ヒロヒコの "My Treasure Box"

宅録、DAW、ギター、プログレ、ビートルズ、映画音楽など趣味の四方山話

エラリー・クイーン角川文庫版国名シリーズが完結

2015年05月10日 | ミステリー小説
 角川文庫版の越前敏弥氏による新訳国名シリーズ全9冊が先月末の「スペイン岬に秘密」により完結した。新訳版第1作「ローマ帽子の秘密」が24年10月に発行されて以来2年半、比較的短い期間内での完結である。私は第6作目の「アメリカ銃の秘密」を読了したところで一休みしていたのだが、その後3作が3ヶ月ごとに出版され全く追いついていない。うれしい悲鳴である。加えて同じ越前氏の「災厄の町(新訳版)」が昨年12月に「エラリイ・クイーンの最高傑作」(帯に記載)との触れ込みでハヤカワ文庫から刊行されたものだから、4冊未読の私としてのクイーン・マイブームは当分終わる見込みがない。

 越前氏+1名による新訳は、原文のクィーン独特の尊大な言い回しはあるとしてもとても読みやすい。読み始めるとストーリーをどんどん追いかけることができる。さらに末文の解説が、今だから論じることができるという視点を含み大変興味深く読むことができる。総じてエンターテイメントとして申し分のない内容である。引き続き存分に楽しませてもらおうと思う。

 中村有希氏一人で新訳にチャレンジしている創元文庫版は「ギリシャ棺」のあたりだっただろうか、こちらも本文に加えて解説が充実している作りなのでこの後の刊行を期待するところだ。