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やっぱりグランパスが好き!!

成し遂げよう!!ACL制覇とJ1連覇!!グランパスの新たな歴史を創るために。

寛容さの福音--映画『明日へのチケット』

2007年05月14日 | 映画
あさってからカンヌ映画祭がフランスで
始まるとニュースでみました。
華やかな映画スターが一同に集まってくる様子を見ていると
こちらも気分がなんだか浮き立ってくるようです。

今日は、そのカンヌのPalme d'or 賞受賞経験のある3人の
監督さんが撮ったものをオムニバスっぽくまとめた映画を借りて
観ました。

『Tickets』(邦題:明日へのチケット)

監督:エルマンノ・オルミ、アッバス・キアロスタミ、ケン・ローチ



ジャケットに、セルティックサポーターの写真が載っていたので
単純にそれがきっかけで借りてみたのですが、これが結構おもしろくて♪


<あらすじ>*****************************************

ローマへと向かう特急列車に乗り込んだ様々な人種と階級の人々。
そこで描かれるのは彼らが手にした1枚の乗車券がもたらす哀しみ、
不安、残酷さ、不平等、そしてそれでも失われない愛と希望の物語。

悪天候のために飛行機をあきらめ、インスブルックから列車でローマに
帰るはめになった初老の大学教授は、予期せぬ心のときめきに出会い
その思いをきっかけに、これまでの自分なら考えられないような
ひとつの行動をとる。

何の目的も見つけられずに流されながら生きている青年は、
自分自身と真摯に向き合うことでやっと未来へと目を向けるようになる。
長い間わがままで自分勝手に生きてきたある中年女性は、
人生は誰にも頼らずに一人で歩いていかなければならないことを思い知らされる。

そして夢にまで見たサッカーチャンピオンズ・リーグの試合を観るために
スコットランドのグラスゴーからやって来たセルティック・サポーターの3人の
若者たち。彼らもまた自分たちがしっかり世界とつながっていることを知り、
限りない未来への可能性を見つけ出す。そして偶然めぐり会った乗客たちは、
それぞれの新しい人生の選択と可能性の物語へと旅立ってゆく。

******************************************************

まずなんといっても、ヨーロッパを走る国際列車の様子が
とてもうまく描かれていてなんとも懐かしい気持ちになりました。
「あー、こんな人いるよね~」という感じの乗客がさまざまに
描かれていて凄く雰囲気が出ていました。

私もローマ行きの列車に乗ったことがあるのですが、
向こうの人ってやたらと親切なんですよね。
座るところがなくてデッキに立っていたら、向こうの方から
初老のご夫婦が、わざわざ私の方まで来て
「次の駅で私達は降りるから、座りなさい」とかいって
引っ張っていかれたり。あるいは眼の前に座っていた
人が突然パンを分け与えてくれたり・・。

よっぽどの貧乏旅行に見えたのでしょうか?


1話目、2話目とそれぞれに淡々と話しが進むのですが、
映像と人物の描き方になんともいえない味わいがありました。


でもやっぱり3話目のセルティックサポーターが主人公になった
話が一番楽しかったです。

列車でベッカムのシャツを着た少年に思わず話し掛けたり
気分が高揚しっぱなしでチャントを歌ったり・・
うん、わかる、わかる、その気持ち・・という感じでにやけてしまいました。

3人とも純粋でお人よしで純朴で、
そしてなによりも愛すべきサッカー馬鹿という感じで、
グラスゴーの田舎から出てきた若いセルサポの
イメージがとても良く出ていました。

そういえば2002年に日本に集結したアイルランドサポーター達も
こんなふうに純粋で朴訥な感じだったし、時々セルティックの試合など
テレビで見ても、こんな感じの人の良い温かい雰囲気がありますよね。

「ヘンリク・ラーション♪ヘンリク・ラーション♪♪」とチャントを
口ずさんだりするところなんかは
もし今年撮っていたら「ナカムーラ♪ナカムーラ♪」だったのかな~。笑。

グラスゴーからローマへ--
自分のクラブのチャンピオンズリーグの試合を
応援するためのアウェイへの旅路なんて、最高に楽しいでしょうね。

しかし彼らはそんな楽しい旅の最中に
列車に乗り合わせたアルバニア難民の家族と、
ある事件から関わりを持ってしまうのですが、
その場面でも、純粋に一人の人間として悩んでしまいます。

「難民の問題なんて俺達には扱えないよ」とか
「でも、難民の人たちって虐待を受けたり、殺されたりとかするんだぜ・・」
と真剣に苦悩しだす若者たち。

今、ACLで闘っている浦和サポの方達や、川崎サポの方達は
アジアのアウェイの地に赴いていらっしゃるので
特に感じることも多いと思いますが、
サッカーのサポーターは、知らず知らずのうちに世界の現実と
対面したりすることがありますよね。

また同時に自分達が確実に世界の中の自分であることを自覚し、
そしてフットボールを通して世界とつながっているのだということも・・。


最後の場面、偶然にことが運び、
駅を痛快に走り抜ける3人のサポーター。
そしてそこにローマサポも加わり、とても爽快な気分になりました。

サポーターっていいね♪サポーター万歳♪♪


この映画の中で様々に描かれる、他人への寛容さ
あるいは慈愛といったものが
とても温かい気持ちにさせてくれました。


人に寛容であるということ--
例えそれがお人よしと言われようともそこには何か世界が幸せに
なれる鍵が備わっている気がします。


小さな作品で、どちらかと言えば静かな作品でしたが、
見終わったあと、5月のさわやかな風がどこからか吹いてくるような
そんな気分にさせてくれる佳作でした。

記憶と場所--『私の頭の中の消しゴム』

2007年02月05日 | 映画

昨日は、今月からGyaoで始まった映画
『私の頭の中の消しゴム』を観ました。

※以下、ネタバレになりますので、まだご覧になっていない方は
ご注意くださいね。

******************************


裕福なお嬢様で幸福な家族を持ちながら、
社内不倫の末に捨てられたスジン。
幼い頃母親に捨てられた過去を持ち、
その傷心からなのか人を愛することを避ける人生を送ってきたチョルス。

ともに忘れたい過去の記憶を持つ二人が出会い、結婚し、
新たな幸福の記憶を紡ぎだそうとする中で、重い病気を抱える物語。


この映画は”記憶”というテーマを元に様々な場所や人、そして
それにまつわる物が映像の中で交錯していきます。

人が自分の過去を思い出し、記憶を辿るときに頼るもの・・
それは特定の場所だったり、特定の人物だったり、
そのとき五感に受けた色、匂い、温度、風の強さ、空の色、建物の形・・・

この映画では、そういった”場所”や”物”が印象的に使われていました。


例えば、主人公たちが初めて出会うコンビニの入り口。

都会のコンビニといえば他人同士がすれ違ってもそこで
交わることなどほとんどありえない場所。
そのような場所で二人はお互いに記憶に残る印象的な出会いをします。

あるいは、場末の屋台。

チョルスが会社の飲み友達と集まっている場所に、
小奇麗な格好をしたスジンがやってきます。
純粋なスジンの気持ちに、ついに心を開くチョルス。
二人が恋に落ちるその場所は、お世辞にもロマンチックな場所では
ないけれど、だからこそいっそう二人のピュアな恋愛を象徴しているようでした。

あるいは、バッティングセンターのバッティングゲージ。

都会のバッティングセンターは、一人でマシーンから出てくる
ボールをひたすら打ち返すだけの場所。
そしてそこは、チョルスが孤独をかみしめる場所でも
あったのかもしれません。
しかしスジンと出会い、チョルスは希望のともし火を見出します。


そして二人が結婚し住む家。
チョルスがスジンという唯一の家族を得て、幸せに暮らすその家。
キッチン、コンロ、トランプ、大工道具、さまざまな写真・・・
二人が新しい人生の記憶を積み上げる場所でした。


やがてそのスジンがアルツハイマーという病気にかかり、
その積み上げた記憶が、その二人の幸せの記憶が零れ落ちていこうとします。

スジンの病気を知ったチョルスは、ひたすらにスジンを守り
二人でつむいだ記憶を必死でつなぎとめようと努力します。

しかし病気の進行は止められず、スジンはやがてチョルスが誰か
自分が誰かさえもおぼつかなくなり・・・

絶望したスジンは、チョルスの元を離れ一人旅立ちます。
別れの手紙を読むチョルスの慟哭のシーン。

やがて時が過ぎ、スジンから思わぬ手紙が届きます。
それはひと時記憶を取り戻したスジンからの懐かしい手紙。
チョルスは再びスジンを捜して車を飛ばします。

療養所で静かに暮らすスジンの住む部屋は、
真っ白な家具と真っ白なカーテン。
スジンの記憶がもうほとんど残っていないことを象徴しているようでした。
そのベランダで静かに座るスジンは、おぼろげな記憶の中の
”顔”をスケッチしていました。

そしてかすかに残るスジンの記憶にあった懐かしい匂い・・。

ラストシーン。
再び、出会いの場所のコンビニへ。
そこではスジンを囲む優しい人々と
チョルスの慈しむように包み込む優しげなまなざしが待つ、
スジンにとってはこの上なく暖かな光が溢れる場所なのでした。

そして懐かしい車に乗る二人。
最初に出会った時のこのチョルスの車には、
チョルスの愛用品ばかりが積まれ、
そこに人が入るのを拒んでいました。

しかし最後のこのシーンではチョルスの車にはなにもなく、屋根さえもなく・・。

開かれたチョルスの心を象徴したこの車の助手席には
再びスジンの姿が・・・。
やがて万感の想いが込められた言葉がチョルスの口から放たれます。

二人の行く先に果たして幸せが待つのか、
やはり不幸な結末が待つのか・・・
それは誰もわからないけれど
まっすぐに続く道を、風を受けながらも、
穏やかな光の中で前だけを見つめて、歩んでいこうとする二人の姿が
そこにありました。

************************************

劇場での公開時には、単なるお涙もののような気がして
足が向かなかったのですが、
こうして観ると、様々な場面や台詞に様々な意味が込められ、
巧みなストーリーと印象的な映像で綴られていました。

特に主役二人、チョン・ウソンとイ・ジェハンの演技
--スジンが病気を告げられるシーンの表情の変化、
チョルスが居間で手紙を読む際の、溢れる涙の演技・・・
役者の熱意と力がすさまじく活きた渾身の演技が素晴らしかったです。

そして印象的な台詞が一つ。

「人を赦すとは、自分の心の中に一つの部屋を作ること。
そこに憎しみをいれておけばいい・・・」

この映画の印象的なシーンとこの台詞を、自分の心の中の
小さな箱にそっといれてリボンをかけておきたいような・・
そして時々その箱を取り出して、思い出してみたい。

そうすればもっと人に優しくなれるのではないかなあ・・なんて
思ってみたり。

記憶の喪失=魂の喪失・・・
それは肉体の死よりも辛いことなのかもしれない・・・
そのような重いテーマを扱っているにもかかわらず、
全編を通して、淡いやわらかな光に包まれているような、
そんな印象を受けた良作でした。


Gyaoで3月1日まで無料で観れますので、まだの方はぜひ一度
ご覧になってはいかがでしょうか?




映画 『GOAL!』を観ました

2007年01月15日 | 映画

今朝は寒い朝になりましたね。
青く澄んだ空と冷たい風・・・典型的な冬の気候です。

さて昨日は久々に家でDVD鑑賞。
昨年公開されていた『GOAL!』STEP1 イングランド・プレミアリーグの誓い
を観ました。



ストーリーは笑っちゃうほどベタな、スポ根もので
次はこうなるんだろうなあというのが、手にとるようにわかって
本当にその通りになるところがかえってスッキリしました。(笑)

でも設定などには、なかなかリアリティがあって
本当にこんな境遇の選手がいるかもしれないなあ・・・なんて
思ってしまったのです。

本物の選手が出てきて、本物のスタジアムに
本当のチーム名というところは、FIFA後援じゃないと出来ない
ところですよね。

それにしてもニューカッスルの街と、人々そしてなんといっても
あの壮大なスタジアムの空撮シーンがとってもいい!!
あれだけでも観た甲斐がありました。

ニューカッスルのスタジアムはさすがに”神殿”と呼ばれる
だけの迫力と美しさがありますね。
カッコ良すぎ!!



そしてそこに続々と集まってくる高揚した街の人々・・・。
スタジアムのピッチに足を踏み入れた選手にしかわからない
目線で観たときの、ぐるりと緑の芝生を
囲むサポーターの熱気・・・。
プロのフットボール選手になれたという感慨がよく伝わってくる
名シーンでした。

「この街ではフットボールは宗教なんだよ・・」という言葉が
リアルに伝わってきます。

ニューカッスルユナイテッドのことを少し調べてみると
こんな文章がありました。

「ニューキャッスル・ユナイテッドはイングランドのビッグクラブの
ひとつではありますが、地元密着型で、地元出身の選手も割に
多いほうなんですよ。いまの監督さんもダラム出身で、選手も数人、
スタッフも地元の人が多いみたいで、家族的な雰囲気があります。
私もそこがとても好きです。地元に住んでる方たちが本当にうらやましいです。
そうそう、ユナイテッドのサポーターは、イングランドで最も熱狂的で、
そしてとてもフェアなことでよく知られているんですよ。熱いサポーターって、
ともすると暴力的だったりもしますけど、ニューキャッスル・サポーターは
クリーンでフェアで、熱いので本当に素晴らしいです。
よそから移籍してきた選手たちが、このサポーターにまいっちゃって、
『引退するまで、ここでプレーしたい』と言い出すんですよ。温かくて、
本当にフレンドリーなファンに、応援されれば、
そりゃ選手冥利につきますよね。 」


うーん、なんとも羨ましい・・。
クラブは地元密着で、サポはクリーンでフェアで熱くて、温かいって
私が、グランパスに求めているものではないですか。

今度イギリスに行くときには、ぜひニューキャッスルを訪れて
みたいなあ


それにしても、海外のチームに入った新人選手というのは
あんなふうにやっぱり意地悪されるものなのかしら・・・・?

俊輔もイタリア時代にいじめられてた話をしていたし、
稲本選手も、フランスの松井選手も、そして先日オーストリアに
移籍したツネ様やグルノーブルに入団した伊藤翔君も、
それにスペインで頑張っている福ちゃんも・・・。
他にも今までたくさんの日本人選手が海外に渡ったけれど
同じような経験をしているのかな?
簡単に海外って言うけれど、相当な根性と図太い神経と
負けん気がないと、大変ですね。

なんだか海外で頑張っている選手を、無条件に応援したく
なってきました。

肝心のサッカーのシーンを迫力ある画面で楽しむには
やっぱり劇場で見たほうが良かったかなあと・・・。
ベッカムやラウール、ジダーヌが出てきたところは
大笑いしてしまいました。

次は主人公は、レアルマドリーに行って最後は2006年W杯だとか・・。
どこまでこのベタなスポーツものの王道を貫けるのか、
そして最後はどんなラストになるのでしょうか・・・楽しみです


『The Interpreter』 ザ・インタープリター

2006年10月03日 | 映画

今日も続くDVD鑑賞の日々
返却日が近づくと焦ってしまいますね

今日見たのは昨日とはうってかわって社会派サスペンスの映画です。

監督はシドニーポラック。
主演はニコールキッドマンとショーンペン。

ストーリーは、国連の通訳者として働くシルヴィア(ニコールキッドマン)
が、ある国の暗殺計画を偶然耳にしてしまい、シークレットサービスの
ケラー(ショーンペン)が彼女を守ることになるのですが・・・


私にとっては、ずっと観たいと思っていた映画でした。

アフリカの風景から始まり、やがてニューヨークの国連本部の
映像に切り替わると、国連内部の様子が写ります。
初めて内部での撮影許可が下りた映画だけあって、
それなりの迫力がありました。
ニューヨーク全体を大掛かりに使った空撮もあって
臨場感もありました。


ただ、全体的には正直言うと少し中途半端で、
サスペンスとしても恋愛映画としても煮え切らない作りが
残念でなりません。

シドニーポラック監督は、脚本を作りながら
撮影していたと話していましたが、
こういう映画だからこそもっともっと脚本を練りに練って、
社会派の映画として深めてほしかったと感じました。
とりあげている主題はまさに現代の国際社会がが抱える病理の
一つであるのですから。


それでも随所に散りばめられている主題につながる場面や
エピソード部分の表現方法にはぐっときてしまいました。

シルヴィアが最後に大統領に読みあげさせる本。
人々の言葉は、それがささやき声であったとしても
やはりそれは銃よりも暴力よりも勝るだろうという文章・・・

最後、ショーンペンがニコールに諭す場面。
「銃を置こう、ほらこんなふうに・・・
 そんなことをしても悲しみが連鎖するだけだろ?」

・・・不覚にも涙が溢れてしまいました。


本当はいまだに銃を振りかざす国々に対して
「ほら、こうやって銃をおこう・・・私たちは
すでに銃をもつことを放棄しましたよ」と
今だからこそいっそう訴えなければならないのに、
再び銃を持つ正当性を法でもって確立しようとしている国が
あることを思うとなんともやるせない思い・・・。


復讐の連鎖がもはや当たり前となり、
あらゆる暴力がはびこる今の世界において
この映画に出てきたクー族の言い伝えが悲しく響きます。


ところで、エンターテイメントとしてのこの映画の楽しみは
国連の内部風景が楽しめることと、
なんといってもニコールキッドマンの美しさ。



透き通るような美とはこのことかと
感嘆してしまいました。
国連職員っぽい着飾らないファッションが
余計にその姿態の美しさを際立たせていました。

またショーンペンの渋くて巧い演技にも感服です。
微妙な心理変化を、その目と表情であれだけ
表現できるなんて本当に良い役者さんになりましたね。

DVDの特典映像だった、もう一つのエンディングの方が
私的にはベタだけど映画的で良かったな



それにしても日本って、
本当にどうでも良いニュースが
頻繁に流れたりして、ちょっと驚いてしまいますね。

なんだか今現在、地球に起こっている出来事を
相対化して知ることが難しい今日この頃です