Kakuma News Reflector 日本語版

カクマ難民キャンプの難民によるフリープレス
翻訳:難民自立支援ネットワークREN
著作権:REN(無断引用転載禁)

2019年7月号 カクマとカロベイエイ難民のために作られたコミュニティ・アプリ

2020年06月17日 | 人権
KANEREスタッフライター

データコストやネットワークの貧弱さが懸念される中で、カクマとカロベイエイの難民は、必要不可欠な情報をより多く獲得できるようにデザインされたスマートフォン用の新アプリにアクセスできるようになる。そのアプリRELAYはREFUNITEというNGOが開発したコミュニティ・アプリで、この団体は、強制退去によって離れ離れになった家族を結び付けるために携帯のテクノロジーを活用することでよく知られている。

RELAYは、ニュース速報などの情報を普及する集中型プラットフォームを提供する。しかし、ネットワークから直接ニュースをダウンロードすることをユーザーに要求する多くのアプリとは異なり、同じ地域に居住しているユーザー同士のつながりを利用した情報伝達に依拠しているサービスだ。

「カクマではインターネットの接続状況が不安定なので、新しいアプリが公開されてもインストールが大きな壁になります。しかし」とプロダクトオーナーのフィレア・アドハンティさんは言う。「私たちはXender、Shareit、CMTransferのようなファイル共有アプリを使用し、Bluetoothを使ってアプリを人々、すなわちコミュニティ内でRELAYを使っている人たちに広めるのです。一人がアプリをインストールすると、それを近くにいる他のユーザーの携帯にファイル共有技術を利用して送ることができるのわけです」

ユーザー間の意識の欠如という課題もある、とアドハンティさんは言っている。「他のソーシャルメディアと似ているように見えるかもしれませんが、RELAYは個人的な見解を共有する場というより、身近なコミュニティの情報源としての役割を担うものです」

現在のRELAYのバージョンでは、キャンプで活動を行うNGOや人道支援団体が活用するようないわゆる“公式情報″が扱われているほか、ニュース、支援、趣味、イベントという4つの主要な情報を扱っている。後者の情報に関しては、攻撃的な言葉や敵意ある投稿を減らすために、認定を受けたユーザーのみが、アプリ管理者の校閲を待たずに、リアルタイムで記事を投稿し、公開することができるようになっている。KANEREが取材した難民の何人かは、現状では自分たちの投稿が採用されないことはしばしばあるし、管理者による閲覧を経てようやく投稿されたこともあると言っている。

様々な意味で、RELAYはキャンプ地における配信サービスに大きな変革をもたらすものとなっており、情報伝達の在り方を刷新する可能性もあるだろう。カクマ1に住むエチオピア人学生アジズさんはこう述べる。「ぼくがRELAYを気に入っている一番の理由は、奨学金の機会などの最新情報にアクセスすることができるから。最近、アフリカ連盟の難民対象の奨学金があることをアプリで知ったよ。もしアプリがなかったら、こんなチャンスを知ることはなかっただろうし、締め切りも過ぎていたはずだ」


【写真】カクマ1でアプリの紹介とテストを行うRELAYチーム 撮影:KANERE

しかしながら、KANEREが取材した難民の中には、このアプリも宣伝活動を引き起こす道具になりかねないと不安を口にする者もいた。現状では、ルーテル世界連盟、ケニアキリスト教会協議会、ピースウィンズ・ジャパンがこのアプリの公式ユーザーであり、ターゲット層の難民ユーザーの支援にこのプラットフォームを利用している。

その他の懸念は、RELAYユーザーのプライバシーに関するものだ。RELAYの代表者は、各団体は法律を遵守し、通常はユーザーのプライバシーに配慮してアプリを活用していると説明している。

しかしながら、全ての人々が納得しているわけではない。フィルムエイド・インターナショナルのジャーナリスト、エコドゥルさんはKANEREに、「こうしたアプリは、個人のポケットから情報を盗む組織的な方法です。以前は私もこのアプリを使用していましたが、今は携帯から外したいと思っています。」と懸念を述べている。

現在の全利用者数から換算すると、この記事が公開される頃には、RELAYはキャンプ内に2,000人のアクティブな利用者を獲得しているだろう。

RELAYアプリは2019年8月からアンドロイドアプリのダウンロード場であるアンドロイド・プレイストアで入手可能になる。

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