子どもの頃、近所に花好きのおばさんがいたので、春にはよく花畑の手伝いをした。
子どもたちは、みな自分のちいさな花畑を持っていて、おばさんのお余りのダリアなどの球根をもらって育てた。
サクラソウやクリンソウ、苧環、山百合など、思い思いにお気に入りの花を植えた。
大きな落葉松の下の、あまり日当たりの良くない場所で、5~6センチも掘れば、軽石がごろごろでてきた。それでも、せっせと世話をしては、花が咲くとおばさんを呼びに行った。
「まあ まあ、きれいに咲きましたこと。ようございましたに」
ちょっと太目の、和服姿のおばさんは、子どもたちに案内されて、5-6箇所の花畑を見て回っては、ほめてくれた。
おばさんに子どもはいなかったが、毎日のように遊びに行って、石灯籠や錦鯉泳ぐ池のある日本庭園の中を、駆け回った。さぞ迷惑だったことだろう。が、いつもにこやかだった。
石楠花や、牡丹、ケマンソウを知ったのもこの庭から。
TOOYAMA さんのおばさん、私の花好きのルーツは、あなたでしたね。