炎と水の物語 2013 Apprehensio ad Ignis et Aquarius.

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長白山=白頭山 11世紀の大噴火の歴史背景

2009-07-24 | アジア・太平洋地域
過去二千年で最大の噴火である、長白山(中国名)白頭山(朝鮮名)の11世紀の噴火前後の社会背景を、まとめてみた.

金旭 先生  (中国地熱発電 地質)
鄭永振先生 ( 中国吉林省 延吉朝鮮族自治区 延辺大学 歴史 )

*金旭 先生
 文献による、長白山の噴火記録は、1702年、1662年、1068年がなどあり、『 李氏実録 』に
1068年に、「東の町(キョウセ)、西の町(フウニン)に灰の雨が降った。」とある。これが過去2000年、有史最大の長白山の大噴火と考えられる。

長頭山の活動期は、大きく三つに分けられる。
1.玄武岩噴出期
2.粗面岩噴出期(110万年前~)
3.4500年前の噴火、及び1068年以降の活動期

研究史
1942~43年 満州国時代に、加納という学者が、初の論文。
1948年   浅野によるの調査
1983年   中国科学院による調査 岩石学、地球化学的調査
同じころ、日本の町田による、日本海底の火山灰調査。
C14 放射性炭素の年代は 1250年 BP(今から1301年前)

*鄭永振先生 ( 中国吉林省朝鮮族自治区 延辺大学 歴史 )

11世紀の白頭山大噴火に至る渤海地域の歴史

 中国東北部での農業の開始は、6千年前から.
稲の出土は、3500年前の地層から。

 渤海建国当時(698年)の人口は、40~50万人程度。
当初は牧畜が主な産業。馬が中国への輸出される。

 唐の貨幣経済の発展にともない、800年代に渤海の人口は、200万人に急増。
農業の発展に伴い、鉱工業が発展.鉄、銅、金銀の産出が、唐との貿易で、急増してゆく。
唐末の経済加熱時には、銅鉱山の乱開発で銅の輸出が数倍になり、輸出を規制する法律が何度も出る.

 
渤海の焼き物は3つに分類される。
1.高句麗系の三彩器(ラッパ口)、2.唐風釉薬器 3.素焼き(庶民用)

以上「 白頭山(朝鮮語) 長白山(中国語)の噴火の背景 」 講演会のメモ 2000年12月 9日 宮城県民会館


参考年表

684 新羅の半島統一
698 渤海建国

907 唐亡び 五代十国の小政権の乱立期になる。
915 十和田湖の大噴火(過去2千年で、日本最大の噴火)
916 契丹 建国 (耶律阿保機 匈奴系)
918 高麗建国
926 渤海 契丹に亡ぼされる。
    契丹、中国を侵略する

936 高麗、 半島を統一
937 契丹、遼と国号を改める.
960 宋、建国

1004 遼, 河北で宋軍を破る.
1019 刀伊の入寇、 女真族

1067 神宗 宋帝位につく.王安石の改革
1068  長白山  大噴火 (過去2千年で、世界最大の噴火)
1076 王安石失脚、宋の国威衰退

1111  太湖  氷結する.
1115 金、建国 女真族
1125 金、遼を亡ぼす.
1127 金、開封を落とす.南宋時代はじまる。

考察  七世紀末の渤海の建国以来、朝鮮半島北部から中国東北部に、契丹、遼、金、元と中国北方の諸民族による国家が成立し、中国と抗争を繰りかえす。 
この地域は、鉄・銅・金・銀・石炭、森林等の豊富な資源に恵まれ、唐末期から宋代の経済の加熱を、資源面で支えた地域と考えられる。元以降、首都が北京に置かれるようになったのも、こうした資源掌握に関係しているのではないだろうか。

*関連ニュース. 2009年6月日・韓・中・露を結ぶ、日本海航路フェリー、就航!!  白頭山観光には、フェリーをどうぞ。
新潟から、韓国・束草へ 片道 16,700円. 往復 27,900円.
 ロシア・トロイツアへ 片道 19,100円. 往復 31,800円.
 中国・琿春へ     片道 20,900円. 往復 34,800円.


*拙ブログ関連記事
-失われた植生-白檀の島々 1815年4月 インドネシア スンバワ島 タンボラ火山の噴火の背景 白頭山に次ぐ巨大噴火
古代ローマ ヴェズビオ火山の噴火 79年の背景- 狂乱経済の果てに プリニウスの記すその歴史背景.


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4 コメント

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こういう記事は大好きです! (荒野人)
2009-07-26 00:13:08
白頭山、中国では長白山ですよね?

四季が美しい山ですよね。
ぼくも若かりし頃出かけたことがありました。

出来たてホヤホヤの映画も中国で見ました。
確か、長春の映画製作所でした。

なつかしく記事を読ませていただきました。
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噴火を誘発するもの (YUZOU)
2009-07-27 06:00:36
荒野人さん、こちらにもありがとうございます(^^)。長白山にいらしたことがあるのですね。私はまだ行ったことがありません。この夏から、新潟からフェリーが長白山の近くの港に、就航したそうで、ぜひ行ってみたいと思っています。

 西洋では、古代ローマの東西貿易の超過熱期(ネロ帝の時代)それまで数千年眠っていたナポリのベズビオ火山が大噴火しました。 

 また、近代の東西貿易の超過熱期の1815年には、今のインドネシアのタンボラ火山が、巨大噴火を起こしています。

 私は、火山周辺の森林破壊が、噴火を誘発するのかと考えましたが、現在のタンボラ火山周辺には、巨大な合板工場が建設され、森林は消滅してしまいましたが、噴火していません。
よって、鉱山開発などが、噴火を誘発するのではないかと考えています。
唐末期から宋代にかけては、東洋の超過熱経済の時期と思います.なにせ、外国の貨幣が、日本~アジア各地で流通していたのですから、すごい量の銅が、掘り出されたものと推測します。。。
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長白山 (荒野人)
2009-07-27 12:01:11
とても風光・・・明媚な場所です。
とにかく自然は一杯です。

でも、昨今の中国のとりわけ農業に関して問題があり、こうした自然破壊についても心配です。

環境意識は薄弱ですからね。

とまれ雄大な中国の大地はあらゆる欠点を補って余りあります。
どう楽しむのかであります。

今後中国がグローバルスタンダードをどう具体化していくのか興味があります。
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お返事、おくれました。 (Yuzou)
2009-08-24 10:34:34
 荒野人さん、コメントありがとうございます! お返事、遅れてすみません。長白山ではありませんが、とても涼しい所へ、避署に行っていました.

 中国はじめアジアの国々が、環境に調和した発展を遂げますことをお祈りしております。

 涼しい場所で読書三昧でしたが、日本の国が亡ぼうとしている構造を垣間見ました。
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