炎と水の物語 2013 Apprehensio ad Ignis et Aquarius.

広大な宇宙を旅する地球。私たちは今、どの辺にいるのでしょう. 

防災の日に思う 2.-震災デマの源流- パニックの引き金

2005-09-01 | 人災社会学!
 1983年5月26日、秋田県に多くの津波犠牲者を出した、日本海中部地震の前には、なんと!「 日本海には津波の心配はない。」という*報告書を、東京大学地震研究所の 宇佐美龍夫先生が、提出しています。

以下、前段の続き.

 こうした報告を受け、秋田県では小・中学校で、「日本海には津波はありません。津波の時は、海岸が安全なので、浜に避難しなさい。」などと広く、教育していました。
かく云う私も、小学校の社会科の時間に、「津波というのは、リアス式海岸に独特の現象で、日本海側では津波はない。地震の時は海岸に逃げろ。」と、懇切丁寧に教え込まれたのを、今でも、はっきり覚えています。また、どこかで地震があるたびに、日本海側に津波は無いから大丈夫と、聞かせれたものです。

 教育がこのようなものでしたから、秋田県では、この地震後、大挙して若者の人口流出が始まりました。高校を卒業した若者が、なだれををうって県外に逃げ出し始めたのです。何せ、学校で命に関わることを、ウソぶいて教え込んでいたのですから、たまりません。

 秋田県の人口は、この地震の翌年度、から、減少をはじめ、以後、増加することなく、今日に至っています。
最近では、中高年者の自殺率も、日本一を更新し続けています。
当初、若者の県外流出が主であったものが、最近では、死亡者の数が、生まれてくる人の数を上回る、自然減少に転じて久しいものがあります。
「 子どもが減ると、高齢者の自殺率が高まる・・・・」という有名な人口論を地で行くものがあります。これは、人口のパニック現象と申せましょうか。

 社会的に流されたデマの効果の凄まじさを、私たちはここに見ることが出来ます。
全国の社会心理学を専攻の皆さん! 人口研究の皆さん、東京大学災害社会学の学生の皆さん!研究テーマにいかがでしょうか。


 さて、いったい何ゆえ、この地域で、「 日本海に津波はない。」と、子どもにまで教え込まなければならなかったのでしょうか。
それは、海岸を埋め立てて工場用地を造成する、大規模開発の計画があったからにほかなりません。
津波で、工場が被害を受ける事がバレると、企業は進出して来ません。工場用地が売れ残ると、造成した県が、莫大な負債を抱え込む事になってします。


事実、造成された海岸埋立地には、今日、一軒の工場もなく、風雨に曝されています。


前の段に戻る>

-参考-

『 秋田県地震対策基礎調査報告書 』1982年
編集者 ・宇佐美龍夫(歴史地震)・他
東京大学地震研究所蔵・秋田県蔵


-拙ブログ関連記事-
・本物の「 吊り天井 」 唯一崩落した 仙台市営プールの怪.
・仙台で唯一崩落した「 吊り天井 」の裏側に ! 謎のカラクリ.

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5 コメント

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防災について考える (kagoneko)
2005-09-02 03:46:02
はじめまして^^。

トラックバック、ありがとうございました。



日本に住んでいる以上、地震の多さに驚くことはありませんが、このところ、大き目の地震が続いていることで、防災について考えさせられることが多くなった気がします。

ただ、自分も、私の周りの人も、目先の防災に捕らわれがちなのは、否めません。



原発のこと、秋田での津波のこと、恥ずかしながら知りませんでした。

世の中には、多かれ少なかれ、情報操作というものはあると思います。

ただ、情報を受ける側に、その根拠をきちんと調べることは難しく、ましてや専門機関や学校が発表した情報を疑うことは、まずしないように思います。

大切なのは、情報を鵜呑みにせず、より安全な防災について、自分や、家族や、地域の人とで考えること、ということになるでしょうか。



防災について、一歩踏み込んで考える機会を頂いて、ありがとうございました。



記事中や、プロフィールにある雲の写真、とても綺麗ですね!!先日、私も雲の写真を撮ってみたのですが、全然上手く撮れませんでした;;。
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Unknown (cremama)
2005-09-02 13:35:47
TBありがとうございました。

地震、最近の多さや規模にもホントに

脅威を感じ得ずに居られません。

いつ来るのか?

秋田県のこの記事の件、私も勉強不足で

知りませんでした。

実際津波、大きい物だとどうなるのでしょうかね?

防災の日では有りましたが、人が本当に天災に

備えるなんて可能なのか?と日々思います。
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kagonekoさん はじめまして。 (U-1)
2005-09-02 16:30:54
私は、原発については無関心でしたが、今回、仙台市民プールが「つり天井」?で、そこだけ大被害があったことで、初めて調べてみました。



ネット上では、女川原子力発電所建物から、白い煙が吹き出て、大騒ぎになっていました。

変だと思って、耐震性を調べてみると、女川の原子炉は、375ガルしか堪えられない事が分かりました。



普通の木造住宅でも、1000ガルは堪える様に設計されています。ミサワホームなどのパンフレットをご覧になってみて下さい。



秋田のことは、あまり知られていません。お役所にとっては、知られたくない所でしょう。

でも、少し調べるとすぐに、ボロが見えてしまいます。新聞やテレビではあまり報じない事が、たくさ~んありますね。
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kagonekoさんへ 追申です。 (U-1)
2005-09-02 16:35:25
雲の写真は、朝夕の半曇の日に撮ると、それらしく写るようで、霧が出た時はチャンスです(^^)。お天気の良い日は、うまく行きません。
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cremamaさん ようこそ。 (U-1)
2005-09-02 17:17:33
コメントありがとうございます。

大震災、最近の傾向は、経済の破綻とともに起こる傾向を感じます。

バブル崩壊と関西地銀の破綻、

ドル暴落とそれを世界一貯め込んでいた台湾の大地震、

対外債務に窮したトルコの地震など、どうも人為と思えるような災害が多いような気がいたします。



秋田の件は、一般にはあまり知られていません。地元ジャーナリストの方の、自費出版本がある程度です。お知りになりたいこと御座いましたらお問い合わせください。当方で分る範囲でお知らせします。



現在の状態では、九州沖などの海底カルデラはめだった動きがありませんから、山のような津波がすぐ来る事はないでと思います。

通常の地震に仕組まれた、「吊り天井」「原発」「学者の想定」など人為的なワナに、はまらない様にしたいものです。
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