Kakuma News Reflector 日本語版

カクマ難民キャンプの難民によるフリープレス
翻訳:難民自立支援ネットワークREN
著作権:REN(無断引用転載禁)

2010年6月号  カクマ難民キャンプ・マーケットの食料品価格

2010年11月17日 | ビジネスと経済発展
カクマ難民マーケット食料品の値段が高いことと生活必需品の入手がむずかしいことが、地元住民と難民コミュニティーにとって大きな問題になっている。

カクマキャンプは北トゥルカナ地方の中でも孤立していて、特異な「小都市」のようになっている。この地方には、幹線道路が一本しかないため、カクマキャンプ・マーケットへの食料品の輸送は非常に難しく、費用もかさみ、食料品の品薄状態が続いている。

キャンプでは、買い手と売り手の大半が難民と地元トゥルカナ住民で、店を持ち商売をしているのはキャンプで暮らしている難民だ。食糧生産物や食品を供給しているのは、ケニア人商売人とはるか遠い西ポコト地方のキタレやオルトゥムタウンの仲買人で、西ポコト地方が野菜や他の食料品の主要な供給源になっている。キャンプでの需要が多くなると、供給量を獲得するために、さらに遠くに頼らざるを得なくなる。

大勢の商売人男女が、様々な食糧品を手に出入りし、意欲満々の売り手が買い手を相手に自由に商売をしている。大半の商売を切り盛りしているのは難民だが、キャンプ内で商売をするとなると外部と何らかのコネが必要だ。例えばナイロビは、個々の商売人とエチオピア、ソマリア、ウガンダといった近隣の国々とを結びつける主要ルートになっている。エチオピアで採れる香辛料はナイロビルートで注文、キャンプのマーケットで高値で売られる。また難民がソマリアから入手しているナツメヤシや畜産物はナイロビ経由、他の食糧はカンパラ経由で入手している。キャンプの商売人によれば、どこに渡りをつけるかはキャンプにどれだけ近いかで決まる。

食糧生産物の入手状況がよければ、マーケットの需要はさらに高くなるので、キャンプでの商売は非常に込み入ったものになっている。それはマーケットやショッピングセンターがどれほど商品を入手しているかを見れば、一目瞭然だ。マーケットやショッピングセンターでは、ほとんどあらゆる食料品や日用品、サービスを、ケニアの他の大都市のように楽に手に入れることができる。

KANERE記者がインタビューした店の主人は次のように述べている。「我々の商売はうまくいっている。高い需要が確実にあるのだから。ナイロビ経由のコネが他の町につながっているので、マーケットの需要に応じて食糧や日用品がすぐに手に入るようになっている」。しかしカクマ1のマーケット1で買い物をするK.A.は言う。「ここの野菜は高すぎて買えない。野菜を手に入れるために、自分の配給食糧を売らなければならないこともある」

商売人の大多数が次のように述べている。「商売を始めるのはとても難しい。資本金を手に入れるのは、これまた至難の業だ。でもキャンプ・マーケットでの経験や資金援助を受け方について教えてくれる店主はほとんどいない。実際には海外に住んでいる友人や親戚からやっと援助して貰い、商売を軌道に乗せ広げているんだ」 KANERE記者のインタビューにエチオピア人マーケットのジェイムズは次のように答えている。「3年前アメリカに移住した兄や友人は、私がキャンプでどれだけ苦しんでいるか知っていて、資金を援助してくれた。それで2006年に食料品店を開くことができた」

KANERE記者は、マーケット内で食糧や野菜の販売に最も力を持っているソマリ人の店主たちにも話を聞いた。商売に携わる多くの女性にとって、資本金を手に入れるのはとても難しいが、経営もまた困難を伴う。ハリマ・Iは「資金の入手は難しかったが、契約書にサインして商売を始めた。掛けで食料品を仕入れ、店を営業しながら2ヶ月かけて返済した」という。

〈食料品の価格〉

カクマキャンプ・マーケットの商品価格は、この地域の他のほとんどの町や、アフリカの他の難キャンプに比べ、非常に高い。例えばナイロビの食品価格は、キャンプの食品価格に比べるととても安い。トマト1キロが40-50ケニアシリングで買えるのに、キャンプでは90-100ケニアシリングもする。キタレ、ナクル、オルタムのような町では、1㎏あたり75-80ケニアシリングの砂糖が、キャンプでは100ケニアシリングの固定価格で売られている。

新鮮な果物や野菜は、ケニアのほとんどの町で非常に安く、トマト1個は2ケニアシリング、オレンジ2個や数個のマンゴは6ケニアシリングで売られているが、カクマ難民キャンプ・マーケットではたった1個のトマトも7-10ケニアシリング以下では買えない。たった中ぐらいの大きさのオレンジやバナナも、1個10-15ケニアシリング以下では手に入らない。さらに500ミリのソーダ飲料1本は市場価格で28ケニアシリングだが、キャンプでは50ケニアシリングもする。

価格変動が激しいのに、キャンプ・マーケット内では価格抑制がない。消費者の需要はきわめて高いのに供給量が低いので、競争が激しくなり、食料品の価格はうなぎ登りに跳ね上がっていく。消費者がなけなしのコインを手に、マーケットの周りに集まってくる。しかし食事を作るための材料を手に入れようにも食料品を買うのが難しいことは、多くの難民も知っている。カクマ1の大きな難民キャンプ・マーケットにいるイフラハム・ Mは、「5年も店主をしているが、このマーケットでは食料品が毎週値上がりを続けている。消費者がどんなに大変かよくわかる。でも、食糧生産物を仕入れるのは大変だし、高値で供給されるから高く売らなければならない」と言っている。

KANAREは、カクマ難民キャンプとザンビアのカラおよびムワンゲ難民キャンプの価格を比較してみたが、カクマ難民にとって良い結果ではなかった。一日を半ドル以下で暮らしている難民にとって、食料品の価格が好ましくないことを示していた。カクマキャンプ・マーケットでは食料品や他の品物を買うのにセント(5セント、50セント、1-4ケニアシリング)や5ケニアシリング以下のコインは役に立たない。カラやムワング難民キャンプでは5セントあれば青野菜の束2つ、または3-4本の大きなバナナ、または2-3個のトマトが買える。運よく50セントや1シリングもあれば、カクマに比べ、ずっと多くの食料品が買える。

〈マーケットの規制〉

キャンプは広大なので、商売は安定し、商品の流通もよい。カクマ1にはキャンプ内で最大のマーケット・センターがあり、カクマ2フェイズ2やゾーン2-3の小さなマーケットとも連携している。

しかしながら、キャンプ内のマーケットには、いかなる規制もない。KANEREが調べたところ、カクマ・タウンでは少なくともマーケットの規制が行われ、時にはモニタリングも実施されている。また大部分の食料品店やセンターは営業の認可を得ていることがわかったが、キャンプ内には何の規制もない。なんという違いだろう。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿