・ベジタリアンの医学 (蒲原聖可) 平凡社新書
この本で印象深かったことのメインは前回書いた栄養素についての話と「多種類の植物性食品を組み合わせて適切に摂取すればベジタリアン食で栄養が不足することはなく、逆に様々な生活習慣病の予防などに効果がある」という結論なのですが、他に感じたことを少し。
・マクロビオティックについての記述
「日本人が始め、アメリカで広く知られるベジタリアン食」という位置づけで紹介していますが、「単なるベジタリアン食というより、生き方・思想である」とも述べています。
穀物(玄米)だけの食事、いわゆる7号食はやはり栄養が不足するという見解です。病気の治療に一時的に使うのはいいのかもしれませんが。私は家に一人でいて食事を自分で何とかしないといけないとき「ええい、7号食じゃ!」と玄米にごま塩だけの食事をすることがあるのですが、これは怠け者の単なる言い訳です。
それと、自然塩や未精製の植物性脂肪、湧き水などの使用は安全性の点(不純物混入のおそれ)から推奨できないとあるのですが、マクロビでも最近はそのあたりムチャな指導はしないのではないでしょうか。
・代替医療
ベジタリアニズムが医学界では「代替医療(Alternative Medicine)」の1つとしてとらえられているというのには違和感を覚えました(それが事実と反するという意味ではなく、そういう現状に対する違和感です)。代替医療というのは「通常の医療である現代西洋医学以外の医療」という意味ですが、「食生活の改善は通常の医療に含まれていない」というニュアンスを感じてどうも納得できないものがあります。とはいえ、普通の(西洋医学の)医者に行って受ける治療・アドバイスに同じ印象を受けるのも事実です。そのあたりは「胃痛とつきあう」シリーズでいずれ書いてみたいと思っています。
この本で印象深かったことのメインは前回書いた栄養素についての話と「多種類の植物性食品を組み合わせて適切に摂取すればベジタリアン食で栄養が不足することはなく、逆に様々な生活習慣病の予防などに効果がある」という結論なのですが、他に感じたことを少し。
・マクロビオティックについての記述
「日本人が始め、アメリカで広く知られるベジタリアン食」という位置づけで紹介していますが、「単なるベジタリアン食というより、生き方・思想である」とも述べています。
穀物(玄米)だけの食事、いわゆる7号食はやはり栄養が不足するという見解です。病気の治療に一時的に使うのはいいのかもしれませんが。私は家に一人でいて食事を自分で何とかしないといけないとき「ええい、7号食じゃ!」と玄米にごま塩だけの食事をすることがあるのですが、これは怠け者の単なる言い訳です。
それと、自然塩や未精製の植物性脂肪、湧き水などの使用は安全性の点(不純物混入のおそれ)から推奨できないとあるのですが、マクロビでも最近はそのあたりムチャな指導はしないのではないでしょうか。
・代替医療
ベジタリアニズムが医学界では「代替医療(Alternative Medicine)」の1つとしてとらえられているというのには違和感を覚えました(それが事実と反するという意味ではなく、そういう現状に対する違和感です)。代替医療というのは「通常の医療である現代西洋医学以外の医療」という意味ですが、「食生活の改善は通常の医療に含まれていない」というニュアンスを感じてどうも納得できないものがあります。とはいえ、普通の(西洋医学の)医者に行って受ける治療・アドバイスに同じ印象を受けるのも事実です。そのあたりは「胃痛とつきあう」シリーズでいずれ書いてみたいと思っています。
動物性食品を摂らないと、ビタミンB12、n-3脂肪酸(DHAやEPA)は不足ぎみだと思いますが(魚介類を食べれば関係ないですが)、結局、蒲原さんは、B12はサプリメントを推奨しています(海苔では不十分)。
DHAやEPAは前駆体のαリノレン酸を摂るしかないのでしょうが、そのあたりについて蒲原さんの著作では、対策があいまいなような気がしています。(αリノレン酸からEPA→DHAへの変換効率は悪い)
サプリメントに頼らないと完全菜食は不健康なのであれば、マクロであれ、ビーガンであれ、問題だと思うのですが、いかがでしょうか?
ちなみに、米国&カナダ栄養士会の最新のポジションペーパーでは、DHAに関してはサプリメント(海洋微生物由来)も場合によっては推奨しています。
我々の普通の生活では、肉や魚を食べないようにしていてもかつおでだしがとってあったりして摂ってしまうことが多いので、あまり心配しなくてもいいかもしれませんが。
ところで、話は変わるのですが、なぜ、マクロビアンの人は、栄養学は信用できないとか、嫌いとかいう方が多いのでしょうか?科学そのものが受け入れられないのか、それとも、栄養学という学問が科学として未熟であるということなのか?
科学の世界では、徹底的な検証批判の中で生き残ってきた学説が、定説となっていきますが、マクロの世界では検証批判がなくて、桜沢如、久司といったカリスマの言葉をそのまま鵜呑みにしているような印象を持ちます。
たとえば、食品の陰陽の強さは誰がどうやって判断したのか?陰性だと体が冷えるのであれば、食べ物と体温(この冷えるというのは体温という意味ではないかもしれないが)の関係とか統計でもとったのか?身土不二ならば、海国である日本人は魚貝類を食すのが自然であるということになりそうだけど、なぜ菜食なんだとか、そういうつっこみは、マクロビアンの間ではないのでしょうか?
これでは、足つぼの反射区みたいなもんで、なんで、足裏のこの部分が、この臓器とつながっているのか、マッサージ師さんに聞いても誰も根拠がわからないようなもんです。
それとも、根源的な理屈はわからないけど、体感として合っているように思うから、マクロは正しいといった感じなんでしょうかね?
ただし陰陽をカリウムとナトリウムの比で表したりしようとするところなどは、マクロビオティックも変に科学を利用しようとしすぎているという印象を持っています。
>強く、ミクロな分析に走りすぎた現代栄養学とは対抗
>する関係になっていますよね。
ミクロな分析だけでは問題ありますが、分子栄養学
も栄養学のレベルの向上という意味では重要だと
は思います。
人間の経験則といっても、バイアスがかかった見方も
あるだろうし、経験則では対処が難しい場合もあると
思います。経験則だけでは一歩間違うとへんな迷信
に落ち込む可能性もあるのでは?
>実際、人間にはどんなときにどんな栄養がどれくらい
>必要なのかはほとんどわかっていないわけですから。
所要量や摂取の上限とかは、ある程度指針がでて
いますよね?(政府やWHOなど)
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2004/11/h1122-2.html
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2004/11/h1122-2a.html
これらの指針が間違っているから、「わかっていない」
というのであれば、別の話になりますが。
もちろん、酵素や脂質の細かい種類とかは推奨値が
確定していないものもありますが。
まあ、マクロは基本的に東洋思想がベースですから、
漢方薬と同じように、材料の種類も調合割合も経験則
から割り出していると考えればいいのかもしれませんね。
(ただ、東洋系でない学者は、経験則ではなく、理屈が
どうしても知りたいと思うので、東洋医学は好きになれ
ないのでしょうが)
>とするところなどは、マクロビオティックも変に科学を
>利用しようとしすぎているという印象を持っています
マクロビオティックは、すべて経験則であるといいきって
しまえば、それはそれでわかりやすい気もしますが、
経験則だけでは、いまいち気持ち悪いというか、頼りない
というのが実感です。