ヒロヒコの "My Treasure Box"

宅録、DAW、ギター、プログレ、ビートルズ、映画音楽など趣味の四方山話

Chick Corea Passed Away....

2021年02月28日 | ミュージック

 チック・コリアが亡くなった。大好きなジャズ・プレーヤーでありキーボード奏者の一人だった。自分と彼の音楽とのつながりを振り返りながら、哀悼の意を表したい。

 中学生の時に聴いたReturn To Foreverがジャズに興味を持つきっかけだった。正確にはジャズ・フュージョンと呼ぶべきかもしれないが、プログレッシブ・ロックしか聴かない私にとって大きく心引かれるサウンドだった。エレクトリック・ピアノ、フルートそして女声スキャットが紡ぐラテン的バンドの音がとても心に残った。正確にはコリア名義のアルバムがR.T.F.だったそうだ。が、パーマネントなグループ活動となり次作のLight As A Featherもとても良かった。このアルバムでは特にタイトル曲が好きだが、作曲はスタンリー・クラークだと今アルバムジャケットを見て気がついた。彼のベース・プレイは光るものがあるが、作曲家としても才能を現していた。そしてドラマーとしてレニー・ホワイトやギタリスト、ビル・コナーズを迎えた新編成でロック色が強くなり、その後超絶ギタリストのアル・ディメオラが加入してアルバムNo MysteryやRomantic Warrior(ロマンの騎士)を出す。特にタイトル曲「ロマンの騎士」はテクニカルな奏法と美しさを持つ曲で、大好きだった。このテクニカルさによって、アルバム全体がプログレと言っても良いくらいだ。この4人バンドが散会したのは残念だったが、続くMusic Magicは自分が持つLPジャケットの中で一二を争うくらい美しいと思うアートワークで、曲も演奏も良い。チックの奥方であるゲイル・モランのヴォーカル(オルガンでも参加)が魅力的。

   

 R.T.F.としては以上だが、ソロも好きな作品が続く。妖精、My Spanish Heart、そしてThe Mad Hatter。My Spanish...の1曲目Love Castleも大好きな曲で、G・モランのスキャットが美しい。このアルバムにはヴァイオリンのジャン・リュック・ポンティが参加している。妖精も良かったが、なんと言っても私はMad Hatterが気に入っている。発売当時にLPを買ったが、その後紙ジャケCDも揃えた。チックやスティーヴ・ガット、そしてゲスト参加のハービー・ハンコックなどの演奏は言うまでもなく、心に残る旋律、不思議の国のアリスをモチーフにしたトータル性が私のハートにドンピシャリだったのだ。今回改めて聞き直して、やっぱり良いアルバムだと思った。

 そして私は過去に2回、チックの演奏を生で聴いている。最初は78年6月10日渋谷公会堂でのライブで、AN EVENING WITH CHICK COREA FEATURING GAYLE MORAN WORLD TOUR・13 PIECE BANDというタイトル。どんな曲を演奏したのか覚えていないのだが、弦とブラスが加わった圧倒的なサウンド、G・モランがほぼ中央にオルガンを前に鎮座していたこと、そしてチックがドラム・スティックを自分の鼻と唇の間に挟みながら登場するなど、最初からおどけた仕草をして会場内が大いに沸いたことはよく覚えている。

 2回目はアル・ディメオラ期4人編成Return To Foreverの再結成ライブである。これは83年の札幌厚生年金会館。期待したライブだったが、何となく4人の息が合っていないような印象で、消化不良に終わってしまった。その後LIVE UNDER THE SKYに登場したライブがテレビやFMで放送されたのだが、その印象は変わらなかったのが残念である。

   

 最後は少々辛口になってしまったが、シンセサイザーも巧みに使いこなし、私の人生において充分楽しませてもらったチック・コリアの音楽。手元の音源を並べてみた。LPもCDも処分してしまったのが何枚かあるのだが、逆に言うと外せない作品が残った。この中でlight as a featherのCDは2枚組で、別ヴァージョンの演奏テイクが収録されていて今も愛聴盤である。いつまでも心に残る音楽をありがとう、チック・コリア。Rest in peace.  


THE FUTURE BITES / STEVEN WILSONの新作第一印象(その3)カセット・テープ

2021年02月13日 | ミュージック

 ようやくスティーブン・ウィルソンの新作のカセットテープ・ヴァージョンが届いた。

   
 こちらは第一印象、とてもシンプルな作りである。写真のとおり、本体は白地のプラスチックに黒の印字。ジャケットも表はジャケ写と曲名、裏側はクレジットがあるだけで写真や歌詞はなし。昨年3月に予約を入れた時の価格は1300円台と安価だったので、あまり凝った形を意図してはいなかったのかもしれない。実は昨年末、竹内アンナ新作「AT4」もカセット版を出し購入したのだが、最近のテープは昔当たり前だったドルビー・ノイズ・リダクションのマークがない。その処理がなされていないようだ。これも時代の流れか。アナログ盤と同じA面6曲、B面3曲の構成である。「裏面にひっくり返す」ことを楽しみながら、改めて聴いてみよう。

   

 


THE FUTURE BITES / STEVEN WILSONの新作第一印象(その2)

2021年02月10日 | ミュージック

 アルバムタイトルであるTHE FUTURE BITES とはどういう意味なのだろうか。FOLLOWERという曲中に、Future bitingとの歌詞が出てくるのだが、まだしっかり読んでいないので解釈ができない。SW氏の歌詞はいつもはそれほど難解ではない気がするのだが、今回は難しい。そこで今回はサウンドに注目。

  

 アルバムは全9曲でトータル42分程度。CD中心の時代は各アーティスト60分くらいの尺が多かったものだが、今回はLPの長さに合わせたのか短め。それでもいろいろなタイプの曲がある。第一印象は、打ち込みリズム風の曲が増えていること。何か80年代のテクノ・ポップを聴く感じだ。だが、クレジットにプログラミングとの表記は多いのだが、ドラムスの録音も確かに行われているようだ。打ち込みとバンド・サウンドの中間的な音楽だ、と理解しておこう。

 1曲目の1分少々のUNSELFからSELF、KING GHOSTと続く3曲はメドレーのように繋がっている。特にKING GHOST は妖しげで美しいアルペジオが独特の雰囲気を与えるSWらしいサウンドと曲調である。前述のPERSONAL SHOPPERやEMINENT SLEAZEも繰り返しのフレーズが耳に残る中毒性を持った曲だ。一方、12 THINGS I FORGOTはストレートなポップ・ソングで、FOLLOWERはバンド風ロック・ミュージック。そして、MAN OF THE PEOPLEは私好みの叙情性に満ちた曲だ。と、こうして聞いていくと今回も飽きさせない曲構成になっていると思う。ただ何か物足りなさを感じるのは短い曲が多いせいか。全体が42分程度なので必然的にそうなるのだろうが、PERSONAL SHOPPERが10分弱、ラストのCOUNT OF UNEASEが6分強であとは4分代の曲が多い。コンパクトにまとめた感じだ。それでもこのアルバムは到着後からヘビーローテーションである。コンパクトゆえ続けて繰り返し聴くことになってしまう。さすがSTEVEN WILSON、今回も楽しませてもらっています。あとはカセットテープの到着を待つのみ。

 


THE FUTURE BITES / STEVEN WILSONの新作第一印象(その1)

2021年02月08日 | ミュージック

 2021年初頭の音楽的マイ・ブームはSteven Wilson の新作THE FUTURE BITESである。私はこれを予約したのは昨年の3月だったと思う。その後の新型コロナの関係だろうか待つこと約1年、ようやく先日発売になった。昨年後半くらいから動画サイトにPVがいくつかアップされていたが、あえてそれには触れず、到着を待っていた。ということで、今回は完全なる第一印象を記してみる。

    

 私が購入したのは通常のCDとアナログ盤である。今回はボックスセットのヴァージョンもあるようで、SWがどのようなパッケージ戦略で新作を発売するのか少し興味を引かれた。その中、アナログ盤はブラック・ビニールに加えてレッド盤とホワイト盤があるという。最近のアナログ盤は高価なイメージがあるが、こちらは3千円台でポイントを使うと2千円台で購入できることがわかり、どのようなアートワークが見られるのかと今回は食指が動いた。注文したのはホワイト盤で、こちらも先日到着。さらに、今回はカセットテープでのリリースがあるのだ。今やレトロというか、オシャレ心を誘うまでに至ったカセットテープでの発売をするとはSW氏、なかなか消費者(=私)の心をくすぐるではないか。というわけで、実はこれも昨年3月に予約注文をしていた。だがこれだけまだ発売となっておらず、届くまでもう少し時間がかかりそうである。

    

 さて、CDは紙製の外カバーに真っ白なプラスティックのケースが収納されている。透明ではないところが新鮮だ。そして正面に記載されている暗号のような表記。これはちょっと考えるとすぐにわかるだろうが、アーティスト名とアルバムタイトルだ。中のブックレットは黒白赤の3色(今回のレコード色と同じ)のみで構成されていて、通信販売の商品紹介のような写真が載っている。PERSONAL SHOPPER という曲があるのが関係するのだろうか。アナログ盤の方もCDと同じ装丁で紙のケースに見開き型のジャケットが挿入されている。ブックレットも全く同じ(もちろん大きさは数倍)。そして真っ白なディスクは溝があまり見えない。久しぶりに新譜のアナログ盤を買ったが、ジャケットが大きい(厚い)ので、これはなかなかの存在感だ。(続く)