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黒沢永紀オフィシャルブログ(旧・廃墟徒然草)

産業遺産と建築、廃墟、時空旅行、都市のほころびや不思議な景観、ノスタルジックな街角など、歴史的“感考”地を読み解く

長崎さるく #52 建物随想

2009-10-25 03:19:01 | 長崎さるく
シリーズでお送りしている長崎さるく。
今回は市内の建築物をの一部をちょっとアップします。
原爆の影響をあまり受けていないせいでしょうか、
趣のある建物はやはり市内南部に集中しています。



ギリシャ神殿風の造りが印象的な香港上海銀行長崎支店
最近改装されて資料館として再生したそうですが、
補修工事の跡が生々しく、もう少し色とか気を使ってほしいですね。





上記2件同様、大浦海岸通りに面する
香港上海銀行のすぐ近くにある旧英国領事館
長崎にはこうした文明開花の香りがする建物が、
そこかしこにあります。





最初に長崎を訪れた時からずっと気になっていた、
明治35年 (1902) 建築の寳製網株式会社のビル。→Mapion
グラバー氏とともにキリンビールの前身を作った、
ウィルソン・ウォーカー氏の弟、ロバート・ネール・ウォーカー氏が、
居留地いる外国人向けに製造販売したのが、
バンザイサイダーやバンザイレモネード。
その製造工場として使われていたと言われる建物です。



バンザイサイダーは復刻され、
今ではグラバー園の中などで飲む事が出来ます。
炭酸がきつくない、飲みやすいサイダーです。





香港上海銀行のすぐ近くにあるべっ甲工芸館(旧長崎税関下り松派出所)
長崎がべっ甲細工でも知られる土地だという事は最近知ったのですが、
べっ甲で検索すると、軒並み長崎の情報がすら~と表示されます。





中でも明治31年(1898)年築の建物に店を構える江崎べっ甲店は、
店内に入ったとたん異文化の世界が広がります。
1700年初頭から営む老舗は世襲八代べっ甲一筋で、
六代の栄造氏は無形文化財でもあったそうです。
店内にはかつて国際万博でグランプリを受賞した、
鯉や鷲のべっ甲細工が所狭しと展示されていますが、
その中でも目を引いたのは戦艦のべっ甲細工です。



「原爆の爆風によって破損した軍艦香取の模型」と題されたべっ甲細工。
軍艦の周囲には確かにマストなどが散乱していますが、
長崎以外では考えられない、工芸品のテーマですね。



長崎では、クジラ料理がいまだポピュラー料理の一つです。
以前にアップした料亭花月のコース料理にも、クジラのベーコンがつきます。
クジラ料理、そしてべっ甲細工、
今日では過去の歴史となりつつある文化が残っているのも、
長崎の大きな魅力だと思います。

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2 Comments(10/1 コメント投稿終了予定)

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香港上海銀行 (pulin)
2009-11-30 10:07:27
こういうのを修復する場合、全くきれいに分からないように修復するやり方もありますが、どの部分を後世補修したと、かえって区別できるようにするやり方もあるということです。この場合は後者なのでしょう。理想を言えば両者が融合して区別できるけど見苦しくもない、となることです。
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▼pulinさんへ (廃墟徒然草)
2009-12-04 13:34:18
そういう理由もあったんですか。
でもおっしゃるように、両者が融合している事が、一番いいですね。
返信する

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