ヒロヒコの "My Treasure Box"

宅録、DAW、ギター、プログレ、ビートルズ、映画音楽など趣味の四方山話

【特報】ザ・ビートルズLET IT BE のスペシャル・エディションが発売決定

2021年08月27日 | ザ・ビートルズ

 映画LET IT BE のリニューアル・ヴァージョンGET BACK について以前こちらで紹介したが、この映画は当初は今年の8月に公開予定であった。本来なら今頃劇場で見ることができたはず。だが、結局は11月にディズニー・プラスで配信されることになった。宣伝文句は次のとおり。「伝説のロックバンド、ザ・ビートルズの3話構成6時間超の時空を超えた《オンライン・ライブ・エンターテインメント》が、ディズニープラスで独占配信。彼らのラスト・ライブのノーカット完全版とともに明かされる衝撃の真実とは?11月25日(木)・26日(金)・27日(土)ディズニープラスにて全3話連続見放題で独占配信」。何と6時間を超す映像が見られるようだ。当初の映画より長尺となったのか?私はたまたまディズニー・プラスを見ることの出来る環境にあるため、これは楽しみになってきた。

 そして、ビートルズ最後のオリジナルアルバムLET IT BEについては「50年後の後追いビートルズ」のラスト記事としてこちらで紹介した。その時、この時点での記念盤などの動きがあるのか?とコメントしたのだが、8月26日付けで同アルバムのスペシャル・エディション版が発売となる旨発表があった。リリース日は10月15日全世界同時とのこと。突然のニュースに驚いたのだが、なるほど、これは映画の公開に合わせての販売戦略だと思いついた。

   (Universal Music の広告から)

 今回のリリースもいくつかのヴァージョンがあり、詳しくは UNIVERSAL MUSIC JAPANの記事  や TOWER RECORD の記事、そして映像版はYouTubeを参照いただきたい。例によってアウトテイクやリハーサル音源、そしてニューミックスによるサラウンド音源、アナログ盤などが網羅されている。特筆すべきは当初リリースが予定されていたGet Back LPの新マスタリング音源が収録されていること。(これはすでに公開されていたのでしたっけ?)

 リアルタイムでLET IT BE を体験していた私としてはこのラスト・アルバムがとても思い出深くて、大好きなサージェント・ペパーやアビー・ロード以上に食指が動くのだが、やはりスーパー・デラックス・エディションは高価すぎて無理だと結論。いつもの2CDデラックス版の予約に落ち着く。(でも今ならTOWER RECORD さんはポイント15%に加えて国内盤スーパー・デラックス版も10%引きでお得です。)ホワイトアルバムのスペシャル・エディションが発売された時は、それに向けた各雑誌の特集号や冊子が発売された。今回は映画の公開もあるからそのような動きがさらに活発になりそうだ。情報も知識もない私なので、今後に期待しつつ今回はこの特報の紹介のみとしたい。


推理小説読後感その4(ネタバレなし)〜最高の推理小説、今邑 彩作品

2021年08月11日 | ミステリー小説

 「密室大図鑑」掲載の海外ものとして前回紹介したクリスチアナ・ブランド意外に購入したのがエドワード・D・ホック「サム・ホーソーンの事件簿Ⅰ」(創元推理文庫)より「投票ブースの謎」、そしてジョン・スラデックの「見えないグリーン」(ハヤカワ文庫)である。2冊とも本当に興味をそそる密室の謎を持つ作品なのだが現在未読。最近私の読書法が国内作品と海外作品を交互に読む傾向になっていて、別の海外物を読んでから日本の今邑 彩(いまむらあや)氏の小説に目を通したらハマってしまい、何とホックもスラデックも忘れてしまったのである。

    

 それくらい今邑氏の作品は面白かった。最初に読んだのが「金雀枝荘の殺人」(中公文庫)。実はこれも密室ものであり見取り図もある。加えて幽霊?も登場するというオカルティックな風味が私の好みを刺激した。何より今邑氏の物語はとても読みやすい。ストーリーがスッと入ってくるので途中でやめることができないのだ。そして、推理小説としては定番の「意外」な犯人!そうなると一番怪しくない人物を犯人と仮定して読むことになるのだが、それにしてもこの人はあり得ないよな、と思わせておいて何と!いう展開もある。どの作品もプロットとトリックがよく出来ている。

    

 今邑作品の中で特にハマったのは警視庁捜査一課・貴島柊志が登場するシリーズである。密室状態となった部屋にある鏡の前で途絶える足跡の血痕など、怪奇現象が絡まる「i(アイ)鏡に消えた殺人者」など4作品がある。これらはどれも密室事件。他に北川景子、深田恭子で映画化された「ルームメイト」やクリスティを思わせる「そして誰もいなくなる」、背筋が寒くなる「赤いべべ着せよ…」などを読了(以上すべて中公文庫)。どれも素晴らしい。繰り返しになるが作品の構成が見事で、どんどん読ませる。そして謎の解明と意外な犯人。推理小説としては申し分なし。他にも未読の作品がいくつかあるが、作者が若くして亡くなってしまったのは本当に残念。もっとたくさん今邑ワールドに浸りたかった、、、。

    


ビル・エヴァンス・トリオの最新リリース2作品〜 On A Friday Evening / Behind The Dikes

2021年08月10日 | ミュージック

 最近ビル・エヴァンスの新リリースCDを2枚購入した。ジャズは好きな音楽のジャンルではあるが、ここ最近は限られた時間の中あまり聴く機会が持てなかった。その中、エヴァンスの未発表音源が発売になるということで久しぶりに食指が動いたのである。

 ビル・エヴァンスの作品で私のお気に入りは定番のWaltz For Debby、Moon Beams、そしてハーモニカのトゥーツ・シールマンスと共演したAffinity。この3枚はLPとCDの両方で持っている。さらに亡くなる前年、もしくは数年前のアルバムI Will Say Goodbye、You Must Believe In Springも。総じて激しいものより、My Foolish Heartのようなロマンチックな演奏が好きだ。

    

 そこで新たな音源について。深い考察はできないので単に感想を。1枚目は On A Friday Evening。エヴァンスが、1975年6月20日、バンクーバーのクラブ Oil Can Harry's で行ったライブの音源である。ラジオ番組オンエア用に録音された演奏とのこと。そのオリジナル・テープが45年の時を経て日の目を見たわけだ。何より I Will – や You Must - と同じエディ・ゴメス(b)、エリオット・ジグムンド(ds)とのトリオ編成ということで聴いてみたいと思った。だが、全体的に力強い演奏が多くて、私好みではなかったのが残念。

    

 2枚目は Behind The Dikes。こちらはエディ・ゴメス(b)とビル・エヴァンス・トリオのドラマーとしては最長を務めたマーティ・モレルとのトリオによる1969年オランダでのライブ音源を集めたもの。2カ所の異なる場所でのライブと、最後の2曲は名アレンジャーのクラウス・オガーマンがアレンジしたオーケストラ演奏とトリオの共演。2枚組である。本音源には Waltz For Debby やスタンダードの名曲が並び美しい演奏が満載。とても気に入った。ブックレットも当時の事を振り返るゴメスやモレルのインタビューが載っていて読み応えがある。目下の所ヘビーローテーション中である。


【防備録】東京オリンピック〜札幌の暑い日

2021年08月08日 | その他

 コロナ禍で開催に対し賛否両論あった東京オリンピック2020も、いよいよ今日が最終日。そして札幌でも一部競技が開催され、今週は競歩とマラソンが行われた。暑さを考慮して開催地変更となったはずが、まさかの東京より暑くて高湿度な札幌。本日8月8日の新聞には「札幌真夏日18日連続97年ぶり更新」の記事が。いやぁ〜、北海道も本当に暑い日が続いております、、、。

 週に一度札幌の中央区の専門学校で勤務している私なのだが、7月下旬、行く途中でまずは地下歩道空間にTokyo2020のロゴマークを発見。午前10時過ぎで人通りは少ない。そして競歩とマラソンの発着地となる大通公園に五輪のモニュメントが。こちらも記念写真を撮る人もまばら。ほとんど盛り上がりに欠けている感じだが仕方ない。でも昨日今日のマラソンは沿道に人が密集した模様。何とも複雑な思いを残して終わるオリンピック。ただ、専門学校の学生たちでボランティアで参加した者もいる。その人たちにはお疲れ様でしたと言ってあげたい。

 防備録としてここに残す。

    

    


推理小説読後感その3(ネタバレなし)〜クリスチアナ・ブランド「ジェミニ−・クリケット事件」

2021年08月08日 | ミステリー小説

 「密室大図鑑」で紹介されている作品の中には既読のものもいくつかある。例えばルルーの「黄色い部屋の謎」、カー「三つの棺」「妖魔の森の家」、横溝正史「本陣殺人事件」、高木彬光「刺青殺人事件」など。推理ものが好きな人にはおなじみだ。だが、大方は全く未知の作品である。それらの密室状況を知ると、そんな状況はありえない!と思わせる内容が多い。まるで良質のマジックを見るのと同じ気持ちになる。ただ、マジックではネタばらしはないが、小説の世界では必ず解明される。密室ものの醍醐味はまさにそこにあると思う。

 今回はそうした新たに知った未知の作者の海外作品から一冊。クリスチアナ・ブランドの「ジェミニ−・クリケット事件」。これは短編集「招かれざる客たちのビュッフェ」(創元推理文庫)の中の一編で、有栖川氏によると「密室ものの傑作である」。

    

 建物4階の一室に被害者は椅子に縛り付けられ刺されている。警察が内側からかんぬきがかかった部屋に入った時にはその傷は新しかったにもかかわらず被害者以外誰も人はいなかった、という謎が提示されるが、その解明は見事であった。さらにブランドの作品には、言うならば「怪異」の雰囲気が盛り込まれる特徴があるそうだが、この作品にも不可解な状況が別途加味されている。短編で読み切ってしまうのがもったいないと思わせる作品であった。

  新たに知ったクリスチアナ・ブランド。「招かれざる客たちのビュッフェ」はフルコースの食事をするようにたくさんの短編が構成されている。今のところ読了していないので、それらを食するのが楽しみである。


推理小説読後感その2(ネタバレなし)〜笹沢佐保「求婚の密室」

2021年08月07日 | ミステリー小説

 「密室大図鑑」掲載の国内作品から、今回は笹沢佐保の「求婚の密室」を。笹沢佐保の名前はよく見て知っていたが一度も読んだことがなかったのは前回の山村美紗と同じ。実は「木枯らし紋次郎」シリーズの作者なのだそうだ。しかし有栖川氏によると「本格の傑作・佳作が目白押し」で密室ものにおいても「トリックメーカーぶりを遺憾なく発揮している」作者だと紹介されている。そして「これまで見たことも聞いたこともない独創的なトリック」「どうしてこの手があると気がつかなかったのだ」と有栖川氏を言わせるこの作品を読まずにはいられなかった。結果として、その独創的なトリックは後味が少し悪かったのだが推理小説としては申し分なかった。事件に対する複数の登場人物による異なった解明も描かれ、とにかく作者の筆力にどんどん引き込まれてしまった。

    

 有栖川氏が文中で名作と紹介している「霧に溶ける」も併せて読んでみた。こちらはミス・コンテストの最終選考に残った5人の女性が次々と死傷する。その中に密室が存在するという設定。今とは違う昭和の雰囲気が濃く反映されて、ある意味懐かしさも感じたのだが、密室の謎に加えてアリバイ崩しもありの内容をとても堪能した。

    

 両作品とも見取り図があるのは言うまでもない。特に「霧に溶ける」の密室の解明についてはこの図を見て、それはそうだよなと唸ること必至である。


推理小説読後感その1(ネタバレなし)〜「密室大図鑑」「花の棺」

2021年08月06日 | ミステリー小説

    

 有栖川有栖氏の「密室大図鑑」(創元推理文庫)という書がある。前書きによると「ビギナーにもマニアにも楽しめる密室のガイドブックで、読んでも見ても楽しい本」がコンセプトである。「見ても」というのは磯田和一氏による密室の見取り図中心のイラストが載っていること。国内外から厳選された40作品が紹介された、まさに図鑑と呼べる一冊だ。

 推理小説、特に密室ものが大好きな私はかつて「完全版密室ミステリの迷宮」監修・有栖川有栖(洋泉社)をここで紹介したことがあるが、同じ有栖川氏による本書に掲載されている作品も魅力にあふれた面白そうなものばかりである。その中で特に読んでみたい作品をいくつか入手してみた。軽く読後感を記載しようと思う。

 まず国内からは山村美紗の「花の棺」(光文社文庫)。作者は女優の山村紅葉さんの母上で、よく2時間サスペンス・ドラマの原作者になっていることは知っていた。しかし、これほど本格的な推理小説を書く人だとは知らず新たな発見であった。本作品は後にシリーズ化するアメリカ副大統領の娘キャサリンとそのエスコート役の浜口一郎のコンビが探偵役である。そして京都と華道界という純日本的な世界が舞台となる。この「日本的」というのが、茶室内で起きる密室殺人謎解きのキーワードともなっている。

    

 この作品を読んで山村美紗という作家はトリックメーカーだと知ることとなった。そのため他の作品にも興味がわき読んだのが「京都・十二単殺人事件」(講談社文庫)である。これはキャサリン&浜口が活躍する短編集だが、冒頭の「女富豪密室殺人」が文字どおり密室もの。どちらかというと心理的トリックの作品かもしれないが、キャサリンの解決は鮮やかであった。

    

 そして両作品には私の大好物の見取り図が挿入されている。「密室大図鑑」では二次元に加えて三次元の図も描写されている。あくまでも磯田氏の想像を具現化したものと言うが、作品のさらなる理解の助けとなる。明るいキャサリンと実直な浜口のコンビも捨てがたいキャラで、作品が愛される要素になっていると思う。

 一番面白いトリックの内容に触れることができないので、言葉足らずではあるのだが「密室大図鑑」掲載の作品を今後何点か紹介したい。