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Rimshot!!!!

映画観たり、アメコミ読んだり、占いしたり。

テレンス・コンラン モダン・ブリテンをデザインする

2025-05-15 | アート

第2次世界大戦後、ドイツとの激しい戦いで荒れ果てたイギリス。
一方、本土が荒れることがなかったアメリカでは大衆文化が花開き、
消費社会が幕を開けておりました。
そんなアメリカ文化に影響されたイギリスのアーティスト/デザイナーたちによって
ブリティッシュ・ポップアートが生まれ、
そのアーティストたちに師事された若者の中に、
一人のテキスタイル・デザイナーがいました。
その名は、テレンス・コンラン。

伝統のチェック柄をポップに新解釈したデザインで脚光を浴びた彼は
そのビジネスセンスも開花させ、家具の輸入販売を手掛けたり
ライフスタイルを提案するセレクトショップ「ハビタ」を続々とオープンさせます。
イギリスの若者中心文化「スウィンギング・ロンドン」が花開く時代に
さらに上質なものを提案していく高級セレクトショップ「コンランショップ」をオープン。
ここ日本を含めた、世界展開を行っていくことになります。

一方でコンランは、食分野にも深い関心を持っており、
フランスやイタリアの海外料理にとどまらず、新しい時代のイギリス料理を提唱、
高級店からカフェまで多彩な業態のレストランをイギリス各地に展開、
メニューや食器、小物や従業員の所作に至るまでのすべてをプロデュースしていきます。
中にはコンランが熱心にコレクションしていたビバンダム(ミシュランマン)をコンセプトに、
旧ミシュランイギリス本社跡を買収して改装したレストラン「ビバンダム」なんてものも。

田園地帯に自宅と家具工房を隣接させた邸宅をつくり、
週末に考えたアイデアを月曜に工房で自らミニチュアを試作、
若き家具職人たちに製品化してもらったり、
建築設計事務所を作り、レストランを中心とした複合施設を作っての地域活性化を行なったり
都市計画にも参加していくことにもなっていきます。

そんな彼が晩年もっとも力を入れたのが、
様々なデザイナーの仕事を集め、展示する「デザインミュージアム」。
大量に作られ、捨てられ、忘れられていくものだったデザインを
その作り手とともに記録し、留め、味わうものにしていき
デザイナーという仕事の地位と芸術家と等しいものにする活動、でした。
長い年月とより広い場所への移転を重ねて実現させたこの試みは
世界的にデザインというものの価値を高める結果になるものでした。

…このようにありとあらゆるものを手掛けた
英国デザイン界のモンスターの歴史を、そのプロダクツや
彼が愛し、コレクションしたものたちとともに振り返るのが
この展覧会でございました。

もちろんそのセンスのよさや、憧れる生活環境なども
見どころではあったのですが、彼がもっとも楽しんだのは
自らデザインし、モックを作り、溶接して作り上げていった
家具作りという「形あるものづくり」だったんじゃないかなぁ、と
実現や市販化は難しいけど作らずにいられなかったのだろう
小さなモックの数々を見て思ったりもしたのでした。

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金曜ロードショーとジブリ展

2025-05-08 | アート

今日は朝からスーパー銭湯に入りにいき、
その後ふと思い立って長崎県美術館まで行ってきました。
5日に前を通ったらとんでもない行列になっていたので…

1984年、「風の谷のナウシカ」劇場公開。
翌1985年、日本テレビ系列の「水曜ロードショー」は「金曜ロードショー」に。
(その半年前に特番として「ナウシカ」初放送が行われています)

以降、スタジオジブリの新作公開に合わせたり、
休みの時期や改変期だったりの節目に合わせて、
金曜ロードショーではジブリ作品が放送され、
「魔女の宅急便」以降では日本テレビがしっかりと制作に参加し
日テレのスタッフがアニメ制作の現場に密着したり
ジブリによって日テレのステーションアイコンが作られたり
金ローのオープニングもジブリが作る時期があったりと
よく言えば二人三脚で歩んできた40年。

途中「風立ちぬ」での宮崎駿引退宣言→ジブリの制作体制解体で
細田や庵野といったポストジブリを模索したりした時期もあったわけですが
(それが現在の日テレ系での「機動戦士ガンダム ジークアクス」放送に繋がっているわけで)
5/2に初放送の宮崎復帰作「君たちはどう生きるか」もしっかり話題になったわけで
まだまだ金ローのジブリ依ぞ…協力関係は続いていくのでしょう。

今展覧会では前半はジブリと金ローの歴史を辿っていく内容であり、
ジブリ作品の放送時の視聴率や当時の流行などを振り返っているわけですが
その年の金ローでの放送全作品リストが見ていて一番楽しめる部分でございました。
だいたい2000年を境に濡れ場が売りになるような作品が放送されなくなった、とか
(「エーゲ海に捧ぐ」とか「チャタレイ夫人の恋人」とかよく夜9時に流してたな…)
昔は「刑事コロンボ」筆頭に海外ドラマをよく流してたり
(「V」とか「エアーウルフ」とかドラマ版「ロボコップ」とか)
「おじさん向けのラインナップ」として一か月間連続で刑事ものを流してみたり
その一方で「こんな作品を!?」というような昔の名作も放送してみたり…
テレビにとって映画が大事なコンテンツだった時代から、
レンタルビデオやDVDの普及で映画(特に洋画)需要が減っていき
バラエティやドラマを流せるような「金曜ロードSHOW」への路線変更、
そしてバズりを意識した映画への回帰…というひとつのメディア史を覗き見られる
そんな展示になっておりました。

後半は王蟲の実物大フィギュアなどのフォトスポットとしての展示であり
こちらは一人で来ている中年男性としては何の関係もないのでほぼスルー。
物販もチケットの半券提示、再入場不可でしたけど
特にほしいものもないなぁ…(どう生きの殺人インコグッズとかはあったけど)と
見るだけでスルーしてしまいました。

次の展覧会は、ちょっとだけ遠出して見に行きますね。

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コレクションの在りか-現在地をみつめて

2025-04-21 | アート

本日は朝から病院、母の見舞を済ませ
昼食をとったあとに
ただいま無料ということで長崎県美術館の開館20周年記念
「コレクションの在りか-現在地をみつめて」へ。

長崎県立美術博物館時代の5000点から、
20年間で9000点のコレクションとなった長崎県美術館の所蔵品。
その中の傑作選を「スペイン美術」「長崎ゆかりの美術」「現在から未来へ」の
3つのテーマに分類して常設展示室にて展示する企画となっております。

…とはいうものの、基本企画展を見たら常設展チケットがついてくるので
企画展を見るたびに常設展示は見ていたり、
なによりコロナ明け期で巡回展が巡ってこない時期に
所蔵品を使った企画展示で繋いでいたので
正直な話、いまさら…という部分もあるんですよね。
無料だから見るけどいつも見てる作品たちですし。

一番興味を惹かれたのが木曜から開催の「金曜ロードショーとジブリ展」の
ディスプレイとして出ていた昔の長崎新聞のテレビ欄でしたね。
(長崎の民放2~3局時代だと金ロー放送しないこともあったんだなぁ、とか)
…こっちは7月まで会期あるしGWは混みそうだし、GW明け平日に行くかなぁ。

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Call me a dinosaur

2025-03-22 | アート

本日は休み。
一昨日は郊外、昨日は市内と行きなれた場所を廻ったので
「一度も行ったことのない場所に行きたい」
「でもさすがに他県は急遽は無理」ということで
長崎内で行ったことのないところ、と考えて

長崎市恐竜博物館、行ってきました。

Dinosauriaを「恐竜」と訳した横山又次郎の出身地であり、
端島(軍艦島)・高島といった炭鉱から化石が発掘されており
海岸部の地層からは日本初の大型ティラノサウルス類の化石が発掘された長崎。
その軍艦島を海の向こうに望む野母崎にできたこの博物館、
なんとなく微妙な遠さがあるので今までなかなか足が向かなかったのですが
こういう機会だし、とバスを乗り継いで行ってきました。

現在、恐竜復元の歴史を紹介する企画展「恐竜の姿はこう変わった!」が開催。
発見や研究の進行とともに姿を変えていった恐竜復元図の歴史を
恐竜造形家たちの作品とともに振り返る展示となっています。

まだ僕が子どものころの恐竜復元図は、
怪獣のように背筋を伸ばして2本脚で立つものが主流だったわけですが、
その前はイグアナのように4本脚で地面を這う形に、
そして現在では背中からしっぽまで横一直線の姿勢が多い、と
研究が進んでそれが反映される様子が表れています。

それに合わせて紹介される恐竜研究者の紹介が
「性格が悪くすべてを自分の手柄にしようとした」
「研究にのめり込むあまり本業と家庭を疎かにして嫁と子どもに逃げられた」など
恐竜に人生を「狂わされる」様子を感じることができてそれも面白いものでした。

そこから常設展へ。
恐竜誕生までの歴史を軽くなぞった後は
大型恐竜の化石復元のレプリカや
実際に長崎で発掘された化石が高密度で詰め込まれた空間へ。
間近で見る大型恐竜たちはやはりものすごい迫力で、
こんな生物たちが世界を闊歩していた時代があったのだなぁと、
改めて思わされることになりました。

その奥には研究施設も観覧できる状態で併設されており、
今日も化石のクリーニングが行われておりました。

何度も短い間隔で来るような施設ではないくらいの
展示規模ではありましたけども(企画展次第?)
値段相応には楽しめたかなぁ、くらいの感想です。

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超絶技巧からモダンへ ―京都・近代工芸の新展開―

2025-01-17 | アート

長崎県美術館で本日から開始の企画展、

2024年度国立美術館巡回展 超絶技巧からモダンへ ―京都・近代工芸の新展開―

に行ってまいりました。

国立美術館の収蔵品を巡回させる展覧会。
今回は京都国立近代美術館の収蔵品がここ長崎にやってきました。

東京への遷都によって天皇家・公家が京都を離れたことで
パトロンを失って大打撃をうけた京都の職人たち。
彼らが活路を見出したのは万国博覧会への出展によって拓かれた
海外マーケットへの輸出、でした。

技を尽くした超絶技巧から、アール・ヌーヴォーに影響をうけたデザイン性を採用した
モダンな作品、そして日常使いの品に美を見出す民藝の時代と変遷していった
京都の近代工芸の歴史をまとめた展示内容、でございます。

基本的に美術館では工芸品よりも絵画・彫刻のほうを熱心に見るタイプなのですが
まず今回は超絶技巧の作品がもつ技術力に眼を奪われてしまいました。
彫金や螺鈿の細やかさ、そして刺繍で表現された鳥や獣の毛の質感。
つい目を凝らしてじっくり細かいところまで見たくなってしまう、
そんな作品がずらりと並ぶ展示。

…しかし、技量よりもデザインに重きを置く時代に入った展示からは
なんとなく興味が失せてしまう…というか、
流行を意識したデザイン、というのはどうしても時代性の反映となる故に
現代の目で見るとよく言えば素朴、悪く言えば古ぼけたものになってしまい
自然の再現をスーパーリアリズムで行っていた超絶技巧の時代の作品と比べて
見た目に拙く、普遍性がないものに感じてしまいまして
一度最後まで見た後、また最初に戻って技巧を凝らした作品のほうを楽しんでしまいました。

かつて仕事などでデザインを行なっていた際には
できるだけシンプルで単純に、を心がけていたものでしたが
その頃とは自分の感性も変わったのかなぁ、と思う一日でございました。

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