好事家の世迷言。

調べたがり屋の生存報告。シティーハンターとADV全般の話題が主。※只今、家族の介護問題が発生中です。あしからず。

星新一ショートショート再読。(その43)

2024-01-21 | 星新一ショートショート
『おみやげ』
新潮文庫、番号43、『ボッコちゃん』収録。

私の世代では、本作『おみやげ』と『繁栄の花』がある意味、双璧となる。
小学校の国語の授業で必ず取り上げられている作品だったからだ。
特に『おみやげ』は、「宇宙人」という設定さえ飲み込めれば、とりわけ語彙も平易で分かりやすく、それに当然、全部読んでも非常に短い。
新調文庫版で4ページしかない。
読書に慣れていない人でも取っつきやすい、星作品初心者向けと言えるだろう。

けれど。
それとも、だから、と、つなぐべきか。
ラストで示される顛末はあまりにも呆気なく素っ気なく、徹底的に救いがない。
この作品の地球人たちは、致命的な失敗をした。
あるいは、この世界の私たち地球人も、とっくの昔に同様の愚行を犯しているかもしれない。

壊してしまった物は、二度と取り戻せない。
罪は滅ぼせない。
そして、壊してしまった事自体を知らずにいるのは、いっそう罪深いと言えるかもしれない。
無闇に壊すのは、ダメ、ゼッタイ。

それでは。また次回。

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