炎と水の物語 2013 Apprehensio ad Ignis et Aquarius.

広大な宇宙を旅する地球。私たちは今、どの辺にいるのでしょう. 

戦争のジャーナリズム

2005-03-01 | 人災社会学!
リアリズム作家、黒島伝治は明治31年小豆島に生まれました。
今日は、その代表作の一つ『 橇(そり)』から、侵略戦争の本質を考え、イタリア人ジャーナリスト、誤射?事件を考えます。

黒島伝治は、ロシア革命への干渉戦争、いわゆるシベリア出兵(大正7年~11年)に、徴兵され戦地に赴きます。そこで彼が見たものは、何か。
短編ですので、読んでのお楽しみですが、光景が目に浮かぶような、リアルさこそが、彼の才能です。

(シベリア出兵の当初、ロシア革命は、シベリアや、極東側には達していなかった様子が、大正8年に考古学調査に訪れた、鳥居龍蔵の著作から、伺い知ることが出来ます。
この当時は、まだ、戦いが激化するでもなく、鳥居龍蔵は、ウラジヲストックからバイカル湖まで、実に安全に旅行し、各地の遺跡や、博物館を巡っています。)

さて、シベリア奥地に踏み込んだ、黒島伝治ら、日本兵が見たのも、革命とは無縁の農村でした。
風俗習慣、言葉までもが異なる、外国軍隊による搾取に対して、普通の村人達が、次第に「敵」になって行く様子が、書き記されています。

私の読後の感想としては、「連鎖反応」というキーワードが、浮かんできました。
もしシベリア出兵が行われなかったら、はたして、ロシア全体に革命が広がったのだろうかという、疑問が湧き上がってきます。

-参考-
『 黒島伝治集 』 岩波文庫 『橇』ほか、代表作三篇を収録.
(今日の私達が、読むと大変な反戦小説と思われるのですが、戦時中は何ら、干渉されることなく、執筆活動が出来たと、黒島伝治は述べています。むしろ、現在の評価の方が、古い。)

『 鳥居龍蔵全集第8巻 』   朝日新聞社 
(この巻では、極東の青銅器と九州~畿内の青銅器の類似、弥生タイプの土器の源郷が、ウラジヲストーク辺から朝鮮北部にあることなど、興味深い記述がちりばめられています。)

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7 コメント

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Unknown (o_sole_mio)
2005-03-06 22:54:56
こんばんは。



ご紹介の本、是非読んで見たいと思いました。



ご指摘の「連鎖反応」ですが、実に本質を突いていると思います。「風俗習慣、言葉までもが異なる、外国軍隊による搾取に対して、普通の村人達が、次第に「敵」になる」といことが古今東西幾度となく起きています。



「戦争の本質は何か」を考えるキーワードになると思います。
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 ( U-1 )
2005-03-06 23:31:17
0-さん コメントありがとうございます。



黒島伝治は、鳥居龍蔵の著作を読んでいて、

シベリア出兵について知ろうとしていて、出会いました。



短編で、読みやすいです。見たものを淡々と綴った感じです。

私は連鎖反応という言葉が、頭をよぎりました。



我、自衛隊は同じ轍を踏まないでもらいたいですね。
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Unknown (pommoi)
2005-03-13 21:34:40
ぜひ読んで見たいと思います。

村人が外国軍隊をどう迎えるか、ということについては、映像を駆使した今のマスコミでもなかなか表現できないことだと思います。

10年くらいたってから、実はあの時は、、などとドキュメンタリーになったりするのでしょうが、もう手遅れ。小説という手法が古くて新しいのかもしれませんね。
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例の事件 ( U-1 )
2005-03-14 00:22:29
pommoiさま コメントありがとうございます。映像よりも、衝撃的かもしれません。



黒島伝治の『 橇 』は、戦争にまつわる普遍的なテーマを取り上げています。

第二次大戦、ベトナム戦争など、どの戦争にも通ずるものが、あろうと思います。



彼が生きていたら、ノーベル文学賞ものでしょう。



それにしても、例の事件、マフィア映画を思わせるものが、ございました ^^;;

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例の事件 ( U-1 )
2005-03-14 00:36:22
pommoiさま コメントありがとうございます。映像よりも、衝撃的かもしれません。



黒島伝治の『 橇 』は、戦争にまつわる普遍的なテーマを取り上げています。

第二次大戦、ベトナム戦争など、どの戦争にも通ずるものが、あろうと思います。

彼が生きていたら、ノーベル文学賞ものでしょう。



それにしても、例の事件、マフィア映画を思わせるものが、ございました ^^;;

裁判で、証人に証言させまいとする、お決まりのパターンみたい。今回はそのマスコミ版。

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Unknown (pommoi)
2005-03-14 22:09:52
あとから考えれば誰が見てもおかしいという事が、その時にはそれですんでしまう。戦争中にはそんなことが無数にあったでしょうが、もはや、、、

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不買運動あれこれ ( U-1 )
2005-03-15 21:12:29
pompiさま コメントありがとうございます。



今回の事件は、世界中に波紋を投げかけてしまいましたね。

私も、あるアメリカ製品の購入を検討していましたが、これを機会に止めました。



ヨーロッパの方では、ユーロに対してドルが大幅下落。アメリカへのショッピングツアーが、大流行とのことです。

ヨーロッパからは、半額バーゲンに見えるとか。
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