好事家の世迷言。

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『BTTF』映画とADVゲームとにおける時間論。

2021-01-14 | BTTF(バック・トゥ・ザ・フューチャー)
ADVゲーム版『BTTF』、第4章まで来たところで、振り返って一節。

この第4章でマーティは、仮にも友人となったエメットを、幸福の絶頂から突き落とし、彼に憎まれる。本来の相棒だったはずのブラウンをも、アイテム活用のために利用する。いっそ残酷なほどに冷酷に。
一方、ブラウンも、ブラウン自身の人生を否定するマーティに、疑問を投げかける。私の時間軸を消さなければならないのかと。マーティもエドナも、誰もが幸福な時間軸は存在しないのかと。

悩ましい問題に対し、マーティは「正しい歴史に直す」などの説明をするが、エメットとエドナの相性が最悪だという事実は、(クララの件などの)全歴史を俯瞰した者しか知り得ない。
少なくともこの章において、マーティの知る1986年と、ブラウンの知る1986年は等価。二つの歴史は全くの平行(パラレル)で存在している。
まして、当初は基底の歴史を覚えていたのはマーティとドクの二人だったのが、第4章時点の時間軸では、マーティただ一人。客観的にはマーティこそ、異界の妄想を語る狂人になり得る。

ゲーム版が、映画よりも、こうも難解な展開になったのは、それぞれの創られた時代の差が大きいだろう。
ゲーム版が発表されたのは2010年。バック・トゥ・ザ・フューチャー本編が公開された1985年から、25年が経っている。その間に、SF作品における時間論は大幅に変わった。「歴史は容易に改変できる」設定から、「いかなる歴史も同時に並走している」設定が主流になった。
歴史改変できる世界観を守りつつ、近年の平行世界の世界観をも取り込もうとしているBTTFの姿勢に、心から賛辞を贈りたい。
……そんな事をつらつら思いつつ、次からラスエピです。

それでは。また次回。

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