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金平茂紀『ロシアより愛をこめて-あれから30年の絶望と希望』2023・集英社文庫

2024年03月07日 | 随筆を読む

 2023年秋のブログです

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 金平茂紀さんの『ロシアより愛をこめて-あれから30年の絶望と希望』(2023・集英社文庫)を読む。

 2023年9月25日発行の新刊(えっへん!)。

 金平さんは、現在は早稲田大学大学院の客員教授だが、ご存じのように、ほんの少し前までTBS「報道特集」で活躍をされていた(金平さんのさまざまな記者会見の場での質問風景が鋭くてすごいのが今も記憶に新しい)。

 その金平さんが30年前、1991年3月から1994年6月の間、TBSのモスクワ支局長をしていた時の記録(『ロシアより愛をこめて-モスクワ特派員滞在日誌1991-1994』1995・筑摩書房)に、2022年のロシアのウクライナ侵略直後の現地での記録と、その後のロシア訪問の記録をまとめたもの。

 これが面白く、かつ、哀しい。

 30年前のロシアは、ソ連が崩壊し、ロシア共和国が出発した時期だが、治安が悪く、泥棒が横行している最低の国。

 賄賂も常習的で、先進国とは言い難い。

 米ソ2大大国の幻想が崩れているのに、しかし、ロシアの政治家は大国主義を捨てられない。

 そして、国民や、さらには、モスクワ支局のロシア人スタッフもそんな現状を仕方ないと考えている。

 金平さんは、そんな状態を見て、ロシアの人たちは、皇帝の支配、共産党の支配、共和国政府の支配が続いてしまって、そんな状態に慣れてしまっている、と考える。

 その後に登場するのがプーチン大統領。

 自らの誇大な大国幻想を振り回し、国民をも巻き込んで、周囲の国々に侵攻し、ついには、ウクライナ侵略に至る。

 ロシアのウクライナ侵略開始直後の「報道特集」はじーじもライヴで見たが、緊迫したすごい映像だった。

 なんども防空壕に避難しながらの映像は貴重な記録だ。

 しかし、その後のモスクワ訪問で見た人々。

 生活はそこそこ普通で、ウクライナの侵略も「特別軍事作戦」という局地的な紛争と考えているらしい、と金平さんには見える。

 ともかく、殺し合いはやめてほしい、という金平さんの願いは叶うだろうか。        (2023. 10 記)

 


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