幸せについての考察 【桐棺三寸】

桐鳳柳雨が贈る、幸せについての考察。
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Zさんからのメール

2004-10-07 | 日記 Ⅰ
東京裁判とサンフランシスコ条約は、当時から現在にいたる保守政権が企図した
戦後日本の枠組の大前提であり、これの正当性を執拗に蒸し返すことは、日米安保
体制、象徴天皇制等批判、単独講和を否定し全面講和主張まで含めなければ矛盾
します。小泉総理が東京裁判の受容、A級戦犯を罪人と呼んだのもこの原則に立脚
するゆえでしょう。確かにBC級戦犯の扱い等問題はありますが、それを「割り引いても
いわゆる東京裁判批判派の主張は、単に不健康なナショナリズムにのみ立脚する
論理的に洗練されていない、ためにする議論の印象が常にあります。

朝日社説にいう、若い世代で東京裁判の内容に無知な者が多く、無知な者ほど
靖国神社を是認するという指摘は背筋が寒くなります。
彼らの多くは、そもそも靖国神社についても無知なのでしょう。
東京招魂社から戦前の国家神道として英霊を量産する精神的バックボーン装置としての
靖国神社の役割を少しでも知っていたら、とても是認する気にはなれないでしょう。

昨今の下流社会化、学力低下の影響がここにも大きく現れているように思えます。


国防について、最近のべストセラー「国家の品格」に、「最大の防衛力は国家の品格
である」という趣旨の記述がありました。
かつて国防といえば、軍事か外交(権謀術)かの二社択一のように言われていますが、
実際は、経済力、文化力も含めたプレゼンス(品格といってもいいでしょう)と理解
すべきと考えます。圧倒的な軍事力を誇るアメリカも国内のテロをやすやすと許し
ベトナムでもイラクでも勝てず、潤沢なドルに支えられたイスラエル軍も女子供
を殺すことはできても60年間費やしてなお敵を皆殺しには出来ません。
軍事力の防衛に占める割合は1割程度、残りの9割は外交、政治、経済、文化など
で、他国の尊敬と共感を得ているかが問題ではないでしょうか。
1割の軍事力が100%充実していても、9割の非軍事要素が他国から反発を受けて
いれば、その国は安全ではありません。

よく戸締り、保険を軍事力に喩えるのはあまりにも短絡的ではないでしょうか。
保険、戸締りこそが非軍事的な経済関係、地域の存在感の向上ではないでしょうか。


むしろ軍事力は国防以上に経済的ないみがあると考えています。
例えば、100万円の自動車を1台生産すれば、150万円分の雇用が創出される
といいます。同様のことは30億円の戦車、150億円の戦闘機、700~800億円
の護衛艦にも同様のことが言えるでしょう。
地方にとって公共事業が重要なのと同様、日本の製造業全体にとって、防衛産業の充実は
ものづくりを成り立たせるためにも、技術水準を維持し高めるためにも死活的に重要です


その意味では、自衛隊の拡充は望みませんが、防衛機器事業の海外展開、輸出こそが
日本にとって必要なことだと考えます。


☆【桐鳳柳雨からの追加・訂正】☆

もしも私の表現が「戸締り・保険=軍事力」と受け取られてしまうとしましたならば、それは本意ではありません。
表現が悪かったものと反省します。

私が言いたかったのは、
「人が、日頃からどんなに努力していても発生してしまうかもしれない不測の事態に備えて保険に加入するなどしているように、国という規模で考えた場合でも、努力していても発生してしまうかもしれない不測の事態に備えるべく、何かしらの対策を講じておいたほうがいいのでは」
ということです。

そしてそれは、
「必ずしも軍備の拡張ということだけではないでしょう」
ということです。

Zさんがおっしゃる「非軍事的な経済関係」「地域の存在感の向上」ということも、素晴らしい対策の1つだと思います。



コメント
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