ヒロヒコの "My Treasure Box"

宅録、DAW、ギター、プログレ、ビートルズ、映画音楽など趣味の四方山話

エラリー・クイーン国名シリーズ第10弾は「中途の家」、そしてこの後はどうなる?

2015年07月30日 | ミステリー小説
 越前敏弥氏の新訳による角川文庫版エラリー・クイーン国名シリーズは去る4月発刊の「スペイン岬の秘密」で終了したと思っていたら、この7月に「中途の家」が刊行された。そしてその帯には、「『大好評国名シリーズ新訳第10弾』<国名シリーズ、プラスワン>最後の傑作!」と明記されている。どういうことか。

  恒例のJ.J.マック氏によるまえがきにはこの事件簿を「スウェーデン燐寸(マッチ)の秘密」にするべきだった云々の記述がある。原作も1936年に刊行されたが、これは「スペイン岬…」の翌年で、クイーンとして10作目にあたる。そして本作には「~ある推理の問題」という副題と読者への挑戦は引き続き残っている。こうした点を考慮するとこの作品は実質的に国名シリーズの系統と考えて良い、というようなことが本書の解説では述べられているようだが、詳しい部分は「本編を読んでからご覧下さい」とあるので後の楽しみとしている。

 かつて創元文庫版ではさらに翌年の37年に出された“The Door Between”が「日本樫鳥の謎」として、まるで国名シリーズの最終作品のように刊行されたが、実際は関係がないという事実は知っていた。その作品以降は国名シリーズとはまったく違った作品が執筆されており、40年代に入り「災厄の町」や「九尾の猫」などの傑作が登場する。ちなみに「災厄の町」は同じ越前氏の新訳で昨年12月にハヤカワ・ミステリ文庫から刊行されているし、「九尾の猫」もこの8月に同氏の新訳で出るらしい(ハヤカワ版は「エラリィ・クイーン」との表記だが)。となれば、角川版のEQ作品は今後どのような展開になるのか。

 興味津々ではあるが、「スペイン」「災厄」そして「中途」の3作がまだ“途中”なのである…。


デヴィッド・ギルモアが新ソロアルバム発表!"Rattle That Lock"

2015年07月17日 | プログレ
 一年前の今日、本ブログにピンク・フロイドのニューアルバムEndless Riverについて記載した。何とちょうど一年後の本日、今度はメンバーのデヴィッド・ギルモアのソロアルバムリリースのニュースが届いた。アルバムタイトルはRattle That Lock。登録しているwww.davidgilmour.comから私のところにこれに関するメールが届き大変驚いた。フロイドについては昨年のアルバムがラストとアナウンスされていたのでもう音楽活動はないのかと判断していたのだが、ソロ活動は別だった!と改めて嬉しい理解をした次第である。

 この話題についてはRockin' Onのサイトがすでに詳しく述べている。(http://ro69.jp/news/detail/127569) それによると、今年9月からソロ・ツアーに乗り出し、年内にソロ新作をリリースするということをすでに明らかにしていたそうだ。アルバムの発売日は海外で9月18日(金)、日本は9月23日(水)を予定。さらに本日7月17日(金)にファースト・シングルとして表題曲の“Rattle That Lock”が配信リリースされたとのこと。このシングル曲については、davidgilmour.comの中でもフルで聞くことができる。また、リリース・メディアとして通常盤CDの他、BD/DVDデラックス・ヴァージョン(5.1サラウンドやハイレゾ音源付き)やアナログ盤LPも発売される。さらに9月からのツアーはヨーロッパから始まり、来年には北米でも行われるそうだ。これはぜひ日本にも来て欲しいものだ。

 今回のアルバムは2006年の On An Island 以来およそ9年ぶり、通算4作目のソロ・アルバムである。前作はメロディアスで心地よい印象で、私の愛聴盤のひとつだが、今回のシングルを聞く限りはまずはロックしている雰囲気である。アルバム全体を聞くのがとても楽しみである。

50年後のザ・ビートルズ追体験~今月はBEATLES VI?

2015年07月12日 | ザ・ビートルズ
 50年前のアルバムリリースと同日にアナログ盤でビートルズを聴く一人追体験、今月はこれだ!BEATES VI… しかし、このアルバムのリリースは1965年6月14日であり、またまたやってしまった、すっかり忘れていたのだ!すでに7月の中旬である。気をとり直して改めてターンテーブルに乗せた。

 タイトルから一目瞭然であるが、これはキャピトル盤の6枚目のアルバムである。手元には国内盤と米国盤の2枚がある。国内盤は随分昔から持っていた。自分としては全キャピトル盤の中で1、2を争う好きなアルバムである。なぜならまず、ジャケット写真が良い。昔不良ぽい格好をしていた者達とは思えないナイスな4青年が笑顔で写っている(ジャケ写真は2012年09月10日の本ブログ記事参照を)。そして曲目。アルバム未収録のYES IT ISが含まれているというのがこのアルバムの売りだったと思う、そしてその曲がハーモニーの美しいバラード曲なのである。それだけで充分買いのアルバムだったが、収録曲としてBEATLES’65に使われなかったBEATLES FOR SALEの6曲と、何と英国でもまだ発表されていなかったHELP!からの新曲3曲が含まれていたのである。オリジナルのアルバムより先に新曲が聞けるとは、何という状況だったのだろうか!?ともかくリリース後3週目からビルボード誌で連続6週ナンバーワンを維持したそうだ。FOR SALEからHELP!への変化の様子が一枚のアルバムで把握できる貴重なアルバムであるとも言える。

 なお、手元の米国盤の方は、2012年09月10日記事でも紹介したがRIAA横のナンバーが3と示されている比較的初期のもの。ジャケットはまさに50年前と言えるくらい年季が入っていて、書き込みもされている。しかし、そのおかげでかなり安く手に入れることができたし、盤は全く問題なし、迫力ある素晴らしいモノラル・サウンドで、大変気に入っている。

 さて、いよいよ次は8月のHELP!だ。英国のオリジナル盤と映画のサントラとしてのキャピタル盤の2枚がほぼ同時期にリリースされている。次こそ忘れべからず…。

追悼クリス・スクワイア イエス・ミュージックよ永遠に!3 72年ライブ音源集「プロジェニー」

2015年07月04日 | プログレ
 レコード・コレクターズ7月号のイエス特集は参考になる記事が多く、読み応えがあった。今回は新譜としてリリースされた1972年のライブ音源集「プロジェニー」の紹介記事についてである。

 新譜のリリース前に発行されるために十分な内容の紹介がなされない場合も多々あったこの雑誌だが、今回の「プロジェニー」についてはよくぞここまでという手間をかけた分析を掲載しており大変興味深かった。このために筆者はプロトゥールスに7作品+イエスソングスを取り込み、各演奏を比較したとのこと。記事を書くためとはいえ、その努力には脱帽だ。結局それによると、スタジオ盤と寸分違わない演奏をライブで再現するイエスも、その日の各自のコンディションや、機材の状況、ノリの違い等で各演奏に差が生じていたようだ。私はハイライト盤しか購入していないのでその違いを実体験できないが、やはりライブは「生もの」なのだと記事を目で追うだけで充分楽しませてもらった。
 さらに当時「危機」の演奏ではテープとシンクロさせていたり(それが露骨にわかる場面も)、本家イエスソングスにも実は差し替えなどの編集がされていることをこの記事を読んで初めて知った。一方プロジェニー・ライブは「何も足さず何も引かず」の精神でマルチトラックからミキシングしたとのことで、本当の当時の生演奏を聞くことができる。勢いのあったバンドの実態を知るためには貴重な音源とも言えるが、かなりマニア志向とも思う。しかし私としては40年以上も前のこの演奏を、高校生だった頃の思い出と共に堪能することができた。

 さて、クリス亡き後、バンドとしてのイエスはどうなるのだろう。72年当時溌剌としていたメンバーも今は60代後半、ここ数年は若きヴォーカリストを迎えながらもゆったりとした演奏を聴かせていたものだが、バンドが存続していること自体が貴重であった。在籍年数の長さから、意外と2代目ドラマーのアラン・ホワイトが中心となって活動を継続していくのかもしれない。今後に注目したい。