ホンダの2024年3月期は最高益だった
ホンダが10日発表した2024年3月期の連結決算(国際会計基準)は、純利益が前の期比70%増の1兆1071億円だった。
18年3月期(1兆593億円)を上回り、6年ぶりに最高を更新した。主力市場の北米や強みのハイブリッド車(HV)で販売が伸びた。円安も貢献した。あわせて上限を3000億円とする自社株買いも公表した。
オンラインで決算会見に応じた三部社長
売上高にあたる売上収益は前の期比21%増の20兆4288億円だった。営業利益は77%増の1兆3819億円と初の1兆円台に乗せ、16年ぶりの営業最高益となった。
オンラインで記者会見した三部敏宏社長は「事業体質は着実に改善している」と手応えを述べた。
四輪の世界販売は11%増の410万台に回復した。うち北米が36%増の162万台で、中国を含むアジア(5%減の165万台)の不振を補った。高単価の車の比率上昇もあり、販売関連やコスト削減による効果が営業増益をけん引した。
円安による増益貢献は約1500億円だった。二輪も新興国を中心に売れ行きが良かった。
25年3月期の純利益見通しは前期比10%減の1兆円とした。市場予想の平均(QUICKコンセンサス)は1兆655億円だった。
売上収益は1%減の20兆3000億円、営業利益は3%増の1兆4200億円の見通しで、営業利益は2年連続で最高を更新する。ただ、中国の持ち分法適用会社の損益が悪化し、最終減益になる。
決算に合わせて発表した3000億円の自社株取得枠は、24年3月期に設定した取得枠の合計(2500億円)を上回り、同社としては最大だ。
ホンダのPBR(株価純資産倍率)は直近で約0.7倍にとどまる。早期に1倍に引き上げる点を意識しており、株主還元を拡充する。25年3月期の年間配当は1株68円の計画で、23年10月の株式分割を考慮したベースでは実質据え置きだ。
四輪の世界販売は微増の412万台とした。日本や北米は引き続き増加を見込むものの、北米は生産能力が上限に近づいているという。中国を含むアジアは減少する。
HVの世界販売は17%増の100万台と設定した。青山真二副社長はガソリン車とHVの台あたりの収益性は「同等になっている」と述べた。
想定為替レートは1ドル=140円とし、実勢より約15円の円高に設定した。海外での売り上げが円ベースで目減りするため、売上収益は前期比でわずかに減る。
藤村英司最高財務責任者(CFO)は為替レートについて「少し保守的だが、上期のうちは145円くらいで、下期に向けて金利環境から135円くらいになるのでは」との見方を示した。対ドルで1円円安になると営業利益ベースで100億円、対ユーロでは15億円の押し上げ効果がある。
ホンダが中国で展開するEVブランド「eNS2」(4月、北京市)
電動化に向けた投資を積み増す。研究開発費は23%増の1兆1900億円と初の1兆円台に乗せる。設備投資も73%増の6700億円と大幅に伸ばす。
電気自動車(EV)で協業を検討している日産自動車との提携内容についても三部社長は言及した。「議論は煮詰まってきており、近々に公表できると思う」と話した。
日経記事2024.05.10より引用