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今週の一枚:「The Gabby Pahinui Hawaiian Band Vol.1」1975

2006年09月11日 | Fuku-music
【Fuku】

やはりハワイ特集みたいになっていますから、今週の一枚でもハワイ島はコナの北で録音されたハワイアン・ミュージックの歴史的名盤をもってきました。75年にリリースされ、その録音にここでもよく出てくるアメリカ本土のライ・クーダーが参加した事で、世界中にトラディショナル・スタイルのハワイアンを、また、その貴重なる継承者であるギャビー・パヒヌイ(Gabby Pahinui)の存在を知らしめたアルバム「The Gabby Pahinui Hawaiian Band Vol.1」。

この74年の録音は計20曲あり、それがこのVol.1とVol.2に分割してリリースされて、世界中にハワイアン・トラディショナル・ミュージックの真髄を聴かせてくれました。
ライ・クーダーは、マンドリン、ティプレ、ギターをあくまでもギャビーのサイドマンとして主役を引き立てる控えめな演奏を見せていて、やはり聴きどころは、ギャビー本人によるスティールギター、12弦ギター、ウクレレなどのマルチプレイヤーぶりとその渋く太く伸びるファルセットボイスです。本来もっとも得意とするスラックキー・ギターは相棒のアッタ・アイザックス(Atta Issacs)に任せて一部しか聴くことができないのは残念なんですが、、どの曲でも真に温かみのあるまた絶妙の空気感をもった演奏を披露しています。

私は、他のライ・クーダーファンと一緒で、ギャビーのことを知ったのは76年の世界的ヒットアルバム「Chicken Skin Music(チキン・スキン・ミュージック)」の中の名曲「Yellow Roses」と「Chole」でなんとも言えない間を持ったスティール・ギターの音色からなんですが、その絶妙の間と手数の少ない音の余韻と無音の中で本当のギターテクニックを披露しているギャビーの超絶の技巧に一発でハマッてしまいました。

このアルバムにはトラック1「Aloha Ka Manini (魚は最高の肴)」、トラック4「Mo Anal Ke' Ala(かぐわしき風)」、トラック7「E Nihi Ka Hele(エ・ニヒ・カ・ヘレ)」などのハワイのトラディショナル・ソングを多く録音しており、昔から自分たちの周りにある海と魚を題材とした海洋音楽としてのハワイアン・ミュージックのルーツを感じさせてくれます。
このアルバムは正真正銘のハワイのマイナーレーベルより制作されたものであり、本物のハワイアンが骨格となっていますが、それだけに留まらず、他のエッセンスを含んでいるのはやはりライ参加の影響かと思いますが、それがまたこのアルバムを通じてギャビーの名を広めた一因となっています。。

トラック3の「プウアナフル」は彼が住んでいたハワイ島コナのカイルアから北の一帯辺りを指す地名だそうで、まさに私らが今回も行ったいろいろと探った一帯を指していることになります。そんなことを思い出しながら、このアルバムを聴いていると、再びあのハワイの空気感と風を感じさせてくれます。

1980年にギャビーは59歳で亡くなりましたが、その意志と偉業は彼の息子達によって、今もなおハワイだけでなくアメリカ本土、そして日本に継承され続けています。

The Gabby Pahinui Hawaiian Band Vol.1 Gabby Pahinui
PCD 1007 Panini Records 1975,1991(for CD)
Distributed by OMAGATOKI for SC-2123