ヒロヒコの "My Treasure Box"

宅録、DAW、ギター、プログレ、ビートルズ、映画音楽など趣味の四方山話

「その女アレックス」「吹雪の山荘」読後感

2015年01月31日 | ミステリー小説
 最近読んだ2冊の本を紹介。ネタバレとならない程度に。 
 「その女アレックス」(ピエール・ルメートル作、橘明美・訳、文春文庫)各ミステリー紹介誌の海外部門1位を独占したとのこと。誘拐ものらしいので、本来その手の小説は読まない私だが、各誌があまりに絶賛しているし、また帯に記載されている「驚愕、逆転、慟哭、そして感動 ― 101ページ以降の展開は誰にも話ないで下さい」、という言葉につい手が出てしまった。(フランスの作家でもあるし。)結論。この作品をミステリーと言っていいのだろうか、スリラーとかサスペンスなどと言う方が合っているように思える。つまり、あらかじめ手がかりが与えられ、読者も一緒に推理する本格推理小説ファンの私としては、これは「はずれ」の作品であった。ただし、橘氏の翻訳の文体はとてもこなれていて読みやすく、次の展開も気になるなど物語を追っていくことは楽しめた。そして予想を裏切る展開となっていくのは確かにそのとおり。最後が「感動」とは思えなかったけれど。グロい表現が少なからず出てくるので、いくら話題作でも苦手な人はやめた方が良いと思う。

 「吹雪の山荘」(創元推理文庫)笠井潔、岩崎正吾、北村薫、若竹七海、法月綸太郎、巽昌章6名の作家によるリレーミステリーである。ある吹雪の山荘で見つかる首なし死体をめぐる物語。こちらは本格推理小説として充分楽しめた。最初の書き手が提示した謎に対し、各作家が共通の登場人物の視点を借りてそれぞれの章で解決を試みるという構成。最終話担当の作家が真犯人を特定するわけだが、そこに至るまで実に様々な推理が展開される。推理作家とはいろいろなことに対して解釈を膨らませて、さらにそれを論理的に説明することができる人達だと改めて実感した。加えて分担章ごとに小さな謎を提示し章内で解決するというルールもあり、その実行も見事。また、各自が担当分執筆直後に最終的な解決予想をした文章が最後の方に掲載されており、皆さんの真犯人の予想が違っているのが面白かった。最終的には意外な犯人で決着し、推理作家の力量を知らされた作品である。

「7年ぶりの首都圏大雪」の思い出:その2

2015年01月16日 | 
 翌日、旅行会社の担当者に電話を入れ、会社でも手配するが、混み合っているので直接空港カウンターでの手続きも行ってほしいと言われ、空港へ移動を開始する。この日は雪は降っていなかったが、気温が低く路面は凍結状態。北海道人でも極めて歩きづらい。こちらでは、ニュース番組で雪道の歩き方のアドバイスを放映していた。首都高などはすべて閉鎖されていたが、電車の方は一部以外ほぼ動いており、混んではいたが割とスムーズに移動ができた。その途中に連絡が入り、午後の便の予約が取れたとのこと。ほっとした。それでも、手続きのためカウンターには並ばなくてはならず、空港で自分が長い列の最後尾についた。比較的早く前に進んだが、手続きするまで2時間はかかってしまった。さらに荷物を預けるのに数十分。おかげで妻と息子は空港内の探検を堪能できたようだ。
 搭乗予定の飛行機も遅延が続き、結局1時間半遅れで出発。離陸直前には、滑走路前でしばらく止まり、何かなと思っていると、本機に不具合が発生しており、現在確認中です、とのアナウンス。この期に及んでまたか、と思ったが、数分後解消したとのことで、無事離陸(ただし、不安を抱えながら)。
 新千歳に到着し、前日乗るはずだったJRの特急指定券を買い直す。そのJR特急も10分ほど遅延しており、どんどん帰宅予定時間が遅くなる。結局最寄り駅には15分ほど遅れて到着。4日間雪中に放置していた車のエンジンもスムーズにかかり、最終的に予定より30時間遅れで我が家に到着。水道も特に凍結しておらず、これでようやく旅が終了。初めての東京スカイツリー訪問(写真:この時は雪の気配全くなし)や三浦春馬の「五右衛門ロック」鑑賞などすこぶる順調だったのに、帰る直前のまさかの東京大雪で大変なことに、という顛末であった。
 ひとつ気づいたのは、機内で待たされている時も欠航になった時も、乗客は一切文句を言わず、きちんと指示に従って動いていたこと。そして、カウンターの職員の対応も、一人ひとりに丁寧にお詫びしながら処理していたり、適宜情報提供もなされていた。特に機内での機長からの情報提供は、今何がなされていて、どのような状況かということに加えて担当者が総出で懸命に作業にあたっている等と適宜状況が分かるアナウンスであり、このような場合の情報提供の大切さを実感した。自然相手にどうすることもできない状況ではあったが、くってかかる人がいても不思議ではないと思われたが、私の周りではそのような人は一人もいなかった。皆心の中では不満を抱えていたのだろうが、冷静に動くその姿は大震災を経験したからこそかもしれない。
 また、いかなる時にも最悪の場合を想定し準備しておくことの大切さを改めて知った。特に天候不順による予定変更は今後もついて回ると思われる。まあそれにしても、あまり味わいたくない貴重な経験をしたものだ。
 今年の成人の日はとても穏やかに過ぎた。

「7年ぶりの首都圏大雪」の思い出:その1

2015年01月15日 | 
 去る12日は成人の日。それで思い出す強烈な旅の思い出がある。
 2年前の成人の日を含む3連休に我が家は東京に旅した。旅の最終日だった1月14日成人の日、首都圏は何と7年ぶりの大雪に見舞われた。この日私と家族は東京から北海道に戻るため羽田空港にいた。この日は朝から雨。11時発の全日空機に乗り込む頃、雨が雪に変わり始めた。これはまずい、早く出発してほしいと思ったが、遅れてくる乗客を待ち、20分遅れ。その頃には吹雪模様に変わり、案の定飛行機がなかなか出発しない。やがて除雪作業等が始まったが、結局3時間ほど機内で待たされた末に欠航となった(写真:羽田はあっという間に雪景色)。その時、次のような連絡があった。
1 全便欠航となったので、すぐには預けた荷物を返却できない。受け渡しまで1~2時間待機が必要。
2 この後の手続きについては降機時に地上係員が説明する。
 荷物については降りるまでは待たされたが、降りてからはすぐに受け取ることができた。地上係員の説明とは、実際は説明が書かれているリーフレットが配布された。そのリーフレットによると、航空機の振替えや払い戻しは、インターネットを使うか予約デスクへの電話によって行ってほしいとのことだったが、ネットでは3日後以降の変更しか受け付けず、翌日の振替えはできない、予約デスクへの電話は混雑のため全く通じない、という状況で、結局は出発ロビーのカウンターに並び手続きを取るしかない事態であった。
 荷物を受け取ってロビーに出向いた時点でカウンターにはTDRでの待ち時間300分並の人数が並び、それを見ただけで具合が悪くなった。同時に、この日の宿の手配をしなければならず、空港内ホテル(すでに満室)で配布された周辺ホテルリストで1件ずつ電話した。
 幸い3件目で予約が取れたが、場所は五反田とのこと。まずは家族の安全が第一と思い、ホテルまで移動を開始。しかし、雪のため電車関係も大幅に遅延しており、また乗客も多くなかなかたどり着けない。おまけに小降りになった雪だが湿り雪で歩道はシャーベット状態。キャスター付きのスーツケースもそのためスムーズに運べず。土地勘のない中何とか5時過ぎにチェックインできた。今振り返ると、電車も一応は動いていたので良かったとは思う。
 ホテルに着いて単身再度空港に赴きカウンターに並ぶつもりだったが、その時点で疲労はピークに達して動けず。航空会社にひたすら電話をかけるが通じない。渡されたリーフレットをよく見直すと、団体旅行や手配旅行の場合は旅行会社の方で対応する、との記述が。私達の今回の旅行は代理店のパッケージツアーだったので、そちらに直接連絡を入れようと決めた。ただし、土日祝日は営業していない店舗だったので連絡は翌日に。この段階では翌日の便でも振替えはもう無理だろうと思っていた。
 宿泊したホテルに付属するイタリアン・レストランがあり、夕食はそこで取った。これが思いの外おいしくて、家内は大満足だった。恐らくこの日唯一の嬉しい出来事であった。加えて小学生の息子がもう一日東京にいれると喜んでいたのも救いだった。(つづく)

【番外編】2015年 新年のご挨拶

2015年01月01日 | 写真
 新年明けましておめでとうございます。
 私の住んでいる地域は、冬期間マイナス10度くらいになるのは普通で、たまにマイナス20度近くなることもある。さすがにその時は肌が痛くなる感覚だ。先日、家の前に駐めている愛車の窓に雪の結晶が大きく、はっきりと付着していた。こういう時は家の中でさえも寒い。ストーブの温度を高めにたいていれば、比較的部屋の中は暖かいが、その暖かさが遮断される玄関内が0度のこともある。この地域で冬を迎えるのは4回目であるが、なかなかなじめない。これで雪が少ないならまだ許せるのだが、そういうわけでもない。北海道人の宿命である。
 昨日は札幌の北海道神宮に出向いた。この1年大過なく過ごせた事へのお礼を伝えに年内に詣でた。その時点では訪問者は少なく短時間で目的を果たすことができたが、その後新年に向けてたくさんの人が集まり、開門直前には5千人の人が列をなしたそうである。やはり大晦日は家でゆっくり紅白を見て過ごす方が良い。

 今年も良い音楽を聞きたいものだ。即ちアナログ盤視聴の充実と同時にハイレゾ音源へのアプローチを考えている。そして自分自身の音楽製作をぜひ充実させたい。Cubaseをアップグレードしたのである。順調にいけば報告させていただこうと思う。
 今年もよろしくお願いいたします。