最近読んだ2冊の本を紹介。ネタバレとならない程度に。
「その女アレックス」(ピエール・ルメートル作、橘明美・訳、文春文庫)各ミステリー紹介誌の海外部門1位を独占したとのこと。誘拐ものらしいので、本来その手の小説は読まない私だが、各誌があまりに絶賛しているし、また帯に記載されている「驚愕、逆転、慟哭、そして感動 ― 101ページ以降の展開は誰にも話ないで下さい」、という言葉につい手が出てしまった。(フランスの作家でもあるし。)結論。この作品をミステリーと言っていいのだろうか、スリラーとかサスペンスなどと言う方が合っているように思える。つまり、あらかじめ手がかりが与えられ、読者も一緒に推理する本格推理小説ファンの私としては、これは「はずれ」の作品であった。ただし、橘氏の翻訳の文体はとてもこなれていて読みやすく、次の展開も気になるなど物語を追っていくことは楽しめた。そして予想を裏切る展開となっていくのは確かにそのとおり。最後が「感動」とは思えなかったけれど。グロい表現が少なからず出てくるので、いくら話題作でも苦手な人はやめた方が良いと思う。
「吹雪の山荘」(創元推理文庫)笠井潔、岩崎正吾、北村薫、若竹七海、法月綸太郎、巽昌章6名の作家によるリレーミステリーである。ある吹雪の山荘で見つかる首なし死体をめぐる物語。こちらは本格推理小説として充分楽しめた。最初の書き手が提示した謎に対し、各作家が共通の登場人物の視点を借りてそれぞれの章で解決を試みるという構成。最終話担当の作家が真犯人を特定するわけだが、そこに至るまで実に様々な推理が展開される。推理作家とはいろいろなことに対して解釈を膨らませて、さらにそれを論理的に説明することができる人達だと改めて実感した。加えて分担章ごとに小さな謎を提示し章内で解決するというルールもあり、その実行も見事。また、各自が担当分執筆直後に最終的な解決予想をした文章が最後の方に掲載されており、皆さんの真犯人の予想が違っているのが面白かった。最終的には意外な犯人で決着し、推理作家の力量を知らされた作品である。
「その女アレックス」(ピエール・ルメートル作、橘明美・訳、文春文庫)各ミステリー紹介誌の海外部門1位を独占したとのこと。誘拐ものらしいので、本来その手の小説は読まない私だが、各誌があまりに絶賛しているし、また帯に記載されている「驚愕、逆転、慟哭、そして感動 ― 101ページ以降の展開は誰にも話ないで下さい」、という言葉につい手が出てしまった。(フランスの作家でもあるし。)結論。この作品をミステリーと言っていいのだろうか、スリラーとかサスペンスなどと言う方が合っているように思える。つまり、あらかじめ手がかりが与えられ、読者も一緒に推理する本格推理小説ファンの私としては、これは「はずれ」の作品であった。ただし、橘氏の翻訳の文体はとてもこなれていて読みやすく、次の展開も気になるなど物語を追っていくことは楽しめた。そして予想を裏切る展開となっていくのは確かにそのとおり。最後が「感動」とは思えなかったけれど。グロい表現が少なからず出てくるので、いくら話題作でも苦手な人はやめた方が良いと思う。
「吹雪の山荘」(創元推理文庫)笠井潔、岩崎正吾、北村薫、若竹七海、法月綸太郎、巽昌章6名の作家によるリレーミステリーである。ある吹雪の山荘で見つかる首なし死体をめぐる物語。こちらは本格推理小説として充分楽しめた。最初の書き手が提示した謎に対し、各作家が共通の登場人物の視点を借りてそれぞれの章で解決を試みるという構成。最終話担当の作家が真犯人を特定するわけだが、そこに至るまで実に様々な推理が展開される。推理作家とはいろいろなことに対して解釈を膨らませて、さらにそれを論理的に説明することができる人達だと改めて実感した。加えて分担章ごとに小さな謎を提示し章内で解決するというルールもあり、その実行も見事。また、各自が担当分執筆直後に最終的な解決予想をした文章が最後の方に掲載されており、皆さんの真犯人の予想が違っているのが面白かった。最終的には意外な犯人で決着し、推理作家の力量を知らされた作品である。