本日は休み。
あまりに周囲のおすすめ火力が強いのと、長崎公開最終日ということで
「若おかみは小学生!」見てまいりました。
冒頭からスタッフの本気が溢れまくっていて、
正直タイトルとCMだけでスルーしていたことをもったいなく感じました。
単独で記事にするかどうしようか迷ったけれど
この映画については本当に熱い感想は溢れているし、
まだ公開されている地域なら見に行って、としかいえないくらい。
「この世界の片隅に」ほどはロングランとか巡回上映は出来ないかもしれないけれど
(あちらは「原爆」とか「反戦」とかのカラーもありますから
そういう巡回上映がやりやすい作品って側面はあると思う。被爆三世としても。)
それでもできるかぎり広い世代に劇場で見てほしい作品だと感じたなぁ。
人として生きていてどこかのタイミングで遭遇することを、どう乗り越えていくのか、の物語。
それにしてもすごいものを見た、という感想です。
その後は長崎歴史文化博物館に移動。
「追悼特別展 高倉健」と「映画界の風雲児 梅屋庄吉」を見に。
戦後日本を代表する映画スター、高倉健。
全盛期の任侠映画・・・「網走番外地」「日本侠客伝」などのシリーズ物と
東映からの独立後の「幸福の黄色いハンカチ」「鉄道員(ぽっぽや)」などの人情物、
あとは「ブラックレイン」や「新幹線大爆破」あたりの印象が強い役者さんであるわけですが
「日本の男の理想像」的なものを作った役者さんの一人でもある、と言っていいと思います。
そんな彼も、デビュー当時は青春アクションスター路線であり
20代後半くらいまでは学生服を着せられていた作品も(大学生としてですが)あったりしたのが
ギャング映画(任侠映画の前にアクション/犯罪映画としてのブームがあった)で
路線が固まっていき、その発展系としてある種時代劇的な側面も持つ任侠映画が始まり、
続々とシリーズ化され、主演作以外も含めたそれらの作品にフィルモグラフィが塗りつぶされていき、
飽きられ・・・というかより刺激が強い実録任侠物(「仁義なき戦い」ですね)に
その座を譲るとともに東映俳優部から独立、他社の作品にも出演することで
始めは少し任侠作品のイメージを引きずった部分があった役から
寡黙で不器用、想いは深いがそれを口に出して表現することができない夫/父という
役柄へと進化していき、2014年の「あなたへ」が遺作になった、という流れ。
そんな健さんのフィルモグラフィを資料と映像で辿る、という展覧会なのですが
任侠もののブームがなければもっと別の路線もあったのかもしれないな・・・と思いつつも
日本や世界に与えた影響は思っていたよりもっと大きかったのかもしれないな、とも。
不条理に寡黙に耐え、耐え忍んだ結果の殴り込みというパターンが
この日本社会に与えている影響というのも大きいようにも思いましたし。
あとは昔の映画ポスターの宣伝コピーが楽しかったので、もっとポスター展示してほしかったな。
そして遺作「あなたへ」のロケ地は長崎・平戸、
さらに過去に「網走番外地」シリーズでも長崎ロケで長崎くんちに飛び入り参加
(当時はそういうこともできたんですね・・・)した写真も展示されており
長崎との繋がりも感じられる展覧会でございました。
続いて同じ館内で開催の梅屋庄吉展。
正直「中国の革命家・孫文に資金などを援助していた人」というイメージしかない方でしたが
日本の映画ビジネス創世記に活躍したビジネスマンでもありました。
展示は映画の創世記から梅屋が手がけた長編ドキュメンタリー「日本南極探検」
(白瀬中尉の南極探検に密着撮影したもの)のデジタル復元版、
そして乱立する映画会社を合併させての「日本活動写真株式会社」、のちの「日活」の設立、
そこから離れての教育映画製作に辛亥革命の援助・・・という足跡を辿るもの。
いわば今日は、日本映画の最先端から、映画が娯楽の王様を極め、縮小していく時代、
そしてその黎明期をどんどん遡って見てきたことになります。
洋画を見に行くことのほうが多い僕ではありますが、
日本の映画文化の歴史を知ることで、少し映画の見方がまた変わってくるのかも、と。
それにしても「若おかみ」すごかったな。ソフト化されたらまた見なくちゃ。