ゆうわファミリーカウンセリング新潟 (じーじ臨床心理士・赤坂正人)     

こころと暮らしの困りごと・悩みごと相談で、じーじ臨床心理士が公園カウンセリングや訪問カウンセリングなどをやっています。

沢木耕太郎『イルカと墜落』2009・文春文庫-沢木さんのアマゾン河奥地紀行を読む

2023年12月21日 | 随筆を読む

 2018年のブログです

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 先日、テレビを見ていたら、なんと沢木さんが出てきました。

 アマゾン河の奥地に住む未接触人種の調査に行くというドキュメンタリーの再放送でしたが、テレビで見る沢木さんもなかなかかっこよかったです。

 そんな折、たまたま本棚を眺めていたところ、本書を見つけてしまいました(こういうことがあるので、じーじはユングさんが好きです)。

 墜落?、と思って、背表紙を読んでみると、沢木さんの乗った飛行機がアマゾン河奥地で墜落をしたらしいのです(再読なのに、その記憶が全然戻ってこないのが、我ながら、すごい!(?)と思ってしまいましたが…)。

 というような次第で、沢木さんのアマゾン河大冒険を読みました。

 イルカ、はアマゾン河で出合います。

 それも、ピンクのイルカで、沢木さんには相当印象深かったようです。

 船旅での現地の人々との交流に描かれる沢木さんは、『深夜特急』の時と同じで、自然体でユーモラスで、読んでいて心地よいです。

 そして、いよいよ飛行機に搭乗。

 おんぼろセスナ機に乗って、窓の外を眺めていると、なんと燃料が漏れ出し、だんだんと高度が下がり、機長が、荷物を捨てろ、と叫びます。

 沢木さんは偉そうにしていた機長のカバンを真っ先に外に投げて、沢木さんらしい(?)ところを見せます。

 と、なぜか、ここでじーじの記憶が戻ってきて、確かに、この部分だけは、読んだ記憶が…。

 記憶って不思議だな、と思いました。

 飛行機は結局、農地に墜落をするのですが、乗っていた人はみなさん、多少の怪我だけで済むという奇跡。

 機長が沢木さんに、俺のカバンを知らないか、と聞きますが、沢木さんは知らないふり。

 沢木さんらしさが爆発です(ここもなぜか記憶に残っていて、じーじはこういうお話が大好きなのかもしれません)。

 墜落の様子を沢木さんは克明にリポートして、さすがは名ルポライターと感心させられます。

 解説によれば、翌年、さらに調査を続行し、その時の未接触人種との遭遇がテレビ番組のメインになったようで、それをじーじは見たようです。

 未接触人種の二人が、最初は警戒しながらも、最後に沢木さんを招くシーンは印象的でした。

 いいテレビ番組といい本に出合えたことに感謝したいと思います。  (2018. 12 記)

 

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地元・犠牲・「日本」の国-じーじのじいじ日記・セレクト

2023年12月20日 | じいじ日記を書く

 2019年の日記です

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 辺野古の工事が中止にならない。

 あれだけ住民投票で地元の人たちの意見が示されたのに、何もなかったかのように政府は軍事基地の建設を進めている。

 地元の意見は無視され、地元の犠牲のもとに、「日本」の国を守る(?)という軍事基地が造られようとしている。

 しかし、地元の人たちを犠牲にして、「日本」の国は守れるのだろうか?

 地元の人たちを守れない「日本」の国って、一体何なのだろう?

 そういう政府は一体何を守るというのだろう?

 ことは辺野古だけでない。

 イージス・アショワ基地、減らない原発、増える税金、心配な年金、などなど。

 不安はつきない。

 住民を本当に守る人たちが少しでも増えてくれないかなと思う。     (2019.7 記)

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 2023年9月の日記です

 最高裁も、沖縄の人たちの声に配慮をせずに、自民党政府の推進する辺野古基地に許可を与えてしまった。

 非常に残念である。

 少なくとも、沖縄の人たちを守る方法は沖縄の人たちが決めるべきであろうと思う。

 財界やアメリカの顔色をうかがう自民党政府はさらに失政を重ねようとしている。

 本土に住む国民も、マイナポイントなどで右往左往しているようでは、明日は我が身のことになってくるのではないか。     (2023.9 記) 

 

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東直己『名もなき旅』2008・ハルキ文庫-人生の哀しみと信ずることの大切さ

2023年12月19日 | 北海道を読む

 2018年のブログです

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 東直己さんの『名もなき旅』(2008・ハルキ文庫)を再読しました。

 もう10年ぶりになるんですね。

 文庫本ではたぶん2回目だと思うのですが、『スタンレーの犬』(2005・角川春樹事務所)という単行本の時にも読んでいるので、3回目でしょうか。

 年を取ったせいか、今回が一番おもしろく、しかし、もの哀しさを感じながら読んだような気がします。

 東直己さんは北海道の人ならおそらくは知っているであろう、どさんこの小説家。

 北海道外の人も、大泉洋さんの映画「探偵はバーにいる」シリーズの原作者といえば、わかるかもしれません。

 『探偵はバーにいる』(1995・ハヤカワ文庫)を始めとする東さんの小説は、映画で想像するよりは、実直で、深みのある物語が特徴です。

 かなりの数の小説が出ていますが、どれもがなかなか読み応えがあります。

 じーじは一時期、かなり熱心に読んでいた時期があり、一度、なんとお手紙を書いてしまったことがあります。

 しかし、こんなじーじのしょうもない手紙にも、ていねいなお返事をいただいて、恐縮をした記憶があります。

 どさんこは礼儀正しい人が多いのでしょうね(?)。

 さて、本書、父母と早くに死に別れた19歳の男子のお話。

 ようやく見つけた信頼できる中年男性に頼まれて、58歳の女社長を1週間行方不明状態にして失墜させるという穏やかでない仕事を引き受けます。

 そして、その中で、いろいろなできごとに出合い、いろいろな物語が生じるというもの。

 あらすじだけだと、そのよさはわかりにくいのですが、東さんは軽妙ですが、ていねいな文章を書かれますので、物語のよさだけではなく、文章のよさも楽しめるのではないかと思います。

 なによりも読後感がすがすがしいのがいいと思います。

 しばらく、また、東ワールドにはまりそうな予感がしています。    (2018.7 記)

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 2020年冬の追記です  

 本棚を眺めていたら単行本の『スタンレーの犬』が目に入り、読んでしまいました。

 あいかわらず少し不思議な小説ですが、面白かったです。

 人生の哀しみと信ずることの大切さ、そして生きることの味わい深さなどを感じることができると思います。     (2020.1 記)

 

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伊坂幸太郎『アイネクライネナハトムジーク』2017・幻冬舎文庫-おとなのいい小説です

2023年12月18日 | 小説を読む

 2018年のブログです

     *   

 伊坂幸太郎さんの『アイネクライネナハトムジーク』(2017・幻冬舎文庫)を読みました。

 おとなのいい小説です。

 この本は旅先の旭川の本屋さんで偶然見つけました。

 北海道関連本でも探そうと思って入ったのですが、なぜか、新潟でも買えそうな伊坂さんの本が見つかりました(伊坂さん、ごめんなさい)。

 しかも、出たのが2017年。

 1年も経ってからの出会いです(伊坂さん、またまたごめんなさい)。

 どちらかというと、伊坂さんフアンの一人であるじーじとしては、めずらしいことです。

 しかし、旭川で、出てから1年後に出合う、というのが、人生なのかもしれません。

 人生とはそういう、不思議で、貴重で、大切なものなんだろうな、と最近、思うようになりました。

 目の前の出会いを大切にしたいな、と思います。

 さて、本書、とてもおもしろいです。

 あらすじはあえて書きませんが、これは小説だよな、という偶然の場面も出てきますが、しかし、それもいやではありません。

 というか、それがむしろ心地よいです。

 そういう偶然もあるかもしれないから、目の前の出会いを大切にしようと思えます。

 ひとつだけあげると、ある登場人物が取るユーモアいっぱいの行動。びっくりです。

 やはり、時として、正論よりユーモアが役に立つのだろうな、と思えます。

 登場人物のやりとりを読んでいると、じーじが言うのもなんですが、伊坂さんが大人になってきたあな、という感じがします(伊坂さん、みたびごめんなさい)。

 とにかく、読後感のいい、すがすがしい小説です。

 いい小説に出会えたことに本当に感謝したいと思います。(2018.7 記)

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 2022年5月の追記です

 出会い、ってなかなか難しいものでもありますね。

 最初会ったときには、なんだ?、と思った人が、あることがきっかけで、大切な存在になったり、その反対があったり…。

 目の前の出会いの大切さとともに、時間をかけた出会いも大切にしたいなあ、と思ったりもします。 (2022.5 記)

 

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雪景色を眺めながらの公園カウンセリングは、こころも真っ白すがすがしくなります

2023年12月17日 | カウンセリングを考える

 こころと暮らしの困りごと・悩みごと相談で,じーじ臨床心理士が公園カウンセリングや海岸カウンセリング,里山カウンセリング,訪問カウンセリング,メールカウンセリングを新潟市と北海道東川町(夏期)でやっています。また,面会交流の相談・援助もやっています。

 公園カウンセリングや海岸カウンセリング,里山カウンセリングは,屋外で行なう個人カウンセリングや親子・夫婦の家族カウンセリング,子どもさんの遊戯療法などで,お近くの公園や自然の中で,ゆっくりとご自分やご家族のことなどを考えてみます。

 料金・時間は1回50分3,000円で,隔週1回,あるいは,月1回などで行ないます。

 訪問カウンセリングは,屋内で行なう個人カウンセリングや家族カウンセリング,子どもさんの遊戯療法などで,ご自宅やお近くの屋内施設で,じっくりとご自分やご家族のことなどを考えてみます。

 料金・時間などは公園カウンセリングと同じです。

 メールカウンセリングは,メールによるカウンセリングや心理相談で,2週間に1往信で行ない,1往信700円です。

 面会交流の相談・援助は,相談はご自宅などで行ない,1回50分3,000円,援助はお近くの公園や遊戯施設,あるいはご自宅などで行ない,1回60分6,000円です。

 カウンセリング,相談・援助とも土日祝日をのぞく平日の午前10時~午後3時にやっています。

 じーじのカウンセリングは,赤ちゃんや子どもさんがご一緒でもだいじょうぶなカウンセリングですので,お気軽にご利用ください。そういう意味では,深くはないけれども,現実の生活を大切にしたカウンセリングになるのではないかと考えています。

 料金は,低めに設定させていただいていますが,月収15万円未満のかたや特別なご事情のあるかたは,さらに相談をさせていただきますので,ご遠慮なくお問い合せください。

 ちなみに,消費税には反対なのと,計算がややこしいので,いただきません。

 お問い合わせ,ご予約は,メール yuwa0421family@gmail.com までご連絡ください。

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 雪景色を眺めながらの公園カウンセリングは、こころも真っ白すがすがしくなりますよ。

 

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じーじ、あやとりできる?-じーじのじいじ日記・セレクト

2023年12月17日 | じいじ日記を書く

 2019年11月の日記です

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 週末で孫娘たちが遊びにやってきた。

 二人の誕生日が近いので、パパとママに新潟のおもちゃ屋さんで誕生日プレゼントを買ってもらうことが目的だったらしい。

 下の孫娘はアナと雪の女王のタブレット(?)、上の孫娘は電子ドラム(?)。

 (?)が付いているのは、説明を聞いてもじーじにはよくわからないためだ。

 二人で、ピューン、ピューン、ドンドンドン、とにぎやかなことだ。

 それでも新しいおもちゃにあきると、二階のじーじの部屋にやってきて、おりがみや粘土で遊んでいるところがおもしろい。

 そんな中、下の孫娘は、あやとりをやりながら、じーじ、あやとりできる?と聞いてくる。

 残念ながら、あやとりだけは苦手な(?)じーじが、あやとりはわからないな、教えてよ、というが、孫娘は、じゃあ、ばーばに教えてもらおう、と行ってしまう。

 今どきのじーじは、あやとりくらいできないとだめか、と思うが、しかし、ばーばにいろいろ教わるのもいいことだ、と自分を納得させる。

 にぎやかな中にも、いろいろと考えさせられる週末である。  (2019.11 記)

 

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新潟県で先日行なわれた北朝鮮の弾道ミサイルに備えた避難訓練を見て考える-じーじのひとりごと

2023年12月16日 | ひとりごとを書く

 2017年のブログです。

 今後もあちこちでだんだんミサイルの避難訓練が政府の指示で行われるようですので、再録します。  (2018 記)

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 先日、新潟県で、北朝鮮の弾道ミサイルに備えた避難訓練が行なわれ、住民のかたがたも参加をされていました。

 農業用水のトンネルに隠れたりして、たいへんそうな様子がテレビに映っていました。 

 しかし、政府の説明では、自衛隊の迎撃ミサイルが北朝鮮の弾道ミサイルを撃ち落とすことになっているはずです。

 何十億円もする迎撃ミサイルがわれわれ国民を守ってくれるはずです。 

 それとも、われわれの貴重な税金を使って全国に配備されている迎撃ミサイルは信用できない存在なのでしょうか。

 そういえば、排他的経済水域に北朝鮮の弾道ミサイルが飛んできても、その情報は韓国のマスコミのほうが発表が早くで、日本政府の発表は遅いですね。

 そんなことで本当に迎撃ができるのでしょうか。

 迎撃の自信がないから、北朝鮮のミサイル基地を先に攻撃せよという物騒な意見まで出てくるのでしょうか。

 高い税金を使っているのですから、防衛のための(あくまでも、攻撃のためではないですよ)迎撃態勢はきちんとしてほしいと思います。

 住民の避難訓練を強制するなんて、もってのほかです。

 ただでさえ、農作業で忙しい時期なのに、とんでもないことです。

 さらに考えてみれば、最近、全国各地で原発事故に備えての避難訓練というのもよく行なわれています。 

 しかし、原発も事故が絶対に起こらないからということで設置が許可されているのではないのでしょうか。

 住民が避難しなければならないほどの事故の可能性があるのでしょうか。

 裁判所も原発の事故は心配ないからと原発の運転停止の訴えを却下しています。

 しかし、心配がないのなら、なんで避難訓練をする必要があるのでしょうか。

 政府や原子力関係のお役所や裁判官の人達にはきちんと説明をしてほしいと思います。

 じーじが孫娘たちにきちんとお話をできるようにしてほしいと思います。

 年取った政治家たちやお役人、裁判官たちの時代はすぐに過ぎます。

 将来のある孫娘たちが安心をして暮らせるような世の中にしていってほしいとつくづく思います。  (2017 記)

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 2023年12月の追記です

 6年前のブログですが、状況は全然変わっていないですね。

 北朝鮮の弾道ミサイルは人工衛星になりましたが、その軌道はアメリカの協力があっても、きちんと把握できなかったようです。

 これでは、避難どころの話ではなくなってしまいます。

 日本のH3ロケット1号機が失敗したときは、きちんと追跡をして、途中で爆破命令を出して、爆破できました(破片がどうなったのかは情報が出ませんでしたが…)。

 攻撃用のトマホークをたくさん買う前に、迎撃用のイージスなど、国民を守ってくれる防衛用のミサイルを整備してほしいです。

 それとJアラートの音と画面。どぎつすぎて心臓に悪いです。もっと国民のいのちに優しいものに改善すべきです。

 原発も同じ。

 再稼働の話ばかりで、喜んでいるのは大企業だけ。

 住民の避難訓練は、ますます大掛かりになってきています。

 多少、街中が暗くなっても、やはり贅沢はやめて、危険なものは廃止、廃炉しかないでしょう。

 生活の見直しと避難訓練の要らない政策や外交が必須の時代です。   (2023.12 記)

 

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最近の国会のニュースを見てマスコミに感じたこと-じーじのひとりごと

2023年12月15日 | ひとりごとを書く

 2023年6月初旬の日記です

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 夕方のニュースを見ていると、マイナ保険証の法案が国会を通過した。

 こんなに問題が噴出しているのに、通過してしまうんだ、と唖然とする。

 しかも、ニュースでは、与党の賛成多数で通過、と出る。

 ところが、法案に賛成と反対の数がわからない。

 自民党の中から反対者が出なかったのかどうか知りたいところだが、今のニュースではわからない(画面を見ていたがよくわからないし、少なくとも、ニュースの中で、そういうていねいな情報が流れない)。

 自民党の中から造反者がいなかったのかどうか、昔ならマスコミがていねいに取材をしていたのではないか。

 そこが民主主義の根本ではないか。

 先日の原発の運転延長の法案も同じ。与党の賛成多数で通過、だ。

 じーじには、自民党の数の横暴にマスコミが沈黙をしているように見える。

 大きな法案へのアプローチはあきらめて、スキャンダル狙いの感じだ。 

 それしか抵抗の方法はないのか。  

 マスコミも放送法に縛られているわけだが、準国営放送のNHKはともかく、民放が頑張らないとロシアや中国のようになってしまう。

 民放のスポンサーも大企業だから、だんだんと大企業優先になってしまうのだろうか。心配だ。

 もっと、もっと、丁寧な報道をしてほしいとつくづく思う。  (2023.6 記)

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 2023年6月中旬の追記です

 入管法改正も与党の賛成多数で通過する。

 国会の議決自体が賛成・反対・棄権を明示しないしくみなので、造反者の有無もはっきりしないのかもしれない。

 しかし、与党にも、ある法案には反対、という考えの人もいるわけで、賛成多数だけではあまりにも無責任だ。

 命がけで造反をする人もいるであろうから、それは尊重したいし、マスコミはその意見を取材してほしい。

 民主主義はそこから始まると思うし、有権者の関心もそこから高まるのではないかと思う。  (2023.6 記)

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 2023年12月上旬の追記です

 ニュースを見ていると、国会の採決自体が問題なようで、調べてみると、記名投票の時以外は、賛成と反対の数を明示しない仕組みのようだ。

 中国でさえ、数を明示しているニュースを見たような気がするが…。

 参議院ではボタン投票が導入されているが、しかし、棄権や保留の選択肢がなく、これもどうも多数決優先の表れで、議論の成熟を放棄しているようでもあり、問題かもしれないと思う。

 個人が独立していない日本、同調社会である日本の姿を反映しているようだ。   (2023.12 記)

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 2023年12月中旬の追記です

 とうとう安倍派の崩壊が始まった。

 造反者はもっと出るだろう。

 お金に群がる議員と支持者、そして、お金による支配の醜さと脆さが露呈した形だ。

 頑張れ、マスコミ!   (2023.12 記)

 

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沢木耕太郎『旅する力-深夜特急ノート』2008・新潮社-『深夜特急』の魅力

2023年12月14日 | 随筆を読む

 2018年のブログです

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 沢木耕太郎さんの『旅する力-深夜特急ノート』(2008・新潮社)を再読しました。

 2008年の本ですから、ちょうど10年ぶりです(いい本なのに、沢木さん、ごめんなさい)。

 このところ、沢木さんの『深夜特急』を読んできたのですが、先日、本棚を眺めていると、下のほうの段にこの本を見つけてしまいました。

 こういう偶然があるから読書はやめられません(といっても、単に整理整頓が苦手なだけなのですが…。今も沢木さんの本はあちこちの本棚に潜んでいて(?)、時々探している始末です)。

 本書は、沢木さんの旅の記憶や体験、文章を書くことの経験やそれについて考えること、そして、『深夜特急』に繋がる旅とその文章化について、などなどが述べられていて、とても刺激的で、面白く読めます。

 テレビの大沢たかおさん主演の『深夜特急』についても書かれていて、興味深いものもあります。

 ひとつ、発見をしたのは、『深夜特急』において、沢木さんが写真を載せていない点。

 沢木さんは、写真でなく、文章で勝負をしたかった、と書きます。

 ここは、じーじのブログと全く同じです(?)(じーじの場合は、単にカメラがないというだけなのですが…)。

 表現力に大きな差がありますが、文章の力を信じている点だけは同じなのかもしれません(ちょっとおおげさですかね?)。

 しかし、じーじが、『深夜特急』以外にも、沢木さんのエッセイを好んで読んでいる理由は、この辺にもあるのかもしれません。

 学ぶことも多くあります。

 あまり意識はしていませんでしたが、家裁調査官時代にも実はこっそり文章を真似していたかもしれません(?)。

 その割に、お粗末な文章ばかり書いていますが…。

 これからも、沢木さんを見習って、じーじのひとり旅や孫娘シリーズをせっせと書いていきたい(?)と思っています。            (2018. 12 記)

 

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野沢尚『反乱のボヤージュ』2004・集英社文庫-古びた学生寮の取り壊しをめぐる人間模様

2023年12月12日 | 小説を読む

 2021年12月のブログです

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 野沢尚さんの『反乱のボヤージュ』(2004・集英社文庫)を読む。

 すごく久しぶり。

 当然、内容は全く忘れていて、若者小説なので、あまり期待しないで読み始めたが(野沢さん、ごめんなさい)、これがすごい面白い。

 じーじの中で、今年のベスト3に入りそう。

 ある大学の、古びた学生寮の取り壊しをめぐる人間模様。

 例によって、あらすじは控えるが、自治会の学生、ノンポリの学生、運動部、応援団、途中から加わる舎監、などなどの中で、主人公の成長が描かれる。

 ノンポリの学生も、みんな、さまざまな事情を抱えていて、それを描く野沢さんの筆はすごい。

 そして、温かい。

 それが単に甘いだけでなく、生きる切実さを伴っているので、深く、哀しい。

 なかなか深い良質の小説だ。

 以前、読んだ時には、ひょっとすると、この深さがよくわからなかったのかもしれない。反省。

 しかし、この年になってでも、こういう良さを味わえたことは幸せだ思う。

 うっかりもののじーじゆえ、こういう読み落としもきっとたくさんあるに違いない。

 謙虚に読書と勉強に励みたい。 (2021.12 記)

 

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