが一般的だと思うけど、私たちの地域では、自分の子供には何も言わず、地域の先輩から、勉強、激励、酒の飲み方、しつけ等を学んでいます。
私もそうでしたが、最初から就農する人はなかなかいない。
他産業に就職した子供に「親父もそろそろ弱ってきたからそろそろ帰ってこないか」と誘い、まずはビニール張りなどの共同作業から入っていく。
足が震えてハウスの上に登れない者を、なだめたり、褒めたりしながら体験させ、夜は酒を飲ませながら延々と「お前はこの地域に必要なんだから、戻ってこなければいけないよ」と話をし、本人をその気にさせるという「結い」の風習。
おかげさまで、私たちの地域には若手が多く、“担い手不足”とは無縁です。
今日のビニール張りでも、誰かが「結い」の標的になりました