ヒロヒコの "My Treasure Box"

宅録、DAW、ギター、プログレ、ビートルズ、映画音楽など趣味の四方山話

乱歩が選ぶ黄金時代ミステリーBEST10(集英社文庫)

2013年03月14日 | ミステリー小説
 ミステリー好きの私がこのシリーズの存在を知ったのは数年前のことである。これら10作は超有名な作品なのだろうが、いくつか未読のものがあり、その中のひとつ、ドロシー・セイヤーズの「ナイン・テイラーズ」をどこかで見つけて読んだのがこのシリーズを知るきっかけとなった。原書の出版当時の資料や乱歩の推薦文が掲載され、当然ながら他の出版社とは違う翻訳で、それも新訳が売りということで、かつて読んだ作品でも再読したいと思った次第だ。そこで一冊ずつ古本で探しては読み進めた。子どもの頃にあかね書房版で読み、さらに創元推理文庫でも読んだ大好きな「赤い館の秘密」(A.A.ミルン)や「黄色い部屋の謎」(ガストン・ルルー)が10作の中に含まれているのがとても嬉しかった。そして気がつくと古本ではあるが、全10冊が揃っていた。
 このシリーズは番号順とは関係なく出版されたようで当初、「黄色い部屋の謎」(第2巻)とクリスティの「アクロイド殺害事件」(第6巻)の2冊が刊行されたらしい。手元の同書を見ると初版として98年10月25日発行である。最終は第9巻の「樽」で99年6月25日の日付だ。ほぼ20世紀終わりの出版となろうか。
 翻訳もいろいろな方がしているが、以前の訳よりこなれた日本語で読みやすい印象を受けた。文字も見やすくて結構私はこのシリーズを読むのが楽しかった。最近は創元文庫も角川文庫もクイーンやカーなどの「新訳」ものを刊行し、充分私の興味を引いている。それらについては実際読んだ(でいる)ものもあるので機会があれば紹介したい。
 また、集英社文庫からは97年に「世界の名探偵コレクション10」というシリーズが刊行されている。シャーロック・ホームズはじめブラウン神父、ポアロ、メグレ警視などが登場しているが、中でもウールリッチの「ホテル探偵ストライカー」は子供向けに書かれたものを過去に読んだことがあったので、とても懐かしかった。残念ながらこちらのシリーズは手元に全10巻中5冊があるのみ。今後も気長に探してみよう。