高山 檀さんが、第一句集 『雲の峰』 を上梓されました。
おめでとうございます。
一句一句に共感し、読みすすむうちに、改めて、
12年間、ひたすら句に向き合い、フットワークよく動き、
蓄積されてきたものの大きさ、そのエネルギーに感動しました。
太平洋越えて飛び込む初電話
うららかや指揮者拳で音止める
スパイクに踏まれ蓬の香りだす
箸先で一度沈めておでん盛る
ポップコーンつぎつぎ弾け梅雨明くる
手術衣の医師の紫煙や大夕焼
弁当の輪ゴムのとんで山笑ふ
キャッチャーは座り続けて雲の峰
満月や薬臭の母抱き起す
枯菊を焚きて紫煙をあふりたる 悼 渋谷天眠先生
しゃぼん玉ゆがみ正して昇りけり
同じ灯に本読む妻や柳葉魚噛む
湯煙を噴きつつ山は眠りけり
私の好きな句を勝手にあげてみました。
潔さの中に宿るやわらかく繊維な感性。
何気ない物事の中にもある真実を、心深い洞察でさっと取り出して見せる
檀ワールド。
一見、私たちのすぐま近くにありそうな、その”雲の峰”は、
遙かに高く、ひときわ輝きを放ち続けているのでした。
ますますの御健吟をお祈りします。
『雲の峰』(本阿弥書店刊*定価2900円) 前列むかって右端が高山 檀さん。
身近な友人たち4人で檀さんを囲み、ささやかなお祝いランチ会をしました。
高山 檀(たかやま まゆみ)
「絹雲」(渋谷天眠主宰)、「扉」(土生重次主宰)を経て、戸恒東人主宰『春月』創刊同人(現春星集同人)
第6回春月コンクール大賞、平成17年度春月結社賞「春月賞」受賞。俳人協会会員。