蓼科浪漫倶楽部

八ヶ岳の麓に広がる蓼科高原に、熱き思いあふれる浪漫知素人たちが集い、畑を耕し、自然と遊び、人生を謳歌する物語です。

少子化問題  (bon)

2015-05-15 | 日々雑感、散策、旅行

 この問題については、これまでいろんなところで取り上げられ、論じられてきました。
増田寛也氏(元、総務大臣、岩手県知事 現、東大大学院客員教授・野村総研顧問)が、座長を務める
「日本創成会議」が2014年5月に発表した「消滅可能都市八九六全リスト」以降、より具体的な議論
として、多くの関心を集めてきました。 

 先日 手元に届いた会報トップ記事に、増田寛也氏の寄稿が掲載されていましたので、その内容を
今一度ここに紹介したいと思いました。
このブログでも、この問題に関して、“人口ブラックホール2014.4.19”や“婚学2014.3.7”
などに記事アップしていますので一部ダブるところがあるかもしれませんがお許しください。

 

 日本創成会議の提言には、以下の4つが挙げられています。 すなわち、

① 人口減少の要因は、20~39才の若い女性の減少と、地方から大都市圏(特に東京圏)への若 者の
流出の2点である。

② 2040年、全国で896の市区町村が「消滅可能性都市」になる。うち523の市区町村は人口が1万人
未満となり、消滅可能性がさらに高い。

③ 少子化対策と東京1極集中対策を同時に行う必要がある。

④ 根拠なき悲観論に益は無い。国民が基本認識を共有し適切な対策を打てれば、人口の急減を回避し
将来安定的な人口規模を得ることが出来る。

 ここで、①の女性20~39才は、子供の95%を出産していことから限定しており、この時期に、
大学進学や就職でその地域から流出するとやはりその地域の人口は減少する。②では、2010年から
30年間に20~39才の女性が5割以下に減少する自治体を消滅可能性都市と定義されています。

  ここ当分の間、我が国の人口減少は避けられないため、次の2つの問題が生じていると指摘されて
います。 一つは、年齢構成のアンバランスです。高齢者の増加と若者の減少で、日本の人口構成は、
逆ピラミッドで将来、社会保障が危ぶまれることです。もう一つは、国土利用のアンバランスだと
いっています。地方から東京への人口流入が止まらず、地方都市が消滅する一方、東京が超過密都市と
なることだと。

 会報に掲載された図をそのまま引用させていただきました。
図1は、日本の総人口の推移を示していますが、この1300年間一貫して増加してきました。

  
 

 明治維新以降の140年間に一挙に1億人増えています。そして2008年をピークに減少に転じています。
図2は割愛しましたが、出生率と出生数のグラフで、2005年の出生率は1.26と最小を記録し、その後
やや持ち直して2013年には1.43となりました。しかし、出生率が多少回復しても、出産する年代の
女性が減少すれば、出生数は減ることになり、出生数が減れば女の赤ちゃんも減るので20年後に
成人する女性の数も減る・・つまり、出生数が連鎖的に減る 負のスパイラルに陥ることになり、
このような国は、他に韓国くらいしかないといっています。

  全くの私見ですが、人口が減少しても、注目すべき技術や産業、さらには外国からの資本や労働力の
受け入れなどにより、必ずしも経済低下が起こるとは限らない、むしろ減少した人口がより一層
人材投資により高度化することにより生産性をより向上すると考えられなくもない。しかし、
これらのことは、かなり理想に近いのではないかと思われ、短い期間であれば確かにそのような発展が
見込まれ、少なくとも悲観することは無いかも知れないですが、そのようなことを長く(次々と)
継続させられるかという危惧が拭えません。
これらの問題に日頃から関心の目を向け、検討を深めている訳でもありませんので、決めつけて
言える事ではありませんが、やはり、極端な逆ピラミッドというのは、不自然であり、極端な人口集中は
いいことは無いと思っているのです。

 

 話がそれましたが、図3には、戦後日本における人口移動(転入超過数)の推移が示されています。

  

 

 戦後、地方からの三大都市圏への人口移動の山が、3回あり、最初は、高度成長期から1970年代の
ピーク、次は、バブル経済に沸いた1980年代、そして製造業の空洞化で地方経済が低迷した2000年
以降で、この 後の2つのピークは東京圏のみに流入しているとされています。 
東京圏とは、千葉・埼玉・東京・神奈川を指しており、先の東京オリンピック決定以降、流入速度は
加速し、2020年までは増え続けるという。 東京圏への転入者の年齢は、20~24才が最も多く、
次が15~19才で、つまり就職時と大学進学時期です。東京圏に転入する90%以上が29歳までの若年層で
出産に最も関係する層ですが、東京圏の出生率は全国最低で、これが大きな背景であると指摘しています。

 また、世界の主要都市人口が総人口に占める割合では、パリ、ロンドンは戦後ずっと5%が続いており、
ニューヨーク、ローマ、ベルリンは15%のままであるのに対して、東京圏は、戦後60年間で、
15%から30%近くまで上昇し、なおも上昇中だそうです。このような都市は他にソウルしかないという。
東京一極集中の是正こそ人口問題のカギだといっています。

また、このような、東京圏、大阪圏、名古屋圏など人口集中地域は、高齢者の割合が急激に増加し、
老人ホームなどの待機問題や高齢者対策など問題が膨らんできています。

 昨年6月、国は初めて人口問題について閣議決定され、その12月には「まち・ひと・しごと創成総合
戦略」が決定され、この中で次の2つの長期ビジョンが掲げられました。
「人口問題の克服」と「成長力の確保」です。さらに、これを達成するために、向こう5年間に取り組む
4つの「基本目標」が掲げられているとか。 すなわち、①地方に仕事を作り、安心して働けるように
する。②地方への新しい流れを作る。③若い世代の結婚・出産・子育ての希望を叶える。④時代に
あった地域を作り、安心な暮らしを守る。

 で、①では、農林水産業の成長産業化、訪日外国人の増加、中小企業支援などで2020年までに
地方で30万人の雇用創出を目指す。②では、企業の本社機能の地方移転、地方大学の活性化地方移住の
斡旋等の推進、③では、商工会議所などの公的組織による婚活支援など。 と、それぞれに具体的な
視点が掲げられていますが、しかし、これらを実効あるものとするためにはどのようにすればよいか
については、かなり難しい事柄ではないかと思います。これらは最後には、各個人の考え方や意思決定
による部分が大きく、これらの意識を変えるくらいのインパクトあるものとすることが出来るかどうか
がポイントとなるように思います。

 何か強力な施策が無理やり実行されても、ひずみが生じるばかりであることは見え見えですから、
少しずつ相互に連携した施策を試行錯誤的に展開しながら、将来の目標に向けて舵を切って行く・・
的な議論を重ねつつ、地道なしかし英断を以てことを進めることなのではないでしょうか。
過度に悲観することなく、意識の高まりとともにそれぞれの支援策が講じられることが重要である
ように思います。 先ずは認識することから・・。

 

 

 

 

 

 

 


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