Rimshot!!!!

映画観たり、アメコミ読んだり、占いしたり。

Call me a dinosaur

2025-03-22 | アート

本日は休み。
一昨日は郊外、昨日は市内と行きなれた場所を廻ったので
「一度も行ったことのない場所に行きたい」
「でもさすがに他県は急遽は無理」ということで
長崎内で行ったことのないところ、と考えて

長崎市恐竜博物館、行ってきました。

Dinosauriaを「恐竜」と訳した横山又次郎の出身地であり、
端島(軍艦島)・高島といった炭鉱から化石が発掘されており
海岸部の地層からは日本初の大型ティラノサウルス類の化石が発掘された長崎。
その軍艦島を海の向こうに望む野母崎にできたこの博物館、
なんとなく微妙な遠さがあるので今までなかなか足が向かなかったのですが
こういう機会だし、とバスを乗り継いで行ってきました。

現在、恐竜復元の歴史を紹介する企画展「恐竜の姿はこう変わった!」が開催。
発見や研究の進行とともに姿を変えていった恐竜復元図の歴史を
恐竜造形家たちの作品とともに振り返る展示となっています。

まだ僕が子どものころの恐竜復元図は、
怪獣のように背筋を伸ばして2本脚で立つものが主流だったわけですが、
その前はイグアナのように4本脚で地面を這う形に、
そして現在では背中からしっぽまで横一直線の姿勢が多い、と
研究が進んでそれが反映される様子が表れています。

それに合わせて紹介される恐竜研究者の紹介が
「性格が悪くすべてを自分の手柄にしようとした」
「研究にのめり込むあまり本業と家庭を疎かにして嫁と子どもに逃げられた」など
恐竜に人生を「狂わされる」様子を感じることができてそれも面白いものでした。

そこから常設展へ。
恐竜誕生までの歴史を軽くなぞった後は
大型恐竜の化石復元のレプリカや
実際に長崎で発掘された化石が高密度で詰め込まれた空間へ。
間近で見る大型恐竜たちはやはりものすごい迫力で、
こんな生物たちが世界を闊歩していた時代があったのだなぁと、
改めて思わされることになりました。

その奥には研究施設も観覧できる状態で併設されており、
今日も化石のクリーニングが行われておりました。

何度も短い間隔で来るような施設ではないくらいの
展示規模ではありましたけども(企画展次第?)
値段相応には楽しめたかなぁ、くらいの感想です。

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超絶技巧からモダンへ ―京都・近代工芸の新展開―

2025-01-17 | アート

長崎県美術館で本日から開始の企画展、

2024年度国立美術館巡回展 超絶技巧からモダンへ ―京都・近代工芸の新展開―

に行ってまいりました。

国立美術館の収蔵品を巡回させる展覧会。
今回は京都国立近代美術館の収蔵品がここ長崎にやってきました。

東京への遷都によって天皇家・公家が京都を離れたことで
パトロンを失って大打撃をうけた京都の職人たち。
彼らが活路を見出したのは万国博覧会への出展によって拓かれた
海外マーケットへの輸出、でした。

技を尽くした超絶技巧から、アール・ヌーヴォーに影響をうけたデザイン性を採用した
モダンな作品、そして日常使いの品に美を見出す民藝の時代と変遷していった
京都の近代工芸の歴史をまとめた展示内容、でございます。

基本的に美術館では工芸品よりも絵画・彫刻のほうを熱心に見るタイプなのですが
まず今回は超絶技巧の作品がもつ技術力に眼を奪われてしまいました。
彫金や螺鈿の細やかさ、そして刺繍で表現された鳥や獣の毛の質感。
つい目を凝らしてじっくり細かいところまで見たくなってしまう、
そんな作品がずらりと並ぶ展示。

…しかし、技量よりもデザインに重きを置く時代に入った展示からは
なんとなく興味が失せてしまう…というか、
流行を意識したデザイン、というのはどうしても時代性の反映となる故に
現代の目で見るとよく言えば素朴、悪く言えば古ぼけたものになってしまい
自然の再現をスーパーリアリズムで行っていた超絶技巧の時代の作品と比べて
見た目に拙く、普遍性がないものに感じてしまいまして
一度最後まで見た後、また最初に戻って技巧を凝らした作品のほうを楽しんでしまいました。

かつて仕事などでデザインを行なっていた際には
できるだけシンプルで単純に、を心がけていたものでしたが
その頃とは自分の感性も変わったのかなぁ、と思う一日でございました。

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キース・へリング展

2024-07-15 | アート

いろいろな要因が重なった結果、今日明日が連休となったため
ちょっと遠出をしてみようと福岡まで行ってきました。
犬散歩があるので日帰り(それも夜7時には帰宅)ですけど。

というわけで福岡市美術館で開催中の
キース・へリング展 アートをストリートへ」へ。

ウォーホル、バスキアとともにポップアートを代表するアーティストであり
80年代ニューヨークを駆け抜けた芸術家であったキース・へリング。
不景気で荒れた地下鉄駅の広告スペースに貼られた黒い紙に
白のチョークでグラフィティをドローイングする活動を5年間続けたり
自分のアートをグッズ化して販売する店を開店したりといった
そんな「アートの庶民化/商業化をすすめた」文脈で語られる人であります。

グラフィティアートを描く中で抽象化/キャラクター化された
赤子や犬、妊婦等のシンボルで知られ、原色や蛍光色で彩られたそれは
ポスターやグッズとして飾りたくなる魅力に溢れており
それはまさしく「商業化の象徴」と見えるわけですが、
そもそものグラフィティアートも、自作のグッズ化も
「画廊や美術館に収められ、高額で取引される『芸術』を
 安価/無料で庶民の手に届くところにもっていく」ための活動、であることに気づかされます。
それこそ地下鉄でのドローイングをやめた理由が
「剥がして高額で売る輩が出て来たから」ということだったり、
反核、反アパルトヘイトなどのメッセージを込めた作品は
自費で2万枚を印刷し、無料で配布したり、ということだったり、と。

それは「世間にありふれたイメージを「芸術」化し、高額で取引される作品に変える」
(同じ福岡市美術館の常設展示には、「エルヴィス・プレスリー」があります)
ウォーホルの対極にある活動ではなかったか、と思い、
親交があった…というかウォーホルにフックアップされ有名になり、
共作をする仲の良い間柄でありながらも、
その共同作品でウォーホルをミッキーマウス
(商業化の象徴であり、ウォーホル作品のモチーフのひとつでもある)になぞらえた
「アンディ・マウス」として描いたときの彼の心境とはどんなものだったのだろう、
ついそんなことも思ってしまいます。

80年代後半、世界を席巻した後天性免疫不全症候群(AIDS)に彼自身も侵され
結果それが死因となってしまうわけですが、
その晩年においてこの病気への理解を広めるための活動に
アートの、イメージの力をもって飛び込んでいきます。
その以前からも彼の作品には生と性、そして死のイメージが常に描かれ
(かなり直接的にセクシャルなモチーフを描いている作品も多いです)
連作ドローイング作品の中では彼の主モチーフの一つである犬にも
どこか不穏な暴力の匂いを感じることとなっています。

今展覧会は一部展示(東京に来たときのあれこれ)を除いて撮影自由、
多くの作品はポストカードやグッズとして販売されますが
そのかわりに図録は販売しない、というもの。
作品を取り巻く情報や知識を残さずに、あくまで作品のビジュアルだけを残す、
そう考えると、「徹底した」ポップさなのかもしれない、と感じました。

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果てなきスペイン美術─拓かれる表現の地平

2024-05-30 | アート

本日は朝からスーパー銭湯→ランチの後に
久しぶりに長崎県美術館へ。

一人の外交官のコレクションを中心に集められたスペイン美術が魅力の長崎県美術館と
バレンシア州との姉妹都市提携で豊富なスペイン美術コレクションを持つ三重県立美術館。
この二つの美術館の収蔵品からスペイン美術の魅力と歴史を辿る企画展が
「果てなきスペイン美術─拓かれる表現の地平」でございます。

イスラム教徒からの領土回復(レコンキスタ)、
無敵艦隊(アルマダ)による植民地支配を誇った時代から
米西戦争に敗れて植民地を失い、国力が衰えていく時代…
そんな一時は世界の頂点を極めたスペインの美術史…
ゴヤ、ミロ、ピカソ、ダリといったスーパースターたちをはじめ
近世キリスト教美術の時代から、現代美術に至るまでの
多くの作品がふたつの美術館のコレクションから厳選されております。

…が、ということはつまり
半分以上の展示品はいつも常設展で見ているお馴染みの作品、であり
並びによって多少の感じ方の変化はあるものの
どうしても見知った作品だなぁ…ということで
軽く飛ばし気味になってしまってる面はあったなぁ、と
少し反省したくなる見方はしてしまったように思います。

あとは大きい彫刻って楽しそうだなぁ、と
いろいろな角度から見ながら感じたりもいたしました。

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浦上コレクション「北斎漫画」 ~驚異の眼・驚異の筆~

2024-05-03 | アート

映画を見た後、今日はインプットの日にしようと
長崎歴史文化博物館で開催されている「北斎漫画」展に行ってまいりました。

浮世絵というジャンルの頂点を極めた画家のひとりである葛飾北斎。
「富岳三十六景」がその代表作でありますが、
死後も刊行され続けたライフワークのひとつともいえるのが
絵見本というかカット集的なものである「北斎漫画」でございます。

市井で暮らす人々、動物、建築、武具、山水、妖怪、神仏に至るまで
ありとあらゆるものを描き、最終巻が出たのは没後30年になってから。
江戸庶民のユーモアを感じさせるものから、
当時入ってきた西洋画の遠近法についての解説、
さらに当時最新型のフリントロック式拳銃の解説画、
そして一時同居して挿絵を手掛けていた曲亭馬琴作品のキャラまで
その絵は多岐にわたっております。

版元から「これを見てその通りに描けばなんでも描ける」という
見本として作られたものではあるのですが
見て楽しいイラスト集としての需要のほうが
多かったんじゃなかったのかな…とも思いました。

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