好事家の世迷言。

調べたがり屋の生存報告。シティーハンターとADV全般の話題が主。※只今、家族の介護問題が発生中です。あしからず。

『尚も生きる。手を取りて』第60話「半生の回想」

2020-02-02 | ゲームブック二次創作
そもそもの始まりは、俺が冒険者として半端者だった事だ。
理由なく暴走する魔力に振り回される挙げ句に、モンスター、
つまり「化物」と呼ばれる始末だった。

人生を変えたきっかけは、異国から渡ってきた「黒曜の剣」を得た事だった。
時に剣として、時に杖として使える特殊武器は、俺の立場を変えた。
俺の魔力は、強大な敵を撃ち倒す最大の強みになった。
呼び名のモンスターも、「強者」の意味合いで使われる事が増えた。
ただ、魔法使いとしても戦うようになった後は、無闇に声を
出さないように注意した。
寝起きで無意識に呪文を唱え、森を焼き尽くしそうになってからは特に。

それなりに名の知られるようになった頃、世界の偉い奴、
神だか上位者だかいう連中に、ザラダン・マーの討伐を依頼され、
空飛ぶ方舟ことガレーキープを託された。
集まってくれた仲間たちにも押され、俺は奴の拠点へ攻め込み、
奴を船内に拘束した。

誤算だったのは、奴が精神操作の術の使い手でもあった事。
俺たちは、ことごとく奴に屈服し、マランハによって、
知性ある者としての尊厳を奪われた。
俺自身も獣に変えられ、間抜けにも奴に“飼育”されたというわけだ。

ああ、つくづく傑作だ。
俺はよく周りから、「人を食った奴」と言われたもんだ。
まさか自分が、その言葉通りの存在になるとは思わなかった。

この記事についてブログを書く
« 喜劇と悲劇は紙一重、という話。 | トップ | FGOプレイ記録。(その1) »

ゲームブック二次創作」カテゴリの最新記事