彼の子供が生まれたあの日から彼と会うことも出来ず、私は
悶々としていた。
悲しくて悲しくてしょうがなくて、でも、涙も出なくて・・・
今日会社で、お昼前にムカつくことがあって、お昼は一緒の
テーブルなんだけど、全然会話もなく、思いっきり無視して
しまった。
彼は「これ食べる?
」といつも通り優しく訊いてくる。
でも、その優しさにさえムカついてしまっていた。
彼が「今日一緒に帰ろう!で、話そう!
」って言ってきた。
最近は本当に奥さんの出産に立ち会ってから、毎日ちゃんと
帰っていたので、彼と会うこともなく、会って話したいなぁ・・・
って思ってたんだけど・・・
私はつい
「何を話すの?!話すことなんて何もないでしょ?!」
なーんて言ってしまった。
その後、ほとんど食事に手をつけず、スタスタと立ち去って
しまった。
ダメだなぁ・・・私。。。短気だから・・・
残業して私が先に帰ってきたんだけど、彼が来るのか???
それとももう遅いから来ないのか???
なんて思っていると、ピンポーンと彼。
最初は二人とも黙り込んでしまって、ただタバコに火を点けた。
ずっと
沈黙が続き、二本目に火を点けた。
彼が
「ここ数日、言いたいことあるんでしょ?言って!」
と切り出した。
私の中では、彼の方から何か話をすると思っていたので、
「え?!私が言うのか?!
」と拍子抜けしてしまった。
で、私は切り出した。
私
「あの日から私は辛くて辛くて仕方がないのに、Bくんは
なんのフォローもしてくれないでしょ?ずっと放ったらかし。。。
どんな神経してんの?」
彼
「そのフォローってどういうフォロー?
」
その
開き直った言い方にカチン
と来た。
彼はいつもそう!
「じゃ、どうしたらいいの?!
」「何がいけないの?!
」
どう考えても彼が悪いのに、そんな言い方をするから、余計に
腹が立つ。
私
「なんでいつもそういう開き直った言い方するの?
で、いつもそうやって私に訊くけど、そんなこと私に訊く
ことじゃないやろ?自分で考え~やぁ!!」
彼
「考えても分からんから、教えてって言ってるんだよ!!
」
それを聴いて、
脱力・・・
私
「どうやってフォローするか?そんなの
相手のことを考えたら
自然に“こうしてあげよう”とか思うもんでしょ?
人に教えられてすることじゃない!」
彼
「どうしたらいいか?考えたけど、どうしたらいいのか
全然分かんないんだよ!」
私
「あのさぁ・・・あの日、会う約束してて、急に“子供が生まれる
から病院に行きます”ってだけメール来て、置いてきぼりに
されて、、、私がどんなにツライか分かる?
泣きたくても、涙一滴も出なかったよ!!
今の今まで、放心状態で、全く涙出なかったよ!!
私は凄く辛くて、でも仕事も放ったらかしになんか出来ないから
休みたいけど、必死に耐えて出勤してたんだよ!
それなのに、楽しそうに笑ってるの見たら、こっちはどんな気持ち
か分かんの?!」
彼
「ずっと笑わずにいろっていうの?
そんなの無理に決まってるでしょ?」
私
「誰も笑わずにいろなんていってないよ!!
でも、私の見えない所で
笑うとか・・・気を遣ってくれてもいいんじゃない?って言ってんの!
あんな大きな声で笑われたら、
カチン!!と来るよ・・・
何がそんなに楽しいんだろう…って。」
彼
「俺だって辛いんだよ!
そう見えないのかもしれないけど・・・」
私
「うん、全然
見えないね!!」
彼
「・・・じゃ、いいよ・・・。
」
他にも色々話したけど(忘れちゃった)、
なんかこの辺りまでは、お互いに怒鳴りあってて、お互いに
言ってることが理解出来なくて、「もういいよ・・・」って
感じだった。。。
今日なんの為に話す時間を設けたんだろう・・・って思ったよ。
私
「勿論、私もこうなること分かってたから、仕方ないと
思わないといけないんだろうけど、、、でもね、前に、
生まれるなんて時に、私は普通の精神状態でいれる自信が
ないから、
“今のうちに切って!!”ってBくんに言ったでしょ?
でも、どうしても切れないって言われたじゃない?
だから、私はBくんが“何か少しでも傷つかないようにして
くれるのかなぁ?”って信じてたし、期待してしまったよ!
それなのに、、、結局、こんなんで・・・Bくんが忙しいのは
分かるよ!・・・でも、あの時自分が切らなかったんだからさぁ、
もうちょっと何かフォローしてくれてもいいんじゃない?
ちょっとでも会いに来てくれるとか・・・優しい言葉をかけてくれる
とか・・・ あなたの口から出る言葉は信じられないほど冷たくて、
開き直った態度だから、カチンと来るよ!!
自分は何も悪くないの?自分がしたことでしょ?
子供が勝手に生まれてきたの?
私のこと想ってるとかいいながら、奥さんとしちゃったから
こんなことになったんでしょ?
私ホントに今生き地獄だよ・・・
こんなんだったら、殺された方がマシだよ・・・
今は、
手も切られて、足も切られて、それでも生きろ
って言われてるような状況だよ・・・」
彼
「・・・。
いつもrenkaキツイコトいっぱい言うでしょ?その中でも、
開き直ってるって言われるのが一番腹が立つ。
renkaは短気で、性格に問題あるって前に言ってしまったけど、
でも、最近、俺の性格にも問題あるって思うようになったよ!
確かに、開き直ったような言い方してるなぁ・・・って思うんだけど、
止められない。。。ゴメンね。」
私
・・・号泣・・・
彼
「renkaには言ってないけど、俺だって辛かったし、どうしたら
いいのか分からなかった。。。
色々考えたよ・・・」
私
「色々って?」
彼
「renkaを悲しませたくないから、子供を殺してしまった方が
いいんじゃないか?とか、でも
自分の子供を殺すような人と
renkaは居たくないだろうなぁ・・・とか、renkaが仕事やり辛い
だろうし、会社を辞めてしまおう・・・とか、ホント色々。」
私
「私、何度も
“死ね!”ってメールしたでしょ?
あれは、Bくんにじゃなくって、赤ちゃんと奥さんが死んでしまえば
いいって心から願って送ってしまった。
なんで私だけがこんな思いをしないといけないのか?って恨んだよ!
Bくんはさぁ、奥さんにもいい顔して、私の事なんかばれなかったら
それでいいやって感じで・・・いい旦那演じて、いい父親演じて・・・
私のことは、子供生まれたらそれでバイバイ?
私はいろんなモノを失うけど、Bくんは何を失った?
ローンが・・・とか言って、結局仕事は辞めれない。
仕事ないとか言うけど、ない訳ないじゃん?!
○さんだって、どっかの会社に転職して、マネージャーになるんだよ!
Bくんだったら絶対転職してもやっていけるよ!
子供のことだって、登録がなければ生きていけないっていうけど、
それで子供は生きていけても、私は生きていけないよ!
私はどうでもいいって?
なんかさぁ、
それってただ楽な道選んでるだけじゃない?」
彼
「renkaの言うように、色々考えてはいたけど、結局、俺は楽な道を
選んでしまった。renkaには悪いことしたと思う。。。ゴメン」
ゴメンとか言われて、また涙が止まらなくなった。
私
「私もね、Bくんには言わなかったけど、色々考えてしまったよ!
この前、前の不倫の彼が来るって言ったでしょ?
結局会わなかったけど・・・ 彼が奥さんと離婚したって聴いたら、
こんなツライ思いをするんだったら、
前の彼のところに逃げ出してしまおうかなぁ・・・
って頭をよぎったよ!
それが一番楽だもん!
でも、Bくんの優しいところ、良いところいっぱい知ったら、
前の彼に対する気持ちは薄れてしまったし、
ただ単に、今の状況から逃れる為に、そんなことしてもなぁ・・・
って思った。」
彼
「・・・そうだったんだ。
でも、俺の良いトコなんて、今回のことで
全部消えてなくなっちゃったでしょ?」
私
「
なくなんないよ・・・ そんな簡単にBくんへの想いが消えてしまったら
私は楽になれるのになぁ・・・
消えてなくなって欲しいよ・・・」
彼
「renkaに切ってくれって言われた時、この関係を解消したら、
もう友達としても付き合っていけないって言われたでしょ?
実は俺も前まではそういう考えだったんだ・・・前に付き合ってた彼女とか
ね・・・。彼女達とはカラダだけの関係だったのかもしれない。
別れてもそんな困るようなことはないと思ってたし、別に切れたら
それでいいって思ってた。
でも、renkaは違うんだよ!
ずっと一緒に居たいと思うし、放したくない!
もしrenkaが自分の傍から居なくなってしまったら、どうしたら
いいのか分かんないんだ・・・
子供も殺せないし、renkaも手放したくない!!
」
私
「それは・・・勝手やろ?
そんなん無理に決まってるやん?!
どっちかを選ばないと、両方手に入れようなんて・・・勝手だよ。」
彼
「そうだね・・・
勝手だよね。。。でも、本当にrenkaのことは
失いたくなかったんだ!」
私
「でも、結局、こういう結果になったんだから・・・
仕方がないよ・・・
私もBくんのことは失いたくないけど、このままここには
いれない。。。どうしたらいいんだろう・・・
考えないとね。」
彼
「ツライ思いをさせて、ゴメンネ!」
私
・・・号泣・・・
(謝ってほしいと思ってたんだけど、謝られたら余計ツライよね?)
私
「あぁあ、、、私はなんでこの国のこの街に来ちゃったんだろう・・・
来なけりゃ良かった・・・
ねぇねぇ、Bくんって
前世とか信じる?」
彼
「前世って、生まれてくる前の?」
私
「うん。私最近思うんだけど・・・
私、前世でBくんにすごいヒドイことしたのかなぁ?って。」
彼
「だから今世で俺がrenkaに仕返し?
」
私
「うん。・・・前世でヒドイことしてしまったんだったら、ごめんね!
許して下さい!でも、今世でこんなことされたから、来世で
また仕返しするからね!覚えておいてね!」(笑)
二人で笑って、落ち着いてきた。
結論は?って感じなんだけど、そこからは、仕事の話とか、最近
Bくんのこと避けてて、何も話してなかったので、お互いに積もり積もった
話をしだして・・・いつも通り。
その時、思ったんだ!
彼とは分かり合える、話の合う同志なんだなぁ・・・って。
そんな存在を失ってしまうのは、お互いにツライことだなぁ・・・って。
あのまま気の合う、なんでも話せる友達のままでいれたら良かったのにね・・・。
まぁ、私は絶対そういう風には戻れないけど・・・
で、23時過ぎまで居てくれて、私はずっと泣きっぱなし
で・・・
目はパンパンに腫れたけど、胸につっかえていたモノがなくなって、
随分スッキリ
したよ・・・。
「じゃ、帰るね!」っていういつもの彼の一言も、
「これが最後なのかなぁ?」とか考えてしまって、涙・・・
彼は私の手を握って、
ホッペにチューしてくれたんだけど、
やっぱり口には出来ないか・・・とまた涙・・・
玄関まで歩く時も、いつも彼の後にピタッとくっ付いて、
彼の差し出す手を掴んで歩くんだけど、また泣けてきて・・・
玄関で、彼がギュッ
と抱いてくれた。
痛いくらいギュッと・・・
私も離れたくないって思ったし、彼もずっと放さなかった。
で、またホッペにチュー
、おでこにチュー
やっぱり口は・・・と思ったら、最後に
お口にチューしてくれた。
私は涙が止まらず、しょっぱかったけど・・・
もう一回、お口にチューしてくれて・・・
彼は帰っていった。
マンションの窓から下を覗いて、いつものように携帯を振る。
彼も下で携帯を振っている。
その姿ももう見ることはないのかな?
やっぱりツライのは変わんないよね・・・