ヒロヒコの "My Treasure Box"

宅録、DAW、ギター、プログレ、ビートルズ、映画音楽など趣味の四方山話

プログレ 今日の1枚 #3 LIFESIGNS ライフサインズ

2013年03月11日 | プログレ
 2013リリースの作品。ライフサインズはキーボード、ドラムス、ベースからなるトリオバンドである。ジャンル的にはモダン・プログレだと思われドラマチックな展開が随所に聞かれるが、決して仰々しさがなく、ゆったりと聞くことができる。「大人のためのプログレ」という言葉があるとすれば、まさにそれが当てはまるかも。
 決して若そうではない(?)ジャケ写真のメンバーはJOHN YOUNG (keyboards, lead vocals), NICK BEGGS (bass, stick and backing vocals), FROSTY BEEDLE (drums)で、このバンドのデビュー作のようだ。それぞれ前歴のあるミュージシャンが集まり、しっかりとしたバンド・サウンドを聞かせる。全体の曲調に敬愛するスティーヴ・ハケットのアルバムを彷彿させる印象を受けたのだが、ベーシストがハケットバンドのメンバーだったことに加え、何とハケット先生自身がギターでゲスト参加している。そんなことは全く知らずに、サイトで試聴し購入をしたので、今自分が聴きたいサウンドはこういうタイプのものなのだなと、妙に納得してしまった。
 基本的にはキーボードがメインのバンドで、女声音を軽くミックスさせたような美しいパッド系サウンドが全体のトーンを形づける。ドラムはややタイトな感じ。その中でスティック・ベースが時折派手に刻まれる。そして、前述のとおりハケット先生の他にもギタリストが2名参加し、リードギターやアコギのアルペジオなどが随所に効果的に絡んでくる。また、懐かしいあのFocus(フォーカス)のタイス・フォン・レアーがフルートで参加し、サウンドに彩りを加える。(この人のフルートは、聞くと即わかるくらい、昔と変わらない。)
  全5曲中10分以上の曲が3曲、他が8分台、9分台と長尺の曲ばかりだが、決して飽きさせない。ゆったりと聞かせると記したが、ゆるやかで美しい旋律のみならず、時にはスリリングな展開を聞かせる場面もある。加えて、YoungとBeggsが兼ねるヴォーカルも力強く説得力に満ちていて、聞き応えは充分。各曲をイメージしたイラストがジャケットに掲載されているので、それを見ながら聞くとさらに全体のイメージが膨らむだろう。「星屑で一杯の冷蔵庫」のイラストは特に気に入った。
 このCDが到着した時、3回ほど繰り返し聞くことになった。それほど私の感性に合い、そして安らぎと感動を与えてくれた。あまりドラマティックすぎず、ほどよく盛り上がりたい方にお薦めしたいアルバムである。