Kakuma News Reflector 日本語版

カクマ難民キャンプの難民によるフリープレス
翻訳:難民自立支援ネットワークREN
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2021年6月号 南スーダン難民、西トゥルカナ地区の中等教育終了試験でトップの成績 / KANREボランティアライター、バルウ・ウォル・マクアク

2021年08月07日 | 教育
【写真】左からナオミ・ケス、ジュアルウェル・アケク・ビオル、マケス・アリエル・デング 撮影:KANERE/バルウ・ウォル・マケアク

マケス・アリエル・デングは、ケニアで行われている中等教育終了試験(KCSE)でトップの成績を収めた。得点は全ての科目でオールA(-)という素晴らしいものだった。カクマ難民中学(KRSS)がこのような成績を収めたのは2010年以来2度目となる。

マケスは数千人が死亡した2014年の内戦勃発の際に、南スーダンからカクマに来て、カドゥグリ小学校の6年生に編入した。マケスはそれまでスワヒリ語は聞いたこともなかった。2年間スワヒリ語を学んだものの、2016年に受けた初等教育終了試験(KCPE)ではlスワヒリ語科目の得点は500点満点中318点でDランクだった。

この結果を受けて猛勉強をしたマケスは、スワヒリ語でB(良)の成績を収め、カクマ西トゥルカナで最優秀受験候補生になった。「人生は真っすぐには進めない。山あり谷ありだ。そういう道を歩かなければならない」とマケスは言う。

彼のスワヒリ語の成績向上は当初、カクマの外の良い学校で学んだからだと思われた。しかし彼は即座に否定し、「キャンプで学んで卒業したんです。カクマの外に出て学ぶような恩恵を受けたことはまったくありません」 と言った。

南スーダンの内戦の恐ろしさを耐え抜いたマケスは、猛勉強と彼の先生オソレ氏の励ましで、過去から逃れることができた。オソレ氏は、「将来がどうなるかを、君の過去から決めつけないで欲しい。好ましくない成績をとったからといって、それが君の将来に反映されるわけではないのだから」と言って彼を励ました。

オソレ氏は、高校やその後の高等教育での良い成績は、その人の勉学姿勢と決意、将来を見据える力のたまものだと強調する。

「生徒は、将来をより良くするために過去を利用すべきです。そうすれば過去を顧みて悪い点を見直し、未来を正しいものにしようと思うはずです」とオソレ氏は言う。

マケスによれば、自作の行動予定表が精神面での集中に役立ったという。彼は体育の一環としてフットボールをしているが、それは、学校での運動は成績に悪影響を及ぼすという俗説に挑戦するためだ。「生徒は勉強以外のことも経験する必要があります。あまりにも勉強に専念し過ぎて自分の才能を見いだせない人もいるからです。充電するためにはそういう自由に使える時間が必要なんです」

「スポーツも教育の一環として真剣に取り入れなければなりません。スポーツは別の世界から見た別の考え方を教えてくれます」

「学校でひとつ躓いたからといって勉強をやめるわけにはいきません。人生の途上に起こる多くの困難をどうやって乗り越えていくかを学ぶ必要があります。そうすれば教育の目標に到達することができます。どんなことでも、将来より良い人間になるのに役立つものです」

2020年には、カクマ難民中学校は難民キャンプや地域全体を通して、1校として最多の662名の受験生を登録した。

マケス・アリエル・デング君は輝かしい成績を収めたが、学校全体の成績を見ると、平均点が3.293しかとれなかった。COVID-19蔓延の間のオンライン授業や習熟度別授業が、多くの生徒が良い成績を達成するには十分ではなかったことを表している。マケスが唯一人のA(-)で、2人がB(+)、6人がB。かなりの生徒がCだった。11人がC(+)、24人がC、56人がC(-)。

108人がD(+)、186人がD(-)、30人がEだった。

2015年のカクマ難民中学校の受験生は全体で1662名だったが、2020年はCOVID-19の蔓延にもかかわらず3889名が登録し、そのうち男子が71.5%、女子が28,5%だった。


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