蓼科浪漫倶楽部

八ヶ岳の麓に広がる蓼科高原に、熱き思いあふれる浪漫知素人たちが集い、畑を耕し、自然と遊び、人生を謳歌する物語です。

折れた槍  (bon)

2023-07-27 | スポーツ、芸能、映画

 さきごろBS3で放送された、1954年に公開されたアメリカ映画です。

 1880年代のアメリカ南西部の大農場を営む、家族内の問題、銅精錬所の廃液が
川に流れる環境問題、さらにこの家族の後妻がインディアンの娘で一人息子をもう
けていることなど人種問題などが描かれた映画で、この原案を描いたフィリップ・
ヨーダンは、第27回アカデミー賞の原案賞を受賞しています。また監督のエドワー
ド・ドミトリクは、第12回ゴールデングローブ賞国際賞を受賞しています。

        (ネット画像より)

 大農場主の役は、あの「老人と海」で知るスペンサー・トレイシーで、厳格な
少々手荒い父親を演じています。 亡くなった先妻との間に3人の息子がいて、
長男役にはリチャード・ウイドマークが、息子を代表して父親に反発しているの
です。後妻には、インディアンの娘を迎え、その間に一人息子がいて、先妻の子
3人とはそりが合わないが父親には贔屓されていて、それがまた兄弟間のわだかま
りを増長しているんですね。

 ある時、牛泥棒が入ったとの知らせで、父親は長男、四男をお供にして牛泥棒を
捉えますが、なんと次男、三男の仕業で、父親のやり方に反発した行動だったの
です。 またある時には大量の牛が、川の水を飲んで死にますが、この原因が銅の
精錬所からの排水であったことから、精錬所と掛け合いますが埒が明かず、暴動
事件を起こし精錬所を壊してしまうのです。この当時のアメリカの産業は急激な
成長期にあるのですね。この暴動は当然裁判沙汰になり、農場主側が不利な立場
にあり、懇意にする知事に何とか取り持ってもらえないかと頼むシーンでは、四男
と知事の娘が懇意に付き合っているが、この結婚は許さないとの条件で、裁判の
口利きを引き受けたり、四男にはインディアンの血が入っていることに釘を刺し
ていたのでした。

        (ネット画像より)

 結局この四男が刑に服すということで決着がつきますが、長男はじめ3人の息子
はことごとく父親と対立し、自分たちの経営方針を貫く行動に出て、それをとが
めるために、既に弱っている身体を無理に馬上の人となり、息子たちを追いかける
のですが、その途中で馬上のまま死んでしまったのです。

 父親の葬儀には、四男は刑務所から一時外出が認められ、参列するのですが、
ここで、長男ら3人とは決別の意を表すインディアンの風習である槍を逆さにして、
長男の足元に突き刺し、敵対の意思を表すのです。

        (ネット画像より)

 刑を終えた四男は、その後反対されていた知事の娘と結婚し、二人で父親の墓に
参りに来た時、そこにはすでに母親(後妻)が供えておいた花束がおかれていて、
傍には槍がさしてありましたが、四男はその槍を折り、娘と二人して父親の農場
を守って行く・・そんなストーリーでした。

 発展途上にあるアメリカの種々の問題が描かれていました。先住民族との根深い
問題や都市化が進む時代の旧来の大牧場経営の歪みのような現象など、混とんと
した時代の一面を浮き彫りにしているようです。それに加えて、近代化する流れ
の中の若者たちと旧来の考えの親父とのずれなんかも描かれていたのでしょうね。

         (ネット画像より)

 荒野を馬で突っ走る姿は、西部劇のようでもありますが、街はすでに近代化の
走りの建物などが並ぶクッキリとした対象として描かれていました。ぶっきらぼう
で厳格な父親と優しい後妻、父親譲りの兄弟3人と腹違いの四男の性格の違いなど
娯楽的な要素は控えめであったようでした。

 

 

 

Broken Lance | #TBT Trailer | 20th Century FOX

 

 

 

コメント (2)
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