先のとがった細面の実。
子どもの頃、小諸の親類の家に行くと、座敷の横の廊下兼納戸の暗い壁に、墨一色でえがいた、とんがった鈴なりの実の絵が貼ってあった。壁紙だったかもしれない。
これはいったいなんだろう??
隣の座敷の床の間には、お軸が掛かっていて、何歳かの私は、握り鋏をもって、楽しく、掛け軸の端から、ちょきん ちょきんと3センチほどの切れ目を入れていた。
ピンと張った厚みのある掛け軸は、なんて、おもしろいように切れるんだろう!
大人たちは、お祭りのご馳走の用意で大忙しだ。
壁紙の絵が桐の実であることを知ったのは、ずっと後になってから。
今日、ラグタイムさんの「桐の実」を読んでいたら、薄暗い納戸と座敷の掛け軸のこと、ワンセットで思い出した。
もちろん、すぐに見つかって、掛け軸の被害は、とば口で(?)おさえられ、鋏遊びの快感も、最初で最後となりました。